レッド・スネイクのレビュー・感想・評価
全28件中、1~20件目を表示
少々残念でしたが
IS討滅に大活躍したクルド人女性部隊の存在は知っており興味があったので鑑賞。
ISの非情さ(というか控えめにいって頭がおかしい人々)がとても印象的で正直、あまりのぶっ飛び具合に最初はクスりとしましたが、話が進むにつれて引いちゃってる自分がいました。カルトが国(モドキ)を作るとロクなことにならんね。あ、日本にもあったな。
主人公が住む村をISに襲われ、肉親を殺され、攫われて弟と離れ離れにされ、イギリス人からきたIS幹部に買われてからそこを逃げ出してクルド人部隊に助けられて仲間に加わるという流れの中で、細かな心象風景や世情表現などは面白くわかりやすかったのですが、いかんせん、戦闘シーンがチープ過ぎました。もうそこが残念。
まあでも、こういうことがあったんだよ、ということを知る上でも大事な映画だと思います。上映館、もっと増えるといいのにな。
社会派映画
内容的にはもっとエンターテイメント色の強い映画だと思ってましたが、内容はかなり社会派でシリアスです。
実話ベースというところもその影響でしょう。
日本人にはなかなか理解しにくい宗教をベースにした侵略や抗争は、現代社会とは程遠く1900年代初頭で止まっているように見えました。
平和な社会に世界全体がなる事を願います。
今どうなってるんだろう
当時、クルド人女性兵士の活躍が報道されてて、存在は知っていたけど。
アメリカが急に撤退した後、どうなってるんだろう。ロシアばかりで、中東情勢なんて完全に放置されてるから心配。
事実を元にしたムゴイ話だけど、後半は映画映画してたかな。
2022年の今、中東が平和になってるとはとても思えない。それを考えさせられた映画。
評価:3.3
クルドの悲哀も少しだけ
ISの拉致から逃れた女性が、弟の救出の為に、女性だけの特殊部隊「蛇の旅団」に加入して闘う物語。
実際にある部隊に焦点をあてた映画のようですね。
ISの酷さ、ヤジディ教徒の悲惨な運命など、伝え聞いていた情報が描かれていて胸を痛みます。
しかし、映画はその胸の痛みを忘れさせてくれるものでした。人種、国籍、肌の色、そして宗教。全てにおいて多種多様な人々が集まる女性だけの特殊部隊。夫々の違いを散りばめながらも、ISを駆逐する戦闘がしっかりと描かれています。
致し方ない部分ではありますが、女性を中心とした戦闘シーンは迫力に乏しく感じます。その中でクライマックスシーンは少し無理に派手にした印象なのが少し残念。
緊迫感もカタルシスも感じるラストではありましたが、もう少し抑えた方がこの映画に合ったかもしれませんね。
評価は少し迷いましたが4にしました。
戦火の中での女性の苦悩。淡々と描かれる重たいテーマ。
【賛否両論チェック】
賛:“戦時下での女性の苦悩”を正面から描いているので、その不条理さや、それでも戦い続ける彼女達の逞しさなど、思わず考えさせられる部分が多い。
否:アクションシーンはさほどないものの、暴力シーンや殺害シーン等、目を覆いたくなるような描写が多い。
過激派組織に捕まり、奴隷として売られてしまったヒロインを助けた、女性だけの特殊部隊。やがてそこへと加わった彼女が、復讐へと身を投じていく姿が、何ともいえない重苦しい切なさと共に描かれていくのが印象的です。
また、アクションシーンはそれほど多くないものの、女性に暴力をふるうシーンや、非情な殺害シーン等、思わず目を覆いたくなるような描写も多数あります。
決して軽い気持ちで観られる内容ではありませんが、「戦火の中での女性の苦悩」という重いテーマを描いた作品です。目を背けてはいけない戦争の現実を、是非ご覧になってみて下さい。
「難民」の一言ではわからないもの
休みの前日の夜は映画を観ておかないと
なんか損という習性もあり近所ではない
ところでやってたこれを観賞
ISに家族を殺されたクルド人のザラが
クルディスタン勢力の実在した女性部隊に
加わって復讐するお話
感想としては
銃器のリアルな音響や自爆トラックなど
中東情勢の緊迫した空気感は感じ取れますが
なんかフェミニズムを盛り込もうとした
関係で焦点がぶれてしまった部分も
見受けられました
クルド人は国家形態を持たない民族として中東の
広範に暮らしている民族
独自の信仰もしているのですがそのせいか
ISなどにしばしば迫害や襲撃の対象となり
主人公のザラもISによって村を襲撃され
理解者の父を殺され散り散りになります
ザラは奴隷として英国人幹部に買われ
いいようにされますが隙を見て脱走し
救出されたクルディスタンの女性部隊に
殺された父の敵と離れ離れになった弟を
見つけ出すことを誓い入隊します
その女性部隊のチーフは女性社会の
実現も目論んでいるようです
この際IS側の用意した自爆用のクルマなどの
描写が今までになかなか見たことがないもので
こうした描写は目を引くものがありました
クルディスタン兵それぞれの装備も
個人個人でカスタムしてある感じなど
雰囲気がありました
それに比べると展開自体はポンポン飛んで
戦いの場に自然に宿敵がやってきたと思ったら
ロケットランチャーであっさり倒せたり
(まあある意味リアルですが)
ザラを凌辱した英国人幹部をあっさり捕らえられて
弟の居場所を尋問しますが相変わらず侮辱して
きたのでザラはその英国人をメッタ刺しに
してしまいます
凌辱した相手だからそれくらいやり返しても
当然だという感覚もわからなくはないんですが
主人公とするとあんまりそこまでやらない方が
という気もしてきます
こんな男にはここまでやり返してもいい
という肯定っぷりがなんとも
フェミっぽいというか・・
結局その英国人から聞き出したIS首謀者の
居場所に奴隷を装った変装で潜入すると
ザラの弟は改宗されて自爆テロ要員に
させられていましたがザラの説得であっさり寝返り
首謀者も眉間を撃ち抜かれてあっさり死亡
クルディスタン側の勝利となります
しかしクルディスタンはあくまで勢力として
ISに対抗する事から世界各国の支援を得られて
いるだけで独立に関しては協力を得られない
こんなところに特有の難しさがあり
この映画の魅力的な部分だと思います
そんなに悪くはない感じでしたが
実録ものだしもう少しテーマを絞れても
良かった気がしました
史実を基にした作品だけにISの仕業がエグい…エグい分だけ最後スカッ...
史実を基にした作品だけにISの仕業がエグい…エグい分だけ最後スカッとするかと言うと、リアルに政治を描いているのでモヤっとするが何だかな〜あと自爆装甲車てホンマには有るの⁈
銃弾より深く
ヤジディ教の村に住む19歳のザラ。ISに捕らえられた先で別れた弟を探し出す為、女性のみで編成された特殊部隊「蛇の旅団」に加入し闘う物語。
父親は殺され、家族はバラバラに捕らわれる。自身はゲス野郎に買われ、暴行を繰り返され…悲しすぎる。
序盤は、まだ出会わないザラと特殊部隊のシーンを交互に見せる展開。絶望の中にいるザラと、なんなら爽やかにすら見える女性特殊部隊の訓練シーンの対比が印象的。
中盤以降、部隊へ加入してからの展開は、強い女性部隊の活躍がアツい。
どうやらISでは女性に殺害されると天国に行けない(⁉)みたいな考えがあるらしく、蛇の旅団は恐れられている存在だそう。
「男が殺してくれるなら」との懇願。彼らからすれば、死ぬに決まった状況でも、相手が男性なら・・・というのが救いになるのだろうか。狂信的な思想はやはり恐ろしい。。
そして、このような戦闘員たちが誕生するする理由が本作でも描かれており…。これは悲劇的すぎますよね。未熟さにつけこむ洗脳、改めて非人道的だ。
その他にも、悲しむザラを慰める先輩隊員の話や、闘う女性の絆に感動。本筋じゃない部分にも、中東の情勢に関するキーワード的なやり取りもちらほら見せてくれて、これまた勉強になる。
そしてラスト近く、意外にもキュンとさせられる可愛らしいやり取り(笑)
そうそう、勇敢な戦士に見えて、彼女らも普通の女性なのだ。
ラストシーンもワタクシ好み。この闘いが終わっても、クルド人達の物語は続いていくんですよね。
中東に平和が一日でも早く訪れることを願って。
PG12なのはやや配慮が足りないからかな…?
今年57本目(合計123本目)。
内容については多くの方が書かれているので詳細省略します。イスラム国(IS)と女性だけの戦闘員を描く映画です(実話に基づくそうです)。イスラム国問題(ISIL問題)は2011年ごろから出てきたので、ここ10年くらいのいつかの実話ベースなのでしょう。
また、この問題は民族問題がそもそもの背景にありますが、これも他の方が書かれているので詳細省略します(同じ内容になります)。
前半はイスラム教に関する描写が大半、後半は女性戦闘員とIS兵士との打ち合いがメインとはっきり分かれています(映画自体は2時間ぴったり)。後半ははっきりわかりやすいのですが、前半のイスラム教に関する描写が、かなり偏っているというか、PG12になるのも「ある意味、別の意味で」仕方がないのかなぁ…という気がします。
・ イスラム教への改宗を強要する
・ 男女同権どころか女性が人としての権利すら与えられていない(10年ほど前に人身販売だの奴隷販売だのって…)
→ そのあと、(はっきりとは描かれないが)「大人の営み」のシーンになる
・ 「イスラムの教えでは音楽を聴くことは禁止されている」はよくわからない(女性と2人になるな、はある程度わかるが…)
・ 「こんな本は焚書だ」といって燃やしてしまうシーン
→ これだと、コーランが燃やされても文句は言えないように思えます。
・ 「1日以上たった死体に手を出してはいけない」は本当に不明(他の方も書かれていた通り。「1日」で正しいようですが、根拠が謎)
・ 他国の国旗を燃やす(日本では、刑法に触れる)
とはいえ、イスラム教「自体」が危険な宗教というのではなく、一部の異様ないわゆる「原理主義者」を超えた極端な思想の持主の集まりの考え方に過ぎないのですが、そのことの説明がまったくないので(後半は撃ち合いシーンになるだけ)、下手をするとイスラム教に対するいわゆる(広義な意味での)「ヘイト」を生みかねないのでは…という印象です(前半の人権蹂躙と、異様なまでのイスラム教へのこだわりが過激なので)。
「その意味で」「別の意味で」PG12になったのか…という解釈も可能で(ただ、おそらく、多少なりとも撃ち合いシーンはあるので、PG12になったのでしょう)、分別のある大人は理解できても、下手をすると広義な意味での「ヘイト」を生みかねない…という印象は正直持ちました(後半、どこかでリカバーするかと思いきや、どこでもリカバーされない)。
その意味で、「いわゆる、原理主義を超えて極端を超える異様な思想の集団がいる」という前提が頭の中にないと、ちょっと前半、危険なのではないか…という印象です(後半、どこかで「イスラム教の信者が全員が全員、そういう思想を持っているわけではない、というカバーも入らない)。
驚いたのは、これが30年前40年前ならまだしも、2011年以降(ISIL問題は2011年からなので、最長でも10年)の話であり、「なんだかなぁ」と思うとともに、「後半、少しでも良かったのでリカバーして欲しかった」という印象です。
採点は下記の通りです。
-----------------------------------------------------------
(減点0.5) 上記で書いてあることが全てで、PG12というのは「二重の意味で」そうであり、分別の付く大人はもちろん、最近はニュース・新聞も見ない方も増えてきているので、前半の人権蹂躙が極端なので、十分な教育を受けていない層も増えている今日、「その意味においては」G18でもおかしくない内容で(この宗教に対するヘイト感だけがたまってしまいかねない)、どこかリカバーする場所はなかったのか…という印象です(後半は本当に撃ち合いのアクションになるので、どこでもそんな場所はない)。
「その意味で」無教養で見に行くと危ういところはあるかな…とは正直思いました(ただ、日本語版だけ補足字幕を入れることもできないし、日本公開にあたって字幕をつけること以外に裁量権がないので、字幕関係者や日本語版配給会社の帰責性は低いか、ほぼない)。
-----------------------------------------------------------
前半と後半で
ザラが極端に強くなった気がして少し違和感が。女性部隊のメンバーはいっぱいいたのに、彼女が志願したとは言え選ばれると、チームにもリスクがある気がしますね。まあ、脚色としてはまずまずですが。
派手さもなくエンタメ度も低めな感じ。 だけど実話ベースの作品と言う事が信じられない展開に驚き!
イラクのある小さな村をイスラム過激派が襲撃。
男達は殺され女子供は連れ去られ、女性は身売り、子供達は予想外な事に。
身売りされたザラが女性だけの特殊部隊に救われ、彼女もその部隊に加入してイスラム過激派と戦って行くストーリー。
女性だけの特殊部隊には理由があるんだけど、色んな国の女性達がこの部隊に入って来る事にも驚き。
お金目当ての傭兵じゃなくて、自由や正義を求めて戦う女性集団って感じ。
ザラを中心にストーリーが展開して行くんだけど特集部隊の仲間の死が泣ける。
銃の弾は必ず一発残す。と言う決まり事に胸が締め付けられた感じ。
何よりもサラが離れ離れになったら弟と再開出来た時の衝撃的な展開の驚きが凄かった!
恐るべし宗教。
ラストのメッセージ。
「この部隊で亡くなった人に捧げる」
みたいなメッセージが心に刺さる。
絶体絶命の時に航空支援に助けられるんだけど、そのタイミングや着弾地点もかなり絶妙でお見事でした( ´∀`)
フェミニズムの匂いが・・・
監督のこととか何も知らないで、だだ、レッドスネイクという題名と女戦士部隊vs.ISに惹かれて、観賞。戦争、宗教の問題よりも男女差別に対してグローバルに戦っているような感じをセリフなどから受けました。フェミニズム主張の匂いが強い印象を受けました。監督はISに襲撃された有名なフランスの新聞社の記者出身の女性なんですね。
蛇の旅団という女特殊部隊の隊長役のアミラ・カサールが素敵でした。役の上でもクルド人でイスラム教って言ってましたかが、実際の父親がクルド人、母親がロシア人のハーフで、ロンドン出身だけれども、若い時からフランスで俳優活動をしている人のやうです。部隊が劣勢になりピンチの時に隊長みずからロケットランチャーを撃つ場面カッコよかった。実際は50歳近いんですね。びっくり。若い隊員たちのまとめ役。姉御、しびれました!
他の隊員もアメリカの黒人やフランス人など多彩なメンバーで、コードネームをそれぞれ名のるとか、レンジャーもののノリで楽しめました。人種、宗教を超越した部隊組織にして、悪い男をやっつけて、家族を守るというストーリー。より若い人が見に来て、問題に興味をもってくれることを先ずは優先しようと、ジャーナリスト出身の監督は考えたのかも知れませんね。
クルド人問題やその中の少数部族の宗教についてはこれから調べて、勉強しようと思います。
イスラム教の教えには他の宗教からの改宗を強要してはならないとか他の宗教に改宗することを妨げてはならないとあるだろうと言って、父親は撃たれてしまいましたね。大きな矛盾ですが、宗派間の争いも絶えないし、イスラム教はわけがわかりません。
ちょうど、新しく大統領になったバイデン氏がアフガン撤退を打ち出しましたが、シリアはどうなるんですかね。トルコは昔から親日国で、いい印象をもっておるのですが、クルド問題は困ったなぁと思っております。
戦場のメロドラマみたいな作品
確か高校で世界史を習ったときに、イスラム教について「右手にコーラン左手に剣」といって「改宗か死か」と迫ることで布教したと教わった。その後、イスラム教の布教においてそういう事実はなかったということになっているらしいが、シリアのイスラム国やアフガニスタンのタリバンなどのイスラム原理主義者の行動を見る限り、イスラム教は寛容の精神とは程遠い気がしてくる。
キリスト教にも十字軍によるイスラム教徒の虐殺があった。ブッシュ親子の湾岸戦争、イラク戦争も、イスラム教徒に対する武力攻撃という見方ができる。しかし申し訳ないが、テロリストという言葉で思い浮かぶのはアラブ人の濃い顔である。
さて本作品であるが、テーマはいくつもある。イスラム原理主義のイスラム国による虐殺と強奪があり、女子供に対する監禁と蹂躪と強制がある。それは宗教のせいなのか、民族主義のせいなのか、あるいは反アメリカ感情なのか。そして女性部隊にも存在するナショナリズム。
それらの問題が命の瀬戸際である戦場で顔を出すようなスリリングな展開を期待していたのだが、実際の映画は、はっきり言ってテンポが悪くてかなりダレる。演出にメリハリがないから、戦闘シーンで息を呑むこともない。戦場のメロドラマみたいな作品だ。せっかくのテーマと題材がもったいないと思う。似たような作品にゴルシフテ・ファラハニが主演した映画「バハールの涙」があるが、本作品はその足元にも及ばなかった。
今年最高の一本の予感
素晴らしかったです!
ポスターからアクション映画と思われそうですが、銃撃戦以上に宗教や戦争に翻弄される一人の女性の生き様を丁寧に描いた実話ベースの人間ドラマです。
主人公はISIS(イスラム過激派)によって目の前で父親を殺されたヤジディ教徒の女性ザラ19歳。彼女が戦士として立ち上がり引き離された弟を探すドラマです。
個人的に人間同士が殺し合う戦争に大義などないと考えていましてが、本作の女性による特殊部隊の活動を観て考えが変わりました。
異教徒を容赦なく殺しまくるISISを一掃すべきと考えるのは必要な行動だと思えました。国益の為に戦争を仕掛け民間人を何万人も犠牲にしている米も本来なら責められるべきかもしれません。
教養のない自分はいつも思います。そもそも神の存在が争いを生む原因なのではと。
作品の中でも描かれていましたが善悪の判断がつかない子供を洗脳して自爆テロをさせると聞いたこともあります。戦う意味も分からぬまま犠牲になる人も。
日本人の自分達にとって戦争は対岸の火事です。実際戦争の犠牲になっている人々の苦しみなど全く理解出来ないでしょう。
広島出身の自分は小学生の6年間8月6日の登校日に原爆の映画を観せられました。とても凄惨でリアルな原爆の映画はトラウマになりました。だからこそ戦争に対する絶対的な嫌悪感があり、その経験に感謝しています。
本作を観ていて感じたのは生命に対する重さや価値観の圧倒的な違いです。こんなにも容易く蹂躙され失われるのかと改めて考えさせられました。
そんな中、自分の命をかけてISISに立ち向かう彼女たちの勇姿は、個人的にはあまり好きではない言葉ですが『正義』だと思えました。作品の描き方もあるので一概には言えませんが。
平和と思える日本でも国連から非難されるほどの人権侵害が入国管理局で行われていたり、希望を抱いて来日した技能実習生が奴隷のように扱われ100人以上死んでいたり戦争とは異なる犠牲者を出し続けている事実。安い労働力としての外国人は受け入れても難民は頑なに受け入れない。五輪開催に相応しい国とは到底思えません。
恐るべき憎悪と侮蔑
前半は男たちに恐れられる女性特殊部隊の暴れっぷりと、父を殺され家族と引き裂かれ将校に乱暴される娘の悲惨な物語が、重ね合わせで描写される。この同時進行が意外に新鮮。
援軍の空爆も利用して、他勢に少人数で果敢に向かっていく女性部隊は、同じ対IS戦をテーマにした総力戦のアウトポストなどとはまた違う緊迫感があった。故に作品的にはもう少し細かく見たかった。
女性兵士たちの生活や行軍・戦闘は主軸として描写されるが、その中で、主人公と見做されるザラが、戦い慣れたレッドスネークに変貌していく姿は、実は明確には描かれていない。そうか。キャッチの「私は彼女たちと共に戦う」の「私」は特殊部隊のメンバー一人一人のことを指していたのだ。これは戦場で命運を共にするシスターフッドの物語だったのだと思えば、それはそれで納得できる。
ラストシーンで、自分たちの独立は正式には認証されなかったと悲しく笑うリーダー格の男女の姿によって、民族戦争の救い難く困難な未来が伝わってくる。結局、勝者もひとときの安堵の後、また次の戦争の荒野に放り出される。
さて。
実は堪らなく不気味な感覚が残る。市街地を巡回していたISの街宣車がつぶやいた「死後1日経った死体とは交わるな」とは何? 「1日」の部分は聞き間違いかも知れないけれど、このようなそら恐ろしい警句が本当にあるのだろうか。
女性に殺されると天国で天使と交われないと信じて、女性部隊を恐れていると言うのはこの作品の一つのテーマになっているし、是非は別にして、ISへの憎悪に加え、強烈な侮蔑も盛り込まれた作品。
【考えて続けなくてはならないこと】
ヤジディ教徒は、民族信仰とイスラム教を融合した宗教を信仰するクルド人少数派とされるが、たびたびクルド人主流派にも迫害されていたことが、ザラの口から明らかにされる。
クルド人は世界に約3000万人いるとされるが、トルコやイランなど複数の国に跨って住み、国を持たない多数民族で、常にイスラム教スンニ派やシーア派と云った主流派からも迫害・圧迫され続けてきた。
類似してことは「バハールの涙」でも語られたので覚えている人も多いかもしれない。
また、作品中でヤジディ教徒を標的にしていたISが勢力を拡大させたきっかけは、アメリカやイギリスによって化学兵器製造がでっちあげられたイラク戦争や、シリア内戦だった。
確かに、ISやアルカイーダが拠り所とするイスラム原理主義の行う暴力や虐殺、女性差別は最も憎むべきもので許されるようなことはない。
しかし、今こうした事態を招いてしまった責任は、先進国にもあったことは知っておいて欲しいと思う。
また、イスラム教は原理主義だけにとどまらず、女性の権利を押さえつけたままであることも事実だ。
サウジアラビアが女性に自動車の運転を長く認めてこなかったことは、皆のよく知るところだ。
僅かだが改善しているという人もいるが、もし、このIS支配の状況下だけでなく、女性の権利を主張して、女性が武器を持って戦わなければならないとしたら、それは悲劇以外のなにものでもない。
この映画のキャプチャーには、ミリタリーアクションとしてるものがあるが、そんな感覚で観るような作品ではないと思う。
実際にあったことから着想を得ているところからも考えて、観て欲しいと思う。
やむを得ず
実話ベースとはいえ、フィクションとしてきっちり盛り上がるべきところもちゃんと作ってありカタルシスもあるが、実際の彼女たちは何重にも疎外されていて、出口もない。
少数民族だったり、異教徒だったり、後家だったり、そして彼女らは女性だということで、更に阻害され搾取されている。
それを払拭するかのように彼女らは戦うが、それが本意であるはずもない。
やむを得ず彼女らをそんな闘いに追い込んだ、それを強い続けている、この世界が正しい訳がない…
全28件中、1~20件目を表示