「【考えて続けなくてはならないこと】」レッド・スネイク ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【考えて続けなくてはならないこと】
ヤジディ教徒は、民族信仰とイスラム教を融合した宗教を信仰するクルド人少数派とされるが、たびたびクルド人主流派にも迫害されていたことが、ザラの口から明らかにされる。
クルド人は世界に約3000万人いるとされるが、トルコやイランなど複数の国に跨って住み、国を持たない多数民族で、常にイスラム教スンニ派やシーア派と云った主流派からも迫害・圧迫され続けてきた。
類似してことは「バハールの涙」でも語られたので覚えている人も多いかもしれない。
また、作品中でヤジディ教徒を標的にしていたISが勢力を拡大させたきっかけは、アメリカやイギリスによって化学兵器製造がでっちあげられたイラク戦争や、シリア内戦だった。
確かに、ISやアルカイーダが拠り所とするイスラム原理主義の行う暴力や虐殺、女性差別は最も憎むべきもので許されるようなことはない。
しかし、今こうした事態を招いてしまった責任は、先進国にもあったことは知っておいて欲しいと思う。
また、イスラム教は原理主義だけにとどまらず、女性の権利を押さえつけたままであることも事実だ。
サウジアラビアが女性に自動車の運転を長く認めてこなかったことは、皆のよく知るところだ。
僅かだが改善しているという人もいるが、もし、このIS支配の状況下だけでなく、女性の権利を主張して、女性が武器を持って戦わなければならないとしたら、それは悲劇以外のなにものでもない。
この映画のキャプチャーには、ミリタリーアクションとしてるものがあるが、そんな感覚で観るような作品ではないと思う。
実際にあったことから着想を得ているところからも考えて、観て欲しいと思う。
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