「自分の居場所は自分で作る」サンドラの小さな家 B25(海外出張の為一時休会予定)さんの映画レビュー(感想・評価)
自分の居場所は自分で作る
ユーロライブにて試写会鑑賞。
2人の娘を持つ主人公のサンドラは夫から激しい暴力被害を受けてる所からストーリーは始まる。
警察の介入により法的にサンドラと娘たちは夫と別々で暮らすことが認められ自宅から離れるが、金銭的な余裕もなくホテル暮らしが続く。
2人の娘の面倒も見ながらサンドラは昼夜ともに働かなくてはいけない環境となりとても苦労している姿が描かれる。
そんな厳しい生活の中で低予算で自分で自宅を出る事ができることをネットで知り自分もマイホームを建築することを決断する。
もちろん技術も知識もないわけだから1人では無理である。
そこで同じ街に住む人たちがサンドラの現状を理解し協力する事を決断し半ばボランティアでマイホーム作りを協力する事となる。
そして勤務先の雇い主の人からも事情を理解され土地を譲られ資金援助も受けることとなる。
この辺は主人公に都合が良い展開が続くがまぁ周囲の優しさ、そして優しい言葉が魅力的に描かれている。
そこから家を建築するのがストーリーと主となるが建築作業にスポットを当てるというよりかは、家を作りながら娘たちの面倒も見て、そして生活費を稼ぐために働く…加えて夫との娘の親権問題も発生し、行政の手続きも行いと自分の居場所を確立するのに必死なサンドラの姿が終始描かれる。時には一人で抱えきれずパンクしかけても娘の存在や仲間の存在が優しく描かれサンドラを立ち直らせてくれる。
最後は家を完成させたが完成直後に夫に放火されあっという間に家は塵となってしまう。
夫は逮捕され刑期も長いことから、娘の親権問題をはじめとした夫からの圧力が解放されようやく自由となり再度新しい一歩を踏みはじめるところで作品は終わる。
ストーリーとしては上でも書いた通り少しサンドラに都合の良い展開が続き飽きを感じる。
裁判シーンとかは特に感じた。
ただこの作品の良いところは人の優しさや、DV夫から離れる事ができてもさらに苦労するサンドラの姿、そして娘の健気な姿がとても美しく描かれた作品である。特に娘のセリフが妙にリアリティがあったりして心を擽られる。
物凄く心に響く作品とまではいかなかったが心が少し温まるハートフルな作品ではあった。