「腑に落ちました」THE FIRST SLAM DUNK イナヅマゴローさんの映画レビュー(感想・評価)
腑に落ちました
ストーリーについて事前情報が全くなくて、どういう映画なんだろうとヤキモキした本作。
まずは無事予定通り公開されて本当に良かった。感謝申し上げます。
初日の最終回を見ましたが、すでにグッズはほとんどなかった・・・。さすがです。
さて、いろいろおもうことをつらつらと。
まず本作が宮城リョータの目線でつづられていること。なるほど、と思いました。
思えば、原作でリョータのバックボーンはほとんど語られていなかったですし、納得しました。
赤木、小暮、三井のバスケット(とか安西先生)にかける思いは原作で十分語られていたし、原作主人公の花道は言わずもがな、ルカワについてはそういったことを深く見せないことで生きるキャラクターなので、残るリョータの目線になるのは納得でした。
リョータがバスケにかける想いを30数年ぶりに知れて(若干重くはなってますが)、原作が補完された気がしています。おかけで彩子さんも存在感が倍増してました。
取り上げた題材も、そりゃそうだよね、というあの試合。原作史上最高の構成・展開で描き上げた大傑作ですからそりゃそうだ、と思います。
ということで、概ね見終わってなるほどなー、と納得しております。
一方、気になったこと。
ここ最近のアニメ映画の中でもっとも「音が物足りない」です。
満席の観客がいる全国大会にしては、練習試合のような静けさです。
セリフの機微も、笑いのパートがふわっと流れている印象でしたし、花道が観客に向かっていうあの一言も、もっと臨場感があって欲しかった。
そう、音についてほぼ臨場感が感じられないのですよ、ずっと。
だからあの「無音」も対比での効果が薄くなってしまったように思います。
また、音楽もなんかこう、個人的にはしっくりこなかった。
わざわざ映画館で映画を見る必然性に「音の臨場感」があるとおもうんです。
大ヒットしたトップガンなども、これは映画館で観るべき、IMAXで観るべきと思わせてくれましたが、本作はきっと後日自宅で配信をみてもさほど変わらないのではないかと。
画とストーリーは素晴らしいです。さすが井上先生(CGが若干ヌラヌラしてましたが、今の技術ではこれが限界なのでしょう。試合中の細かい動きはすごいの一言。あと、宮城やゴリの刈り上げた髪の表現もすごいと思いました)。しかし、漫画にはなかった音楽が、音の感覚が、アニメにしたときにイマイチだった、という点はとても残念な印象を受けました。
とはいえ、総じて久々のスラムダンク、30年以上だってあたらめて新作がみれるとは思っていなかったので、満喫しました!
ありがとうございます、井上雄彦先生!!!