「宮城リョータ物語」THE FIRST SLAM DUNK おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
宮城リョータ物語
懐かしのスラムダンク。昔のことすぎてかなり忘れている部分もあり、内容についていけるかなと心配しながらの鑑賞でしたが、全くの杞憂でした。スラムダンク初心者でも、本作の表面的な内容は十分に理解できます。しかし、湘北メンバーについて知っている前提で展開されるので、やはり原作なりテレビアニメなりである程度の予習はしておいた方がいいでしょう。
ストーリーは、インターハイ出場を果たした湘北高校と高校バスケ界の頂点・山王工業との激戦の中、宮城リョータの回想シーンの形で、バスケを教えてくれた兄ソータとの関係、兄の死を機にぎくしゃくする母との関係、それらを経てのバスケへの思い等を描くというもの。正直言ってやや重めのストーリー展開ですが、リョータのバックボーンが知れる骨太の内容なのは悪くなかったです。
肝心の山王戦はというと、これがとにかく熱かったです!原作をもはや忘れているので、試合展開そのものにとにかく引き込まれました。その中で、桜木、赤木、流川、三井と、おなじみの湘北メンバーにそれぞれ見せ場が用意されていたのもよかったです。あまりの感激に何度も涙してしまいました。
そして、特筆すべきはその映像表現!テレビアニメとは別次元の興奮が味わえます。CGをふんだんに使っていると思われますが、その躍動感がハンパないです。作中で描かれるプレーのリアルさも抜群で、超高校級とはいえ現実的で多彩なプレーに目を奪われました。原作漫画の雰囲気をあえて残したキャラデザもよき。これをアニメならではの迫力のカメラワークで魅せてくれるので、自分も選手となってコートに立っているかのような没入感が得られます。
それだけに、リョータ物語が、決してその内容は悪くないのですが、そこを深く描けば描くほど、試合の緊迫感が寸断されるのはちょっと微妙に感じてしまいました。メインはあくまでリョータ物語ということなら、まあこうなるのでしょうが、試合シーンがこれだけ熱いなら、こっちをメインにしたほうがよかったように思います。それとも、本作が「FIRST」ということで、これから他のメンバーにスポットが当たった作品が作られていくのでしょうか。やはり試合あってこその回想シーンなので、メインは熱い試合にしてほしいものです。
キャストは、テレビアニメから一新され、仲村宗悟さん、笠間淳さん、神尾晋一郎さん、木村昴さん、三宅健太さんらが演じています。賛否両論あるようですが、自分はテレビアニメをあまり観ていなかったので、全く気になりませんでした。