サンドラの小さな家のレビュー・感想・評価
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小さな物語だが、大きく胸を打つ
映画では様々なメタファーが物語に深みをもたらす。建築物はその最たるもので、ただ何気なく映し出されるだけでも如実な心理投影となりうる。翻って本作は、まさにこの手法を真正面に据えた、力強い秀作だ。住む家をなくし崖っぷちに立たされた時、人は一体どうするか。きっとケン・ローチやマイク・リーの映画ならじっと耐え忍ぶ姿を描くことで問題提起を図り、ほかの作り手なら主人公の個性や才能で突破口を空けようとするはず。その点、本作のヒロインの才能は「ならば自分で家を建てよう」というコペルニクス的発想と、”素直に誰かに頼れる”ことに尽きる。我を張らず助けを求め、最良の仲間を一人、また一人と増やしていく。そうやって心と暮らしをもういちど再構築する様が、濁りなくストレートに胸打つ。個人戦から集団戦へと気分を高揚させる巧さはフィリダ・ロイドの面目躍如。原題"herself"と浮かび上がる瞬間の感性といい、鳥肌が立った。
イギリスの住環境
ストーリーの流れは「それなり」に抑揚があって良いが、一番目をひくのはイギリス(やアイルランド)の住環境。アメリカや日本(一軒ごとの規模は全く違うが・・・)のような建売の住宅地みたいなものでなく、庭や植物できれいにレイアウトされていて、日本の里山ぐらしの良い見本になりますね。
結末はともかく‥
ちょっと上手く行き過ぎを感じた。
夫から逃げ、ドン底から這い上がろうとする彼女だけど、土地は貰えちゃうし、見ず知らずの人達に家は建てて貰えちゃうし。現実的ではないと感じてしまった。あまり入り込めなかった。
評価:3.2
子供の演技に感心
DVから逃れる母親が立ち上がっていく話だがご都合的に物語は進んでいくが、これも母親が自ら動いた結果で素敵な周りの人をたぐり寄せたと思う.。
ただ一人、素敵でなかったのがDV夫。
子供に暴力を振るわないのが救いだが次女にDVの現場を見られなついてもらえない。
当然のことながら次女の心の内を思うと切ない。
折角、みんなで力を合わせて作った家も最悪な結果がまっていたけれどそれがDV夫との縁の切れ目に繋がった。
そしてどん底にいた主人公を立ち直せるきっかけになったのは子供2人だった。
本当の姉妹のように思えるくらい自然な演技で良かった。
それにしても夫のおかんのラストでの告白。
わかってたらもっと早くになんとかならんかったんかと怒りを覚えた。
ただ、そのおかんも苦労したんやろなあと思うとやるせない気持ちで一杯だ。
今もDVに苦しんでいる家族は後を絶たない。
表沙汰になって知ることになるが悲劇ばかりでかわいそうな子供たちがそこに苦しんでいた。
世界中の子供たちにDVのない楽しい幼少期を過ごして欲しいと願う。
邦題、なんとかならんか。
ケン・ローチ作品かと。でも同じニオイがしたな。
DV旦那からすごく離れた街に逃れたのかと思いきや、影を潜めて生活している訳ではなさそうだし、娘達を面会させるために顔を合わせなければならない。
ダブリンが舞台?
大きな街だと思うけど、資材屋さんで元旦那の同僚?と店で会うとなると、狭いコミュニティなんだろうか?
掃除人?の仕事は昔からやっていたようだが、それも唐突だったし。カフェの仕事も然り。
子供達の学校は変わっていない?
細かいことは端折っても構わないが、いろいろわからないとモヤッとしてしまう。
週末ごとに集まる、見返りを求めないボランティア。
そんなにうまい具合に集まるものだろうか。
子供の友達のお母さんって…ご都合主義だなと。
土地を使わせてもらえたのは、大きい。というか、それがなかったら無理だったんじゃない?
家造りの過程が見られるかと思ったが、そこは少なくて残念だった。
生活のために仕事を掛け持ちし、その上週末は家のセルフビルド。
いくら若くても無理〜と思ってしまう。
結局力仕事などは男性陣に頼るところなど、やや甘いかなと。
完成して歌ったり踊ったり。
こういうところが好きだなぁ、アイルランド。
こういう人との付き合い方をしてみたいわ〜。
困った人がいたら、救いの手を差し伸べる。自分で可能な範囲、例えば、...
困った人がいたら、救いの手を差し伸べる。自分で可能な範囲、例えば、言葉だけでも救われる人は多いと思う。そんな、世界になれば、どれほど穏やかに日々過ごせるだろう。
深刻な問題だが、愛のある物語
夫のDVに苦しみ、幼い娘とヴラックウィドウ作戦を計画し、いざというときの訓練をしてきたんだな、娘はきちんと任務を遂行し、サンドラと2人の娘は家を出る事が出来た。家を出てもホテル住まい。彼女たちのような人を受け入れる施設はないのかなあ。ホテル暮らしじゃお金も尽きてしまう。
サンドラは家を自分で建てようと思いつくが、その決断すごいよな。でもペギーのように土地を提供してくれたり、無償で手伝ってくれる工務店の親子や友達、バイト仲間とその仲間。いい人に恵まれていて幸運でした。サンドラの人柄がきっとそうさせたんでしょうね。
みんなの協力があって建てることができた家を、クソDVダンナがあんな事を、、、
みんなの努力を思うと気の毒で、、、。
諦めずに絶対に家を建てるぞっという意気込みが感じられる最後で、サンドラ頑張れ〜と応援したくなる映画!
助け合い精神大切
DV夫から逃げてホテル(役所の斡旋)住まい、幼子二人抱えて大変なサンドラ。
「住む場所がないなら、自分で家を作ればいい」。
発想の転換ですな。
でも一人じゃ建てられないし、第一場所どうする⁈。
サンドラの思いをPCの閲覧履歴で知った、バイト先の人。
お店で罵倒されているのを見た、建築屋。
見かねてそっと手を差し伸べるところが、あったかい。
DVのシーンが若干あるけど、そこは音がほとんどなくて。
見ている方は恐怖感は感じません。
その代わり、人が集まってサンドラの家を作っていく過程は。
上がる音楽が挿入されてて、メリハリあり。
印象的だったのは、バイト先の人は元お医者さんでよろよろだったのが。l
サンドラの母のような位置に立ってから、すごく元気になっていく。
ここ、ポイント高し。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「助ければ助けられる」
女三界に家なし 「女」偏に「家」で「嫁」と書くけれど。 ウィドウ頑張れ。
ツバメたちが南の国に帰るシーズンとなりましたね。
泥と藁でこさえた小さなあの巣は、雄ツバメと雌ツバメの働きの結晶。彼らの子育ても完全に共働作業でしたね。
みんなで元気に海を渡ってね。
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DV で婚家を脱出したサンドラが自力で家を建てます。
この映画、題名を失念したのでスマホで検索をしてみると
【女ひとりで家を建てる】というサイトやブログがたくさんヒットしました。これ、いろいろ考えさせられました。
時代なのかもしれません。
女たちが、男の支配を受けない世界を掴むため、慣れない大工仕事に取り掛かってみる。あるいはお一人様で銀行のローン審査に挑戦をする。
「家屋」は意地と自立の象徴なのです。
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(でも「男も家を建て、死ぬまで働いて、ローンを払ってボロボロになってるんだよー」ってことも女性陣は忘れないでね。
もしも専業主婦で「亭主元気で留守がいい」なんて恩知らずな暴言吐く方がいるならば、あなたのやっていること、あなたの言っていること、それも、許されない夫へのDV なのだと気付いてね。
意外と忘れていると思うんだ。お願いしますよ)。
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僕は先月6月で家のローンが終わった🎉㊗️はァ~、やれやれです。
けれど、気がついたら奥さんも子供たちも誰もいなくなっていたんですね。
25年の返済。ひとりぼっちの孤軍奮闘の記録。歴史遺産ですね。
ヤドカリに二人住まんと思へども もぬけの殻の家の哀れや
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サンドラを男たちが助けます。いい奴らだ。
男ってね、家を建てることの決断の大きさと、その苦労の重みを自分の体験で身に染みてわかっている。だ・か・ら、家を建てようとする者を助けるのです。
サンドラが女だからとか、DV被害者だから応援するとか、「済まないな」という“償い”の気持ちからだけで男たちは手を貸すのではない。
それぐらい家を建てるのは大変。それを知ってるから男たちは安請け合いはしない。でもやるとなったら本気で肩入れして、腕まくりをするんですよ。
一念発起の友だちを手弁当で助けたくなるのです。
移民や年寄りもサンドラを助けます。
女友だちの応援も素晴らしかった。ペギー先生(ハリエット・ウォルター)が、映画の冒頭とは逆にサンドラを後ろから抱えあげて、もう一度立たせる。
ちょっと“トントン拍子”過ぎてストーリーが安直か?と思いきや、ラストでちゃんと現実とのバランスを取りました。
それにしてもDV亭主のガリーは非道かった。あの暴力は見るのも苦しいけれど、実相をよく撮ってある。
僕の実家で、シェルターに移動させるまでの数日、親子を匿ったことがあるのです。わかります。
あの狂気の粘着性から逃れさせるために親子を変装させて裏口から飛行機に乗せました。
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人間は万物の霊長と言うけれど、どうしてこんなことになっているのかなぁ・・
ツバメの雛は、男親と女親が、無心に協調して育ててくれたことを見て育ち、今度は自分たちが大人になってふるさと日本を目指して海を渡って帰ってくる。そして何の疑いもなく僕らの家の軒先にツバメ夫婦はまた巣をい抱く。
こんなに単純で美しい子育てが、自然界では続いているのに。
ツバメの巣・・
畜生にこそ幸せのありぬるを
学ばないとね。
重いな...。
子どもたちと住む家。
それは、サンドラにとっての
隠れ家であり安心の場所。
途中、えらいトントン拍子に家が出来て、
そんなんありえるー?!と思って、
家が完成して、わーい!ハッピーで終わるのか?!
うん、なんか、あっさり。と思っていたら、
最後にマジかっ!の展開で、びっくりした。
義母のセリフも、ちょっと重いなぁ…。
サンドラは、そこから逃げ出す強さがあって良かったけど、
逃げ出せない人も、たくさんいる現実に苦しくなった。
しかし、ホンマに、ありえない夫だったよ。
つまらなかった観客の雑感 + 日本のこと
真面目でハートウォーミングな作品ながらも、ビターな風味が入っているところは良かった。
しかし、「DVからの逃避者が自分で家を建てました」というのは、因果関係からしても、居場所を特定されるリスクからしても、リアリティに乏しい無理筋な展開に思われる。(だから映画になるのだが。)
また、DVそのものを扱った作品ではないし、DV男から逃げ出した後の話としても、映画「ジュリアン」ほど興味深い作品ではなかった。
不幸なDVと幸福なDIYという、全く無関係なテーマを、ショッキングなラストで結合して見せた着想がすべての映画だと思う。
他にも不自然なところがある。
司法の場で、顔のアザや末娘のパニックを、初めから訴えなかったのは、なぜなのか?
裁判官が、サンドラの告白で態度を変えた(ように見えた)ことも奇妙だ。そんな情緒的な場所なのか?
エンタメとして成立させるために、“逆転劇”を仕組んだとしか思えず、興ざめした。
エンタメにしたいのなら、初めはDVのフラッシュバック映像は出さず、次第に事実が明らかになっていくような法廷サスペンス形式にすべきではないか?
アイルランドは日本と異なり、とりあえず双方の言い分を公平に扱うシステムになっているようだ。
一方、日本では、将棋棋士の橋本八段が、妻が子供を連れて出て行ったことで、廃業に追い込まれた。
日本の裁判所は「母親かわいそう」という前提しかなく、母親の証言を鵜呑みにして、一方的な「連れ去り」を許容しているとのことである。
本作品では、観客は真実を知っているから良いが、一般的には、第三者の勝手な臆断は慎まなければならないだろう。
良い意味で裏切られました
この作品を観ようと決めた時点で想像していたのとは違う形の、もっともっと深い幸せが描かれているように感じました。
愛情、真心、信じる心、ひたむきさ・・・に惹きつけられて人は集い、力を貸してくれる。
それは目に見えない、誰にも奪われる事のない「彼女自身」の財産なのだと思わせてくれる、遠くにかすかな希望が見えるような良い作品でした。
こうでなくちゃ!
夫の暴力に苦しむ女性サンドラ。2人の娘を連れて家を出るが、待つのは先の見えない暮らし。。そんな中、娘の話がきっかけで、自分で家を作ってしまおう‼となるが…といった物語。
当然、家が簡単に建つはずもなく、問題は山積み。それでも、親切な人達が少しづつ集まり、念願の家建設が始まっていく。
こんなうまい具合に助けてくれる人って現れる!?…と思いつつも、行動するからこそ奇跡も起こるのか。皆も2人の娘の為に頑張るサンドラに心を打たれたのでしょう。
法廷のシーンも見所。サンドラを励ます先生の言葉に涙‼後ろめたいことはあっても、真実に勝る正義は無いですよね。…ってかその前に、あの旦那、普通に勝ち目なんてないんじゃないかとも思ったけど。大人の世界はそう単純じゃないのか…。
その他、助けてくれる皆さんも魅力的。思うのは、この人達も色々な問題に悩んでいるというのは想像に難くないっていうのがね、苦しみを知るからこそ、無償の供与ができるのでしょうか。
特に先生。サイドストーリーが見たい。アシュリンの隠れ家(だっけ?)、説明されていましたっけ??
そして母さん…、ある意味、全部持っていきましたね。今彼女は何を思うか。。
とにかく、それぞれ立場も性格も異なる親切な人が沢山のポカポカする作品だった。
サンドラだけでなく、皆で建てた家ですからね。涙が物語っています。新たな決意を感じる表情も◎
一つだけ挙げるならば、クレームのお隣さん。正直彼の気持ちはよくわかるw
出て来るの良い人ばかりだし、どうせなら…手伝った方が早く終わるんだろ?とか言って協力してくれたらムネアツだったのに(笑)
あ、あとBGMのセンス、最強。
こんな時期だからこそ響いた
題名、予告からなんとなくストーリーは予想がついていたけれど試しに観てみた。
先入観を打ち破って、この時期だからこその人の温かい心、諦めない心に感動した。
音楽もよかった。
映画はやはり良いな。
メハルの精神、そして「家」を持ちたいという気持ち
DV夫から逃げるために、自らの手で家を建てる女性の物語。雑にまとめるとこうでしかないのだけれど、計算され尽くしたハートウォーミングなドラマだった。「計算され尽くした」というとネガティブな印象を持たれるかもしれないので使うのを躊躇うが、そうとしか言いようがない、巧みに組み立てられた脚本と演出、演技、更にBGMまでも見事な構成だった。
夫からの激しいDVに、幼い娘二人を連れて逃げたサンドラ。しかし生活基盤のない、恐らくは専業主婦であったろう彼女にとって、公的補助はあれど子供二人を抱えての生活は厳しい。
そんな中、娘が組み立てていたブロックの家を見て、自分で家を建てることを思いつき、ネットで検索したところ、まさにうってつけの図面と建て方をレクチャーするサイトを見つける。ただ家を建てるには土地がいる。放置された公有の空き地を見て回って溜め息をついているところに、雇い主の医師から土地を提供するとの申し出を受ける。
雇い主の医師オトゥール先生、建築業を営むエイドとその息子フランシス、パブで働く同僚エイミーとその同居人たち、ママ友ローザ、みんなサンドラの誠実でひたむきに生きる姿に共感を覚え、サンドラの協力してほしいという依頼を快く引き受けてくれる。
エイドは言う、これは「メハル」だと。
アイルランド古来の伝統、皆が助け合う精神を「メハル」というのだそうだ。いい言葉だ、と思った。
細かく見ていくと語りたいものがたくさんあるのだが、特にいいシーンだなと思ったところが二つある。
一つは、元夫との間で娘の親権を争う法廷に向かう時、サンドラの左目のあざを隠すコンシーラを拭い取り、サンドラはこうでなくては、と勇気づけるオトゥール先生改めペギー。どうやらこのあざはメイクではなく、サンドラを演じるクレア・ダンが生まれつき持っているもののようだ。実際、あざを隠さずに生きるということが、サンドラの、演じるクレアの強さを現している。
もう一つが元夫の母親、つまり元義母との会話。彼女はずっと、画面の隅で何かを言いたげにサンドラを見つめる姿が描かれていたが、ラスト近くでようやくその重い口を開く。正確に言えば彼女が思いを吐露しただけなので独白なのだが、長年抱えた苦しみを告げる口調が、忍耐の日々を思わせる疲れ切った姿と相まって痛々しい。
他にもオトゥール先生がどうして相談してくれなかったと詰め寄るシーンや、何度かの逡巡の後エイドが助力を引き受けてくれるシーンなど、語りたくなる場面の多い、良い映画だった。
そして、観終わって改めて考えてみた。「家」というのは、常に家族が安心して暮らせる場所なのだ。DVに遭い、逃げ出しても常に生活に追われ、家賃補助があってホテルで暮らしていてもずっと心が休まる場所ではなかったサンドラにとって、娘二人との安住の場を求める気持ち。わたしにはそういう経験がないから完全には理解ができないけれど、サンドラが家を求める気持ちは分かる。彼女たちが何にも邪魔されることなく安心して暮らしていけることを願ってやまない。
フランシスがよいじゃ無いですか
ポンコツチームが活躍する話は大好物です。
ちょっと、多様性を気にし過ぎているように見えるけど、本職の俳優かは存じませんが、フランシスが出ていて良かったよ。
日本ではある意味隠されていくけど、フランシスは安全靴履いて仕事をして、ビールも飲むし、気の利いたことも言う。でも、特別な存在じゃ無い。他の作品もこうであって欲しいです。
「37セカンズ」の佳山明とか、「ドレンディドラマ」とかにガンガン出ればいのに
DVの元夫の対決 + 家を建てる話 + 隣人のありがたみの話
「3万5000ユーロで建てられる小さな家の設計図を提供する」という建築士の話をネットで見て、自分で建てようとする話がプロットの大きな柱の一つです
3万5000ユーロって450万円くらいみたいです。450万でも大きなお金ですが、これで小さくとも家を建てられるなら安いですよね
でもそれは建築に必要な材料の費用、ということみたいです。土地は別
まず書類申請が通らないといけない。映画では詳しくは出てきませんでしたが、建築の資格がある人が監督しなければならないのでしょう
そして土地があって申請が通って材料を揃えたとしても、実際に家を建てる技術がある人がいなければできません
いろんな道具も必要。そして実際に作業をする人手が必要
みんなで家を建てている様子はなかなか楽しいです
ただ、家の建物は出来ても電気はどうするのかなあ。ガスは? 上水(水道)と下水は?
住める家にするにはそこが大変だと思うのですが、そのあたりはあまり触れてなかったのが少し不満かな
そんなこんなの家を建てる話でもあるのですが、プロットを進めるいちばんのメインはDVの元夫との話でした
===!!以下、軽いネタバレ含むので、未見のかたは飛ばしてください!!===
手を骨折?するほどの暴力を受けて、子供二人を連れて離婚した女性が主人公です
ある女医さんの家の清掃の仕事とパブの清掃の仕事をかけ持ちしているが、収入が少ないので住める部屋が見つからない
市の福祉で一時的なはずのホテルの一室での生活が続いていて、公営住宅も何百人待ちの状態で順番までまだ数年はかかりそう。(それで家を建てることを思いつく)
DVの元夫とは完全に縁が切れればいいのですが、娘たちの父親ということで毎週末に子供たちと面会させる取り決めになっていて、会わざるを得ない
元夫はあれだけ酷いことをしているにも拘らず「僕たちが離れ離れなのは子供達のためにもよくない」「僕は変わろうとしている」とかそういう甘言を弄してヨリを戻そうとしてくる。その一方で、下の子供が父親と会うのを嫌がると「お前の躾が悪いからだ」「お前が悪い話を吹き込んで会わないようにしているんだ」とか言いやがります
かつての暴力で酷い肉体的および精神的な苦痛を受けているのに、その元夫と定期的に会わなければならない苦痛。刺激して怒らせないよう、嫌がる素振りは見せられないし、子供にもそういうことは悟られないようにしなければならない。接触禁止のはずの元夫が、仮住まいのホテルに現れたときの恐怖。そして何もなかったかのように優しい素振りをして復縁しようとするのに、上手くいかないと彼女をなじる
そういう状況のツラさがよく描かれており、この映画のメインはそこだと思いました
((英語だとこういう人のことを manipulative personと言ったりしますよね。直訳すると「操作的な人」ですが、自分の責任には一切認めずに、巧妙に相手に罪悪感を持たせたり心理的な弱みにつけ込んで、他人を意のままにしたり利用するような人。そういう元夫が上手く描かれています))
あと三番目の話の軸は、人の人情ですね。家を建てるには土地も必要だし、建築の技術や知識のある人も必要だし、人手も必要
それほど深い仲でもない人たちが徐々に手伝ってくれる話の展開は少し都合よすぎる感じもするし、日本人なら申し訳なさすぎて頼みづらいと思いますが
それでもダメ元で頼んでみるし、頼まれた方も気軽に手伝ってあげたりするのはアイルランド的互助精神・人情ということらしいので、良しとしましょうw
女医さんは準主役ですが、その他の色々な脇役の人たちも皆おもしろそうな人物な割にはあまり掘り下げてないので、その辺りの話をもっと増やしいればまた別な、より楽しい話になったでしょうね
ただ上記のとおり、本作の話のメインはDV夫との対決となっているので、致し方ないでしょう
===!!以上、軽いネタバレ終了!!===
総評としては
DVの元夫との対決が話のメインなので、そういう話は見たくないという方には向かないと思います。物理的な暴力場面が多く出てくる訳ではないです。ただ本当は顔も見たくもない元夫に子供を会わせるために何度も会わなければならない
ただそういう人間のありさまを見るのも勉強になりますし、全体に暗い話ではなく、家を建てているところは楽しいし、脇役の人たちも上手だし、そんな話なら見てもいいという方にはお勧めできます!
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