「原作が偉大すぎるがゆえに…」THE FIRST SLAM DUNK こーへいさんの映画レビュー(感想・評価)
原作が偉大すぎるがゆえに…
私は原作ファンで映画を視聴していますが、結論だけ言うとかなり残念です。
★良かった点
・原作からCGを用いてモダンな作品になっている
名作とはいえ、初版は30年前でどうしても古く見えるところを思い切ってCGなど取り入れて古臭さは一切感じませんでした。
★残念だった点
・宮城が中心になりきれてない
映画は宮城の回想を中心に進みますが、中盤以降は色々な人物の回想、心理描写があります。また山王戦を舞台にしていることもあり、原作の名シーンと言われている場面も多く登場します。試合終盤あたりでは結局何を中心に描きたいの?といった印象を持ちました。
・心理描写、名シーンが雑に登場
先程にもあるように、複数の人物の心理描写や原作の名シーン多くがあります。ただそれらがほとんど脈絡なく出てくるので全く感動しません。2時間の映画にそこまで多くの人物、シーンを描写する必要はないと感じました。
・声優とギャグ漫画としての側面が合ってない
スラムダンクはスポ根漫画ですが、ギャグ漫画としての側面があります。とくに桜木はそのギャグの中心に多くいます。ギャグを引き立てるには、少し高めの声質が合っていると思いますが、映画では声が低い人が声優をつとめています。ギャグシーンがシュールなシーンに感じます。
・宮城の母親のキャラが濃すぎる
宮城は兄貴が死んだことに奮起しますが、都度都度発動する母親のメンヘラが気になります。妹くらいの描写で十分な気がしました。
・雑な山王選手たちの描写
山王といえば敵チームとは思えないほど魅力的な選手の集まりですが、映画ではそれをほとんど感じません。中途半端に描写されており、その迫力、魅力が全て奪われています。
★まとめ
2時間という中で、一人の人物を中心に描写しようというのは、いいと思いました。ただどうしても、原作が偉大すぎるがゆえに、名シーンや心理描写を詰め込まざるをえない空気感に潰された作品だと感じました。