「いつか通る道が眼前に現れる映画体験。」ファーザー エクさんの映画レビュー(感想・評価)
いつか通る道が眼前に現れる映画体験。
いつかおそらくこの道を通る。
今の暮らしが成り立たなくなる時はきっと来るのだろう。
上映中、老後のことを考えた。はじめて真剣に考えた。今、たまに届く年金額の通知を思い返し、今の職場が定年後も雇ってくれるだろうかと考えた(笑)
一人で暮らす父はいつ主人公のようになってもおかしくはない。
現実に起こるだろうこと、あまり見ないようにしていることを2時間だけだが直視した。
アンソニー・ホプキンスのほとばしる情熱が、狂気もはらむかに見える情熱が、我々の眼前に通るだろう道を示してくれた。
怖くなった、正直。
自分の先行きが怖くなった。
ラストシーン、主人公には死に向き合う意識が残されていた。
うらやましかった。
それさえも失くなってしまうこともあるのかも知れない、そのことに気付いたら余計に怖くなった。
めったにない映画体験になった。
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