「世界どこでも普遍的な少年期の話」少年の君 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
世界どこでも普遍的な少年期の話
邦題は原題の直訳だが、この場合の「少年」とは男女の区別なく「少年少女」または「少年期」といった意味だろう。監督のデレク・ツァンは香港の名優エリック・ツァンの息子とのこと。
中国における猛烈な受験地獄と、胸がムカつくようなひどいいじめの描写は、まるで80年代日本を思わせる。どこの国でも変わらんもんなんだな。また貧困というのもやはり普遍的な問題だ。その一方でスマホやラインなどの存在などはいかにも現代という感じ。そしてそんな中で出会った少女と少年の生活や心理の細やかな描写が素晴らしい。
その少女を演じたのが、2010年にチャン・イーモウ監督の『サンザシの樹の下で』でいきなり主演デビューし、“13億人の妹”と呼ばれることになった若き演技派チョウ・ドンユイ。本作でも撮影当時26歳ぐらいだが高校生にしか見えない。童顔で小さくて痩せてるためもあるだろうが、他の映画ではちゃんと20代女性に見えるからさすがは演技派。そしてチンピラ少年役のイー・ヤンチェンシーも良かった。こちらはドンユイよりずっと年下のアイドルグループ歌手で実年齢に近い役だが、演技派チョウ・ドンユイに引けを取らない熱演だった。刑事や母親、いじめっ子など、その他の俳優陣もみな好演。いい映画でした。
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