アンテベラムのレビュー・感想・評価
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シャマランも過去の人
半分ぐらいまで、差別の非道さに目を奪われながらも、心底では何がなんだかわからなかった。
それ以後の怒涛の展開はキレキレで圧巻。
シベンジアクションの小気味よさは「ゲットアウト」に勝るとも劣らない。
結局サイコーでした。
この二人はこれから映画界席巻するでしょうね!
すごかった
過去の人物とリンクする話なんかと思ってたら、現代のレイシズムてんこ盛りやったってゆー仕掛けに、スマホが出て来るまで気づかんかった。
綿花を燃やしてるように見えたけど、なんか意味あるんかなとか引っかかりはあったけど、全然想像してなくて、今も変わらず地獄は続いてたってゆーのが辛いし悲しいし怒りでどうにかなりそうやった。
実際、BLMが象徴するように今でも黒人差別は残ってるし、アメリカだけじゃなくて世界中に差別はあるし。
実話ベースやったりする映画が多い中、ナチに対するイングロリアスバスターズみたく、黒人がレイシストに対して暴力で復讐する映画があったっていいし、それが出来るのがフィクションやから、作られた意義がある作品やと思う。
現代と過去の黒人女性の視点が交差し、リンクする新感覚スリラー!!
タイムスリップして過去に戻りたいと言う人もいるかもしれないが、アフリカ系アメリカ人においては少し違ってくる。
アメリカ映画において、タイムスリップ映画といえば、主役は白人が相場となってくる。それは黒人を主人公にしてしまうと、エンターテイメントとして消費できない人種問題が関わってきてしまうからだ。
マーティン・ローレンス主演のコメディ映画『ブラック・ナイト』の場合は、14世紀のヨーロッパにタイムスリップするという設定。人種差別という点では、あやふやに描かれていた部分もあったが、比較的近年のアメリカとなれば話は別。
『ブラック・ナイト』のようにぶっ飛んだ設定だったり、30年ぐらいのスパンであれば、良くも悪くもあまり変わってないかもしれないが、50年以上前となってくると、「公民権運動」「奴隷制度」などの問題が色濃く反映されてきてしまい、事情がかなり変わってくる。
今作で描かれるのは、対照的な2人の黒人女性の物語。
現代の人種問題について研究する社会学者ヴェロニカと150年前の南北戦争前の南部奴隷農場に囚われているエデン。
どちらも歌手であり、映画『ハリエット』においても南北戦争時代を生きた女性を演じたジャネール・モネイが1人2役を演じ、この2人のキャラクターの意識がリンクする部分が今作の見所である。
そこには、ある事実やギミックが隠されているのだが、「白人至上主義者」というのは、現代においても表に出さないだけで、心に潜む潜在的な概念として根付いてしまっている者もいれば、保守的な場所では、差別的態度をあからさまに表に出す者もいる。
「奴隷制度」が当たり前とされていた頃は、それが堂々と行われていた時代。白人の中にも「支配欲」「所有欲」といったものを黒人奴隷に対して見出していたこともあり、差別を行っていた白人の概念を狂わせてしまったことを思えば、「時代」が作り出してしまったものであり、その潜在的概念が自然に受け継がれてしまった現代人もいることを、対照的な時代に生きる黒人女性の視点から描くことに今作の意義があるのだ。
BLMが騒がれる昨今、映画やドラマとしても様々なアプローチがされてきた。
プロデューサーのショーン・マッキトリックは『ゲット・アウト』も手掛けただけに、今回も共通するテーマも感じる部分があるのだが、人種差別問題を誇張されたホラーやサスペンスに置き換えることで、より問題点が浮き彫りになる。
描かれているテーマとしては、決してエンタメ映画として軽く観るジャンルではないが、ストレートに人種問題映画としてしまうと、社会問題色が強調され、敷居が高くなってしまう。
『クィーン&スリム』やアカデミーを受賞した『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』であっても、日本では劇場公開されない。日本がそういった人種問題が身近ではないこともあるのだろうが、これは他国でも同じ。
幅広い層に、改めて人種問題について考えてもらうには、こういったハイブリッドな作品にする必要があるということだ。
結末を知ったうえで、もう一度観ると、さらにこの作品の深さを感じることができるため、2度鑑賞することをおすすめしたい。
社会風刺
予備知識なくふらりと映画館に入ったおかげでトリックを堪能することができたが、これは反芻したくなるような唸るような巧妙さとはまた違う、一度きりの瞬間芸の面白さだ。内容は社会風刺と受け取れた。人種や性別の垣根は未だ根深く脈々と続いているものなのだということが分かった気がする。
ちょっとユニークなサスペンス
ポスター見て「また主役だけが有名俳優の黒人のホラーか」と流そうとしていたが、ふとあるところで映画評を見て、単純なホラーじゃないのだと知って鑑賞。
「ドリーム」の役柄とオスカー授賞式でのパフォーマンスで、私の中では明るくてファッショナブルでオキャンなイメージだったジャネール・モネイが、18世紀のノーメイクの奴隷と現代の成功した女性を交互に演じる。
時代は変わっていて、もうココでは人種差別なんか通用しないよ。と思ったら大間違いで、突然奴隷時代に引き戻される。でもスマホを使っていて、タイムリープにしては変…⁉︎
なかなか面白かった。
【"忌まわしき過去、思想は、決して死なない。"構成の妙に唸らされた作品。KKK思想が無くならない現代アメリカに強烈な怒りと警鐘を鳴らす作品でもある。】
"アンテベラム:アメリカ南北戦争以前を示す言葉”
ー 南軍の旗が掲げられた綿花農場で、自由に話すことを禁じられ強制労働をするエデン(ジャネール・モネイ)達の姿を見て、「ハリエット」や「それも夜は明ける」を想起したのは、私だけではないであろう。ー
<Caution !内容にやや、触れています。>
・男性優位社会における黒人女性の地位について、舌鋒鋭く語る現代作家ヴェロニカ(ジャネール・モネイ)の姿とエデンの姿の対比。この時点で、私は見事にミスリードされていた。
・構成と脚本のトリックに、もしや?と気が付いたのは、現代パートで南軍の高圧的な兵士を演じた俳優が居た時点である。
・そして、驚きの後半の展開。目が離せない。グイグイと物語に引き込まれていく。
<ジェラルド・ブッシュとクリストファー・レンツ共同監督の見事な二つの世界を一気に一つの世界に収斂させる手腕には、脱帽した作品。
そして、見る側は、”南北戦争から150年経っても、世界は何も変わっていないのではないか!”という想いに駆られるのである。>
<2021年12月12日 刈谷日劇にて鑑賞>
現実にあり得なくない、と思わせるリアリティがマジで怖い
ネタバレ厳禁のトリックありきの映画でありながら、決してトリック頼みではない、筋がしっかりとした良質のサスペンス
冒頭の古きアメリカ南部のシーンのリアリティが、この映画の成功のカギだと思う
謎が解けた瞬間に鳥肌がたった
何より怖いのは、今現在、アメリカのどこかで同じことが行われていても不思議ではない、と観賞後に思えたこと
そう思わせるほど、良くできた映画でした
現実的な怖さ
上映期間中に駆け込みで見れて良かった。
ネタばれなしで見るのが最良。
日本に住んでいると意識しないが日本人も立派な非白人なんですよね。
(過去の黄色い猿呼ばわりを見ても)
白人至上主義者にとっては白人以外(日本人含む)は人間ではないのでしょう現在でも。
パンフレットも良くできていた。
誰かがスマホを鳴らしちゃったのかと…
時は現代。リベラル派の作家として地位を確立する女性、ヴェロニカ。
時は南北戦争時代。南軍の白人達に奴隷として虐げられる女性、エデン。
見た目は同じ顔でありながら、真逆の境遇にあり、立場を超え、そして150年もの時も越え、2人の心と体がシンクロし、やがて壮大なクライマックスを迎えるタイムサスペンスムービー‼
…と、思うじゃん?
蓋を開けてみれば、これが中々、人種差別や復讐心を複雑に織り交ぜた闘う女性のドラマ作品だった(そこかいッ!!)。
序盤からエグい展開。自分の名前くらい言えばよいじゃん‼なんか奇妙だな、なんて思ったが…。成程。状況が分かってからも、よくある洗脳や記憶喪失ではないことに驚き‼思えば色々な伏線があったのかな。喋ることを禁止されていたのも、寧ろ「我々」へのある意味配慮だったのかな?なんて思ってしまう程。
その他にも、人種問題や女性軽視への切り込みも中々。
何気ない女子会でも、友達って所が引っ掛かる…って、あなた達の中でもそういう意識は何だかんだあるのね。ここにはハッとさせられた。酒のプレゼントに上から説教してくるのはイライラしたけどw
そしてエリザベス、この狂気は良かったですね。彼女は彼女で、尻拭いはいつも…なんて、思う所がある模様。そういった点でヴェロニカと分かり合えたりは…しないか。。
最後はちょっと微妙かな。どれくらいの敷地なのかわからないけど、そんな場所じゃすぐバレちゃうのでは??ここはちょっと拍子抜けだったかも。
それでも、全体を通し社会的な問題を投げかけるとともに、映画作品としてこちらを驚かせてもくれるし、エグい仕返しもあり良かった。変に一方を寛大な正義みたいに描くのは好きじゃないしね。とても良い作品だと思った。
思えば、怒っているようにしか見えなくても、実は怯えているだけ…ってのも、広義的な伏線だったのかな。
だって、途中までは絶対そういうシチュにしか見えなかったもんw
中々の良作でした♪
今、そこにあるレイシズム
「アンテベラム」ドラマ「地下鉄道」で描かれた様な強烈なレイシズムの描写から始まり、レイシズム、セクシズムに抗おうとする人たちを憎悪する連中の狂気も描かれていた。現実にいる連中だよね、BLMに憎悪を燃やしていたあの顔この顔。そしてスリラーとしても一級作品でした。
この映画、いろいろと伏線があるんだけど、ジャネール・モネイ演じる2人の主人公のひとり、ヴェロニカの部屋の様子はしっかり観ておいた方が良いですね。
【アメリカの分断】
こうした作品が制作されて世に出るほど、アメリカのリベラルな人々と、白人至上主義者達の分断は、埋めることが出来ないほど根深いのだろうか。
トランプ支持者や、Qアノンは発狂しそうだなとか、一度は、笑ってみたものの、よく考えると、かなり暗い気持ちになる作品だ。
この作品を観たアメリカ人は、どう感じてるのだろうか。
トランプ支持者や、白人至上主義者が観ると到底は思えないが、Qアノンは、例の如く、陰謀だと騒ぎ立てているのだろうか。
(以下ネタバレ)
物語は、一言で言うと、”ナイト・シャマラン的”だ。
彼の作品の中では、かなり好きな方の「ヴィレッジ」を思い出す。
この「アンテベラム」は、途中で、この作品の仕掛けが分かるように描写が配置されているが、その動機など全貌は分からないままになっている。
所詮、こんなことを考える人間の頭の中を全部理解するのは不可能だと言っているようにも思える。
首謀者が上院議員という設定も、結構攻めているなと思ったりしたが、かなりのロングランの映画「American Utopia」で、亡くなったかなりの数の黒人の方々の名前がシャウトされたのを思い出して、やむを得ないのかと考えたりもした。
差別主義者や、人種主義者に言い分があるとは思わない。
僕のオフィスのネット右翼のおっさんは、昔、在日韓国人の人に嫌な思いをさせられたと動機を話していたが、彼は、中国人も嫌いだし、イギリスのEU離脱や、トランプ政権の誕生を目撃して、新しい世の中が来ると嬉々とし、安倍チーン三は知能指数が高いと言っていた。
合理性など、どこにも存在しないのだ。
だから、こういう人間に政治や組織の運営を任せられないのだ。
世の中は、以前にも増して、急速に、自動化や、IT化、あらゆる分野でのAIの活用が進んでいる。
差別や人種主義に勤しむのは止めにして、もっと勉強する方が合理的な気がすると考えるのは僕だけじゃないと思う。
※ あと、余談だけれども、上院議員を見て思ったのだけれど、男は外で働き、妻は家を出て守るって父権主義も皮肉っているのだろうか。
あなたは、この映画に潜む意外性の謎を解き明かせるかな?
これは、スリラーに入るのかな?
でもこの映画、設定がユニークで個性的。
映画の場面に違和感のあるものを配置して、謎解きのヒントを小出しにしている。
そしてやがて、映画全体のすべての意味が解き明かされる。
ドキドキハラハラして、でも考えさせられた
以前、マンガの編集をやっている友人が、序盤にこの作品はどんなマンガ(どんなジャンル)なのかを知らせないと読者は戸惑うんだと言っていた。たしかにこれ何の話?と思う作品は困ることが多い。
そんなことを思い出した本作。予告編を観ていたので、ホラーみたいなものをイメージしていた。「シャイニング」的な映像もあったし。でも、序盤は黒人の奴隷がひどい扱いを受けるシーンが長くて、思っていたのとは違う!と若干戸惑ってしまった。それはそれで緊張感があって面白かったんだけど。
中盤からも思っていたのとは違う展開(いい意味で)。エデンが序盤でとる行動の意味が判明したり、いろいろと伏線が回収されて痛快だった。ホラー映画はあまり好きではないのでこういう話の方がいい。
サスペンスとしての緊張感があって、飽きさせない展開があって、上質のエンタテインメント作品なのに、黒人差別の問題をキチンと考えさせる、ものすごい映画だった。序盤にどんなジャンルなのかわからない映画でもたまに面白いものが出てくる。そんな映画の一つだ。
途中で、「ああそういうことか」、と。
事前に『ゲット・アウト』を復習してから鑑賞。ゆえに。どんでん返しへの期待マックス、前のめりに鑑賞。というか、その期待なしには、ねっとりジワリとくたびれる話の展開だった。南部の旗って今でもウォルマートで買えるんだっけ、、、との雑念も(汗)。
現代バージョンのカットでは「そうねえ、リベラルってたって、一枚岩じゃないしね。女性も黒人も!って言われても、いろんな女性、いろんな黒人いるし、そういう風に属性で括られても当事者だってしんどいよなあ。多様性って重層的に捉えないとなあ」と現実世界に思いを馳せたりした。
人物の性格設定がとてもシンプル。それはプロット上、必然だったのだわと思った。
コットンフィールドの地平線に昇る朝日が美しかったのは『それでも夜は明ける』へのオマージュかと思った。
本当に怖いのは人間
こういう価値観の白人、口には出さないだけで今でもまあまあいるんだろうなあと思わされて、めっさ怖くなる映画だった。これってアメリカの白人の少なくない数が持っている隠れた願望なんじゃないのと思わせることに成功している点で優れた作劇と言える。生半可なオカルトより、人間の方がよほど怖いのである。幽霊はいるかどうかもわからないが、こういう人間はたしかにいるわけで、どういうきっかけで最悪の人間性が発現するかもわからない。テーマは明らかに現代アメリカの人種差別だが、ホラーの性質としては貴志祐介の『黒い家』に近い。人間が秘めて隠している嗜虐性の発露を描いている。
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