「原作ファンというより映画好きにオススメ。」THE FIRST SLAM DUNK タデイ27さんの映画レビュー(感想・評価)
原作ファンというより映画好きにオススメ。
まず、モーションキャプチャを活用したCGでの試合の再現性が凄い。これだけでも観に行く価値があると思います。新しい時代が始まった瞬間を見た気がしました。
リアルと変わらない動きを全員がしているのも凄いが、キャラの絵が限りなく原作に近いまま動いているのも、膨大な手間をかけた結果だそうです。
これについてはこれ以上の言葉は無駄。とにかく体感してみてください。
そして、原作で描ききれなかったリョータの深掘り。これは嬉しいファンサービスです。
それだけでなくて、湘北のスタメンの中で唯一「才能」を強調されていなかった彼が、日本高校生最強のPGとマッチアップして、堂々と40分間ゲームメイクしきった偉業に焦点を当てた、新たな物語になっています。
努力はしてきた。それでもどこか弱腰で自信が持てないでいるリョータ。
「兄には及ばない」という、心に刺さったトゲが抜けず、強がることで自分を守ってきた。
それが仇になって部活の先輩からは生意気に見られ、不良に絡まれ、母に心配をかけ、ついには唯一の生きがいだったバスケも挫折。自分の不甲斐なさに絶望するリョータ。
それでも自分にはバスケしかない!と生まれ故郷で再起し、県大会を勝ち抜いて臨んだ山王戦。兄の夢の舞台。
自分に自信が持てないまま勝てる相手ではない。
自分を信じてくれるマネージャー。
頼りになる先輩達も限界を超えたプレイで格上相手に張り合っている。後輩二人も見事にやってくれた。自分だけが気持ちで負けるわけにはいかない。
仲間達に背中を押され、小さい頃からひたすら磨いてきたドリブルで、全国NO.1のPGを抜き去る。
リョータが全国区のプレーヤーに変貌したあの瞬間!鳥肌立つ事間違いなし!音楽もイイ!
この映画で描きたかったのはココだろうなと思います。原作だと大コマではあったものの、そこまで感情移入するシーンではありませんでした。
当然、試合が決まる瞬間のアレも原作のまま再現されてます。
私はその直前の花道が誰よりも先に走り出すトコが大好きです。
技術は素人でも、気持ちは誰にも負けてないんですよね。
あとベンチの坊主メガネの一年生。
「湘北に入って良かった」の時、
「スラダンファンで良かった」って一緒になって泣いた人、絶対いるでしょ?私だけではないはず。
色んなシーンで「気持ちの勝負」とは言いつつも、才能の差が勝敗を決めている感がどうしても拭えなかった原作。
バガボンド、リアルを経た井上雄彦。
伝説とまで言われた名作を、さらに昇華させてきました。
最高の原作の中の最高の試合で、
脚本も最高で、
コスパ度外視で技術と時間を注ぎ込みまくった最高の演出。
文句のつけようがないけどなー。
私の中では原作を超えました。