「井上先生の才能にただ脱帽する作品」THE FIRST SLAM DUNK Ellさんの映画レビュー(感想・評価)
井上先生の才能にただ脱帽する作品
漫画原作は全巻集めた普通程度のファンです。
CGが用いられているとのことで多少の不安もありましたが、映画の評判も良く、どのような作品に仕上がっているのかワクワクしながら先日やっと映画館に見に行きました。
原作、脚本、監督の井上先生がただすごすぎる。
映画では宮城リョータを主人公に切り替え、映画の尺の中に原作のスラムダンクの素晴らしさを濃縮しつつ、新たな物語をきっちり描き切っています。
試合中の現在と、リョータの過去とが切り替わりながら物語が進んでいくのですが、違和感なくグイグイと「読者」を引き込んでいきます。
CG映像に違和感を抱く瞬間がないわけではないものの、漫画の絵そのままです。動く漫画。
現時点において、漫画の映画化でこれ以上望めないのではと思える作品でした。
映画って、結局はストーリーボードがきっちり描けていたら半分成功しているようなもので、漫画の絵コンテに通じているものがありますよね。井上先生が映像的にどう見せたいのかはっきり分かっているのがビンビン伝わってきて、もう本当にすごいの一言です。
ただ、作品単体として観た場合、映画の尺的に宮城リョータを主人公にしたことは理解できるものの、その弊害として、本来の主人公である桜木花道の活躍が唐突でアンバランスに感じます。なぜ素人同然の花道が試合に出ているのか、なぜ突然活躍して試合の流れを変えることができたのか。わずかなフラッシュバックではカバーしきれず、唐突で都合良すぎると感じてしまうのです。主人公パワーですからね(笑)。
声については、花道以外は違和感を感じませんでした。テレビシリーズの花道の声も違和感があったので、原作を読んだときの個人的なイメージが邪魔しているようです(あくまで声質的な違和感で、演技面での問題ではありません)。
展開が速くて「ああ”、5秒戻して観たい!」シーンが何度もあったので、動画配信などでゆっくり観れるときを今から楽しみにしています。