「家を建てるワクワク感がもっと欲しかったかな?な作品です。」サンドラの小さな家 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
家を建てるワクワク感がもっと欲しかったかな?な作品です。
予告編を見てた時から結構気になっていた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと、個人的には悪くないかな?と思うんですが全体的に重い感じです。
DVの旦那の暴力から耐えきれず、娘二人を連れて別居状態になるが、公営団地の順番待ちもかなり先。
ホテルでの仮住まいも金銭的には危うくなる中でサンドラはふとした事から自分で家を建てる計画を実行しようとするが、何の知識も無い事に壁にぶち当たるが、様々な人の協力もあり、家の建築は順調に進んでいく。
だか、旦那が親権の違法をたてに裁判を起こす…
ざっくりと言うとこんな感じのお話で初っぱなから旦那のガリーがサンドラに暴力を振るうシーン。
暴力を振るいながら「自業自得だ」と言うセリフに吐き気がする。夫婦の問題があるかは置いといたとして弱き者を暴力を振るうのは大嫌い。
弱者を痛めつける事を正当化する事自体に嫌悪感がします。
自分の家を自分自身の手で建てると言うのはモノ作りが好きなDIY系の人には目標と言うか理想の1つ。
それを行うと言うのはもっとワクワク感があっても良いと思うんですが、そんなワクワクを置いといて結構どんより感が漂いますw
サンドラが娘を連れて家を出たのも旦那のガリーが圧倒的に悪いのですが、この作品のなかなかダメな所はサンドラが結構ワガママと言うか身勝手に映りますw
何の知識も無い状態でいろんな人達に協力を要請するが、正直きちんとした手当てを払っているとは思えない。
殆どの人が無償もしくは微々たる賃金で働いていると思われるだけに建築の中心にいるエイドにもいろいろと口論になりますが感情的になると「手伝ってくれて感謝」感が物凄く薄くなって上から目線になるんですよねw
勿論、サンドラもいろんな事があって情緒不安定と言うのは分かるが、それを協力してくれている人達にぶつけるのはどうかと。
「ちゃんと仕事して!」なんてセリフはきちんとした対価としての賃金を払っている人が言うセリフで、それをボランティアに近い人には言っちゃあいけないと思うんですよね。
なので、劇中であんまりサンドラに共感出来ない部分も多数ありますw
クライマックスの親権に関する裁判もいろいろと不利になる場面が多々ありますが、サンドラのミスと言うか、不手際で不利になるのがちょっと多い。
それがサンドラへの共感を薄くさせてるんですよね。
また、いろんな登場人物も割りとそれ以上でもそれ以下でもなくて結構おざなりと言うか存在が雑。
もっといろんな役割と言うか、意味があっても良いキャラがいても良いのにその他大勢にしているのは勿体無いかな。
一番はサンドラの左目下にあるアザはサンドラのアイデンティティでもあるんですが、言う程意味が成してない感じです。
他の方も言われてますが、ケン・ローチ監督作品に近しい感じがあります。
ケン・ローチ監督の作品は貧困などの社会問題に焦点を当てて、報われないのが多いですがw、この作品も割りとそんな感じで予告編とかタイトル程ふんわりした感じては無いw
なので、予告編のイメージで観ていくと結構ビックリします。
娘2人がなかなか健気で頑張り屋さん。ちょっと大きめの安全ヘルメットを被るのなんて可愛らしい♪
でも、完成した家は中は良い感じなのに、外の色は紺色ってどうなんでしょうか?もの凄く重い感じですw
裁判で逆転不利になったガリーが出来たばかりの家に放火をすると言う暴挙には予想が出来ていたにしても観た時には口がアングリしました。それぐらいビックリ。
その後、ガリーは捕まり、長いお務めになる訳ですが、ガリーの母親がサンドラに話したガリーの性格も幼き頃に形成されたと言うのもケン・ローチ作品な感じなんですよね。
燃えた家の灰や砂を親子で救っている所なんかも、また立ち上がるしかない…的なメッセージがケン・ローチ作品っぽいし、なんか「ミナリ」みたいにも思えます。
真となるメッセージはDV、シングルでの子育て、貧困と言った現代社会が抱える問題であっても良いのですが、もっとDIYでの家を建てよう!のワクワク感を醸し出してくれても良かったかなと思います。
良い部分が多いだけに、その良い部分が活かせてないのは「ブラック・ウィドウ!」ですよw
でも、いろんな事を考えさせてくれる作品ですので、ご興味がありましたら如何でしょうか?
ねもちゃんさん
コメント有難うございます。
また、お誉め頂きまして、光栄です♪
「ミナリ」とちょうど同時期の公開でラストの視点が割りと似ているのでそう思いましたが、もう少し家を作るぞ~!感が楽しく出ていても良かったかなとは思ったりします。
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪