劇場公開日 2021年5月14日

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「いつか通る道が眼前に現れる映画体験。」ファーザー エクさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いつか通る道が眼前に現れる映画体験。

2021年5月22日
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いつかおそらくこの道を通る。

今の暮らしが成り立たなくなる時はきっと来るのだろう。

上映中、老後のことを考えた。はじめて真剣に考えた。今、たまに届く年金額の通知を思い返し、今の職場が定年後も雇ってくれるだろうかと考えた(笑)

一人で暮らす父はいつ主人公のようになってもおかしくはない。

現実に起こるだろうこと、あまり見ないようにしていることを2時間だけだが直視した。

アンソニー・ホプキンスのほとばしる情熱が、狂気もはらむかに見える情熱が、我々の眼前に通るだろう道を示してくれた。

怖くなった、正直。

自分の先行きが怖くなった。

ラストシーン、主人公には死に向き合う意識が残されていた。

うらやましかった。

それさえも失くなってしまうこともあるのかも知れない、そのことに気付いたら余計に怖くなった。

めったにない映画体験になった。

エク