「拷問」かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
拷問
原作大好き人間です。それが故に前作も観ましたが、前作では常に発狂していました。キャラ崩壊、ギャグの寒さ、演技、ビジュアル、どれをとっても大人の悪い悪ふざけにしか思えず…
そんな中2年ぶりの新作。地上波放送された時に2作目を作ると言った時は絶望しました。ファン向けムービーということは分かってるんです。平野くんと環奈さんのファンのための映画ということは分かってるんです。それでもこんなにも面白い作品を2度も踏み台にすることが自分は許せなかったです。
ということで、本日観に行きました。100ワニと同様で、観ずに批判する傍観者にはなりたくなかったので。
本当に酷かったです。1作目と双璧をなすレベルで酷かったです。まず冒頭、前作から何も学ばずに佐藤二郎さんにナレーションを読ませる、しかも変わらずわざわざ、わざわざ<ナレーション:佐藤二郎>と表記してくるもんですから、早速苛立ちメーターはMAXです。
続いて生徒会室のシーン。ここからもう改悪が始まってます。まず石上はあの時点ではミコにあんなにフランクに話しかけたりしません。ミコは前作の総選挙には登場していない余波がやってきて、いきなり生徒会室にやってきた人みたいになってました。そこで白銀に勧誘されるという、原作であった総選挙に敗北からの手を取り合う展開が胸熱だったのに、なんの脈絡もなくストーリーにぶち込まれるのでさっぱりぴーでした。
観客をバカだと思っていらっしゃるのか、セリフのほとんどを文字として書き起こしています。もうウザいウザい。アニメ的なものを実写でやっていいわけがないです。あと顔だけは人間で、体は人形みたいなものを使う描写も前作に引き続き行っていますが、別にあれが面白いとは思いません。これもアニメ的なものなので、冷める〜
次にパロディが多い多い。かぐや様の魅力は、とんとん拍子に進んでいく会話だったり、その中での軽い下ネタや、藤原書記の暴走が面白い作品なんです。基本的にまともな人物は少ないんですが、それらが合わさることによってまとも組とまともじゃない組に分かれて進む1話完結の話が面白い作品なんです。前作も思いましたが、その面白みをぶっ潰し、監督の好みのものに変えていっているのでまぁ寒い寒い。橋本環奈さん繋がりで今日俺やルパンの娘ネタを出しますが、そんな描写原作には1ミリもないんです。あと翼くんがチャラいという設定をEXIT兼近ことかねちーに置き換えて、ポンポンポーンというネタをしますが、マジで意味が分からなかった。そんなことをして尺を稼ぐ必要性はあるのか。流行り物を入れたかったのだとは思うが、それなら体育祭の時に出してくれた方がまだマシだった。
体育祭編と文化祭編が物語の肝になってきますが、体育祭編の時の石上が応援団に入ろうとしたきっかけがまず原作と違います。何かを変えたいという点では一致してますが、原作では自らの立候補で、映画では会長の推薦と少し形が違います。ここ改変しなくてもよかったんじゃね?と思ってしまいました。(そういったらキリがないですが)
体育祭編で石上とつばめ先輩の物語もスタートするのですが、石上の成長と恋愛をダブルで楽しめた原作とは違い、つばめ先輩の部分は大幅にカットされ、石上がつばめ先輩に惚れた理由がイマイチ分かりません。石上の暴力事件が公になりますが、何故か外で反省文を書いたり、ミコと藤原書記がこの暴力事件のことを知らなかったりと、物語の熱くなる部分を悉くカットしています。特にミコは石上の正当性を陰ながら先生たちにずっと主張していたからこそ、レース中での石上への「がんばれ」に心打たれるのに、映画のミコは大声で「がんばれー!」だなんて言ってるもんですから冷めます。あと石上が孤立した原因である暴力事件も、荻野が眠らせてヤらせるなどと言ったセリフは原作では吐いておらず、何故生々しい表現に走ったのかが不明です。
少し前後するのですが、今作は監督の性癖が剥き出しになっているなと思いました。藤原書記は何故か必要以上に脱がされ(原作では体操服)、白銀はパンツ一丁に(原作では普通に服を着てる)、かぐやはゴスロリ衣装(原作では給仕服)と、いらんことしてるのであーもうヤダヤダ。
とはいえ、文化祭編はまだ劣悪な改編は多くなかったのでまだ観れました。古賀葵さんの美しい声が聞けただけでも儲けもんです。ただ、ここまでのストーリーがキツすぎたというのもあって、最後の超ドキドキするはずのシーンでも何もドキドキしませんでした。こればっかりはもうテンションがだだ下がりだったからというのもあるので、一概に酷いとは言えません。あとミコは別にラブ探偵にはなってません。ミコのキャラ迷走しすぎ。
ここまででもかなりのイラつき度でしたが、特にイラついたのは白銀父と田沼正造です。まず白銀父。原作では職業不定ながら、ビジネスに精通していたということもあり、YouTubeで一花咲かしたユーモアありまくりの親父です。見ていて不快になることは全くなく、どれだけ緊張感のあるストーリーでも登場するだけで空気の変わる魅力的なキャラクターの1人です。なのに、なのに!映画では全裸監督をパクったり、ゲーセン狂いで息子から金をせびろうとするなど、ただのクソ親父に成り下がってます。なんでこんな描き方をしようとしたのか全く理解ができません。
田沼正造。コイツはもう最悪です。原作ではかぐやと白銀の恋の病の検査にやってくるゲストキャラだったのですが、映画では何故か出番が多い。原作ではかぐやや早坂が出し物としているカフェに来るのは、ラーメン四天王たちがやってきます。(割と謎展開ですが、これがまた面白い)それなのに、何故か田沼をその位置に配置し、また情熱大陸の映像を流し、福田監督のノリを応用した挙句、意味のないビンタをする。前作の松葉杖の患者をふっ飛ばす演出に続き、監督は誰かを殴ることによって笑いが生まれると勘違いしているようです。これが本当に最悪すぎた。こんな笑いの取り方は自分のオリジナルの作品ですればいいのに。あとキャンプファイヤーで早坂と踊り出すのも意味不明です。こんなこと言ってはアレですが、佐藤さんがTwitterで「二郎と堀田真由の恋愛頭脳戦」と書かれていたのですが、この時点でクソみたいな改悪してるんだなと思ってしまいました。佐藤二郎さんのことが少し嫌いになりました。
そして前作同様、オリジナル展開がありますが、別になくてもよかったです。海外の学校に進学して白銀とかぐやがチュッチュして終わるだけです。ハァ?って感じです。
良い点として、エンドロールのダンスは飽きさせないものとしては良いなと思いました。あと浅川さんや堀田さん、福原さんのハマり具合はナイスだなと思いました。
劇場には恐らく平野くんのファンが詰めかけていましたが、彼女たちの笑いどころがマジで分かりませんでした。劇場ででっぱらったところでの感想もカッコ良かったね〜とかいう感想でした。原作をフューチャーせず、俳優をフューチャーしてばかりじゃ、実写邦画は終焉の一途を辿るばかりです。まぁどうせヒットするんですけどね。
鑑賞日 8/20
鑑賞時間 15:00〜17:10
座席 M-10
コメント返信ありがとうございます!原作の面白さをここまで消す作品も珍しいですよねー。多分製作陣は人気なエピソードしか読んでないんじゃないですかねー。残念無念…