アンテベラムのレビュー・感想・評価
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次回作に期待
冒頭のエピグラムと、過去が舞台なのに年代を示すテロップがない事から、本作の仕掛けは開始10分ぐらいで容易に想像がつくものだが、そうなると後に残るは黒人虐待の鬱展開と中盤から始まるダルいネタばらし(ここで主人公が乗馬が上手い理由の伏線が張られている。念のため)があるだけで、映画館の暗闇で腕時計の文字盤を見るという、チャレンジを何回かしなけばならない。
ただ、マジックアワー、長回し、馬、銃、そして、死と長編デビュー作の冒頭でしっかり映画に仁義を切るあたり好感が持てるし、ラストのスローモーションは幻想的でエモーション溢れる本作白眉のシーンになっており、このシーンを見れただけでも、観に来た価値があったというものだ。
もちろん、このシーンの為に1時間40分我慢してくれてとは、口が裂けても言えないが。
映画館に行こう。余計な情報が入る前に。
怖い。現実にありそうに感じてしまうほどのリアリティーを作り上げたことに驚き。
南北戦争の知識も持つ南部のアメリカ人なら、もっと怖いし、もっと伏線がわかるのではないか。
余計な情報が入る前に映画館に行ってください。
ネタバレしません(?)
南北戦争
1861年から1865年にかけて北部のアメリカ合衆国と
合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦
黒人奴隷に綿花栽培させ大儲けしていた南部に対し
米英戦争で急速にモダン化した北部は奴隷解放を主張
両軍のべ240万人を動員し50万人の犠牲者を出しながら
南軍が降伏し黒人奴隷制開放が実現した戦争である
日本が大政奉還したのは1867年だから
19世紀がいかに大きく時代が動いた時期
だったかと言えるわけですが
この映画はその南部の綿花農園で黒人奴隷が
働かされている長回しの冒頭から始まることで
その時代の凄惨な差別・非人道行為の歴史を
テーマに・・と思いきや
んん!?という展開を見せる作品となっています
内容はまあぶっちゃけ
ナイト・M・シャマラン監督の「ヴィレッジ」です(笑)
が時代背景から観客を騙しにかかる構成は
やられた感がそれなりにありました
かと言って2回見なきゃって程でもない
アッサリ感
昨今盛り上がっているBLM運動ですが
アメリカの歴史を否定する段階まで来ちゃってる
とこへこうしたテーマでエンタメ化しちゃった
というのはアリな気がしました
ゴマ塩みたいにポリコレ対策ふりかけて
全然テーマと関係ないLGBTぶっこんで来たり
する映画がゴロゴロしてるんでそれよりは
きちんと映画として昇華してる感じありました
インテリ層からの受けは悪いらしいですが
街で暴れるよりはるかに健全じゃないですか
被差別側のマイノリティ層アジア人としては
映画として楽しめました
敢えて言うなら余計な情報入れず
一発で見ちゃいましょう(笑)
亡霊たちに翻弄された
恐るべき、かつぶっ飛んだタイムスリップ
いきなりネタバレですが、過去の南北戦争の亡霊たちが、現代に「奴隷狩り」に出没するホラー。しかも連れ去られた黒人たちは、現代人が造成した歴史テーマの記念公園で、酷使されて命も失う。
とんでもない綺想によって、鋭くファンタジックに人種問題に切り込んでいますが、こんな公園があるならば、その造成を筋書きにした前夜譚で、既に一作出来そうですね。
血の染みる悪夢が三転!
始まってしばらくは、大農園を舞台にした陰惨なホラーだと思っていました。畑を区切る立木の向こうに沈む赤い夕日。この先、エデンを待ち受けるであろう、運命に気持ちも暗くなっていく。
ところがしばらく奴隷たちの苦渋を描いた後、画面は社会学者のヴェロニカが活躍する現代シーンに変化した。このヴェロニカは、きっとさっきのエデンだから、本作のテーマは「消えることのない遥か昔の悪夢」だ。それで冒頭の「過去は死なない」に繋がる。ヒロインはDNAによって、幾度、大農園の悪夢を見せられるのだろうか。
しかし、目に隈を作った少女の登場をきっかけに、ヴェロニカはホテルから連れ出され、大農園では兵士がスマホを持っている! そうか、これはタイムスリップものだったのだ。つまり前半の大農園が現在で、後半の都市の暮らしが過去。
でも、そろそろストーリーに着いていけなくなった私が戸惑ったのは、時間軸を支配してるのはそもそも誰なんだろう?
エデンが馬に乗って疾駆する場面に至ってやっと私は、この作品が時空を超えた「誘拐譚」と気がつきました。遅い!
プロローグで南部の大農園に着いた馬車の中にいたのが、まさか現代から拐っていった人々とは、怖すぎる。
悪の玩具箱
夜になると王女や騎兵、歩兵やが命をもって動き出す魔法の玩具箱がある。あろうことか、そこから兵隊たちが出てきて、現実の人間をさらっていくと言う話。
ラストシーンで、ブルドーザーがテーマパークを打ち壊して作品は終わるが……
ストーリーよりも1番の驚きは……
南北戦争前という意味らしい本作。
エデンにまつわるそれなりに長い前半と後半は奴隷制度の話で、結構みていて辛くなるシーンの連続。
特に前半。あれ?これ見る映画間違えた?
現代劇かと思っていたら南北戦争時代の話なのね。想像と違ってたわ。と思っていた。
がしかし、急に現代劇に打って変わる中盤は美人なヴェロニカにまつわるストーリーで、順風満帆で成功者の物語。
果たしてどう関係があるのか?
途中出てくるエレベーターに乗り込んで来た怪しげな少女が関与するのか??
などと思っていたら……
【以下おもいっきりネタバレ注意】
いやあ、そうですか。
昔の話かと思った前半は現代だったのね。
それはそれで良いが1番ビックリしたのは、主役の2人を演じてるのが1人の女優というのは、チョー驚き。ヴェロニカは、超美人で魅力的。しかし、エデンは失礼ながら決していい女には見えない。いやいや、そこが1番ビックリポンだったわ。
でもそれだけの映画だったかな。
南北時代の話は、気分悪かったしな。
構成の妙、Say your name! の意味
事前情報は何も仕入れず、しかしながら何かしらのどんでん返しがあるとは思いながらの鑑賞だったが、恐らく多くの人が仕掛けに気付いたタイミングで自分も気付いたのでは、と思うほどしっかりと騙された。
ヴェロニカがホテルのフロントでレストランの予約を頼んでいる時に途中で電話を取られたり、レストランでは回収した食器が積んであるワゴンのすぐ横のテーブルを案内されたりと、「現在」においても少なからず差別はあるという状況を見せ、前半シーンは南北戦争時代の「昔の話」であるようにうっすらと思わせるミスリードは効果的で何気にうまいと思った。
どんでん返しのあるストーリーはそれがわかった時に、あーあのシーンはこういうことだったのね、という箇所が沢山あるほど気持ちよく、また面白くなるのだが、逆に言えば全てのシーンがその1点のためのものとなってしまい、作品として必要な厚みのようなものを若干欠いてしまうという危うさもつきまとう。
本作は人種差別というテーマも助け、シンプルにもかかわらずさほど薄めの印象は感じられなかったところが良かったと思う。
サザンクロスのデザインの入った サザンロックのバンドTシャツはオモテじゃ危なくて着れない時代になった
アンテベラムとは南北戦争前という意味。重いビートの荘厳な音楽から始まる。ジャネール・モネイ主演で、二役こなすとの前情報。ははぁ、奴隷役と使用者側の二人を演じ分けるのか?引き離された姉妹なのか???
ジャネール・モネイはミュージシャン、音楽プロデューサーでもあり、奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの伝記的映画で最近知った。ハリエットを匿う宿屋の女主人役で鮮烈な印象を受けた。それは、かなりいい女だったから🤩 さらに、デビット・バーンのアメリカン・ユートピアで取り上げられた曲 Hell You Talmbout の作者ということで、彼女自身がBLMの広告塔的な存在で、かつ強力な牽引車という印象を私は持っている。
サザンクロス(南軍旗)はためく綿花農場で黒人の男が捕らえられ、女が引き離され、逃げたところを撃たれて殺される。火葬小屋は立派な作り。奴隷市場から届いたばかりのある女性(カーシー・クレモンズ)とひそひそ話。「どこの州の出身かなんて関係ない」そりゃそうだと、あとになってみればわかる。
エデンとヴェロニカ。ヴェロニカの右の腰にBDの焼き印が入っていたらホラーです。
ヒントになるかどうかはわかりませんが、映画スゥイート・ホーム・アラバマ(メラニーは行く!)でおじいちゃんたちが南北戦争ごっこをするお祭りがある。
ジーナ・マローンは出る映画で印象ががらりと変わるカメレオン女優ですね。
怖いのはジーナ・マローンの役の女やホテルの廊下の座敷わらしじゃなくて、黒人たちには今でも南北戦争前の悪夢を見るDNAが連綿と続いているのよ! その恐怖を白人の皆様方にも逆に味わわせてあげてもいいのよ。その気になったら、その準備と覚悟は充分あるのよと、ジャネール・モネイが二ーナ・シモンに成り代わって言っているように私は感じて、スゴく怖かったデス。
黒人たちによる白人動物農場建設は着々と準備されているかもしれません。腕っぷしじゃかなわないし、かなり悲惨な状況になるかと。
オモテで、サザンクロスのデザインの入った Lynyrd Skynrd などのサザンロックのバンドTシャツなんかをいい歳こいて着てる奴(オイラ)は真っ先に連れてかれる時代になるかもしれませんね。
しかし、過剰な暴力や虐待は相手を怖れている証拠なのよといった余裕綽々なセリフもありましたから、案外許してもらえるかもしれません😅
なかなか面白かった。やられた~ジャネール・モネイ素敵~
禁じ手すれすれで観客を欺く
ちょっとこれ、反則じゃねえ? という気持ちを面白さが上回った。
「ゲット・アウト」「アス」のプロデューサーが送り出す新作と聞いて、イヤな予感がしていた。最近公開された『キャンディマン』がBLMを押し売りしてしまったために、作品としてはつまらなかったからだ。
南北戦争時代の南部のプランテーションで綿花摘みの労働を強いられる黒人奴隷達。労働を監督する白人領主は、勝手な私語も許さないだけでなく、脱走した黒人を見せしめにひどい刑罰を与える。こんなシーンから始まるが、この時代と現代がどんな風にシンクロしていくんだろう? エデンはヴェロニカの先祖? それともタイムスリップ系?
いろいろと想像したが、これがもうすでに製作陣の術中にはまっているんだよね。それに加えてシャイニングを彷彿とさせる小さな女の子の登場で頭の中は、完全にあっちのイメージでいっぱいになった。
アメリカの暗黒史と現代でも隠然と続く人種差別問題を強烈に提示してなおかつ、観客を欺くスリラー映画としても成立してしまっている。
これはやられたね。
主人公は私だった。
「タイムスリップ物と思いきや実は時間軸は今だった」という本作の構造と丁寧に回収されていく伏線に終盤は興奮しっぱなし!普段の映画鑑賞であれば観賞後に登場人物達のキャラクターを思い返したりするのですが、本作については興奮している私を見てニヤニヤしている製作チームの顔が浮かんできます。
繰り返しになりますが後半はアトラクションに乗っているかのように興奮しまして、映画の感想としては変な表現になりますが、物語の主人公は自分であるかのような映画体験になりました。
ニューオリンズ
綿花プランテーションで強制労働をさせられる黒人女性エデンと、家庭に仕事に順風満帆幸せいっぱいな黒人女性ヴェロニカの話。
映画として何で背景示さないかなー?とか、フィクションとはいえども黒人奴隷の扱いが大袈裟に雑だしどんだけ金持ちだよ?とか、その他にも色々細かいところで引っ掛かりを感じつつも、エデンをはじめ非道な仕打ちをうけながら働く黒人奴隷の姿をみせられる前半。
他力本願の癖に偉そうに良くモンク言うよね…。
そしてなるほど眠りと目覚でパートチェンジなんですね。それにしても二つのシチュエーションを描く割にエデンのパートの尺長かったよね。
ベッドで目覚めて隣にいる旦那とぐだぐだいちゃいちゃ、そしてそこに娘のダイブってどんだけ幸せパンチだよ!に始まって、仕事に講演に大活躍で出来過ぎヴェロニカ。
リベラルな思想だったり黒人であったり女性であったり、そんな彼女の活躍をみせるエデンパートとの対比ですね。
そして突然やってくる不穏な展開。
そしてそして、脱走に際しての荷物が!!!えっ!?
ちょっとズルいなと新たに引っ掛かりに転じるものもあるけれど、今までの引っ掛かりの殆どが解消されて大興奮…だったんだけどねぇ。
最後の最後、砲撃?なんで?そして看板でがっかり。
折角盛り上がったのにそれはリアリティ無さ過ぎじゃないっすか?
胸くそ悪い映画
発想は面白いかもしれないし、話もよくできてるとは思うけど、最初から最後まで胸くそ悪い映画だった。
途中で4人くらい劇場を出て行った人がいたけど、その気持ちは分かる。
自分は、さすがにラストはスッキリさせてくれるだろうと期待を込めて最後まで見たけど、スッキリとは程遠い終わり方に胸くそ悪さは残ってまま。
いくら面白いアイデアでも、これは作ってはいけない映画じゃないのかな?
問題提起?
だとしても、誰得やねん。
あらすじすらネタバレ。
これは映画サイトのあらすじすらネタバレになってそうなぐらい、何も情報を入れないで見るべき。
特に時系列の切り替え方が秀逸。南北戦争時代に奴隷として酷い目にあっている主人公が寝てる時に急にスマホが鳴った(映像とスマホという現代的なものが急に混ざりあったから頭パニックになった)と思ったら、現代で同じ主人公が目覚める。
タイムスリップ系と思わせておいて、次またスマホが鳴って過去に戻る時、その鳴っていたスマホが南北戦争時代と思われる世界で本当に鳴っていたものだと明かされる。この瞬間、カラクリが分かってきて「え、じゃああの冒頭の酷い目にあってる奴隷達は現代の人なんですか、、?」と急に恐ろしくなる。
この感覚って歴史の出来事をその時代のせいにして「この時代だったからしょうがない」と他人事のように思い過ごしてる私達に、時代が解決したと思ってるんですか?と突きつけられているよう。
そして歴史の知識ないと。。みたいなレビューもあるけれど、さすがに黒人が奴隷で働かされていた(特に南部)っていう知識ぐらい分かってれば大丈夫。それぐらいは一般常識ですよね?
知っといた方が良いってことなら途中出てくる南部軍リー将軍の銅像、あれがトランプ政権の時に撤去されたってこと。こうやって銅像が撤去されても、トランプ政権が退陣しても、公民権運動で黒人の権利が獲得されても人々の心に根強く張った差別意識は根本を正さないと何も解決しませんよっていうメッセージに繋がってくるんだと。
今作も『ハロウィン KILLS』『キャンディマン』と同じ流れの中にあって、ジャンル映画がちゃんと意義を持って作られていて尚且つ全部面白いって最高じゃん。
晴天の霹靂
このプロデューサーさんは、黒人の価値観を上手く利用する。ダイバーシティ&インクルージョンなど人種差別のメッセージとかそんなんではなくて、現代人の知識と認知バイアスを巧みに操って、凄い大きなギャップを作って驚かせてくれる。
映画作りが上手。
だまされた〜
予備知識ゼロで鑑賞。見事にだまされました!!
一緒に見た友人は、早い段階で、出てきた女性の●●が●●なところが不自然なので
「アレ?もしかして??」とすぐ勘付いたとのこと。
なので、間違い探し好きな人とか、詮索好きな人は、見破っちゃうかもしれない。
しかし、のほほ〜んと映画見てるタイプの人間なので、本当に、見事にだまされ、やられた〜〜〜!て感じでした。
人種問題が前面に出ていますが、
太っちょの友達の横柄な態度とか、黒人側にも色々と「え?」な態度が散見されたし、
その友人、アジア人をのけ者にもしてたし。
あまりやり過ぎると、黒人至上主義になりかねない内容に感じ、そこんところは危険だなと思いました。
中盤まで耐えられるとおおっ!となる。
確かにそうくるか〜というストーリーテリング。てっきり輪廻転生的な怖いやつかと思ってたら思いっきり裏切られた。プロットを思いついたらふつうはそこから始めないよね、というとこから始まってた訳だ。もちろんそれやったら長尺になっちゃうのでそこをあんな感じで切り直すとこうなる、のかな。。
途中観ながらこれはナチスでも大日本帝国でもなんでとできそうだな、って思いに駆られる切ない人種差別ネタをベースに『トゥルーマンショー』とか『目撃者』的な地続きの別世界に『パルプフィクション』的切り直しを入れると、、みたいな。
でもとにかくその設定がわかるまで微妙なドラマ演出が続き「これ面白くなるんかい」って別の意味でハラハラさせる。『キャンディマン』の時も思ったけど、やっぱりジョーダンピールの面白さは別格だな、ってこと。
映画力
「アンテベラム」
気を付けないとネタバレ厳禁!!ズバズバ発言する作家“ヴェロニカ”綿畑で過酷労働を強いられている“エデン”クライマックスへの加速度上げてくスリリングな展開「そういうことね!」映像的トリックと脚本力、演技力。そして無視出来ない「現実問題」鑑賞後どっぷり余韻が残ります。とある場面でとあるアイテムが出てきた瞬間、「は?」脳がバグり始めた。この体験は映画館で体験してほしい。
天と地の世界
スタートは地の世界から。途中から天の元の世界へ物語は移る。家族と幸せな日々を送っていた黒人の彼女は、ある日拉致される。そこは綿花を摘む隔離された別世界。そこで酷い仕打ちに遭い脱出を計画する話し。
前半は眠くなりましたが、後半は一気に目が覚めた。
つまらないと思っていたが終わってみれば面白かった。
前情報入れないで観た人の勝ち
その可能性も頭には浮かんでたのですが、あまりに丁寧な前フリのおかげてその可能性を自分で消しちゃったところにあ~という感じでした。
黒人が悪魔を召喚してクライマックスで白人を大虐殺!という大魔神的な展開も期待していたのですか、それを観たい人は「キャンディマン」をどうぞ、という感じですね。「ゲット・アウト」「アス」の監督がキャンディマン、製作が今作という感じで黒人差別についての映画をどんどん世に出しているようですが、アメリカではまだまだ肌で差別を感じているという事なのでしょうね。日本にいるとその辺りはあまり実感しづらいですが。
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