「やられました」アンテベラム arlecchinoさんの映画レビュー(感想・評価)
やられました
うまく作られた映画です。傑作です。さすがというべきか。
アメリカは今でもそういう社会だってこと。
「過去は消えない。通り過ぎてさえいない」冒頭に掲げられます。
えぐってくれてますねえ。脱帽です。
振り返れば伏線だったなあ、と思うところがありますね。
・プランテーションの中で奴隷イーライが”Cracker(貧乏白人)”と陰口をいうところ。
Crackerというスラングが南北戦争時代から蔑称だったかは大いに疑問だし、イーライの方が本当は上位であることを暗示しています。(イーライは本当は大学教授ですから)
言葉遣いを細かく聞き取れれば現代でしか使わない言い回しもあるんじゃないでしょうか。残念ながら英語をそこまで聴き取れないので私には見破れませんでした。
・火葬されてしまったイーライの奥さんの遺灰の中から出てくる十字架のペンダント。金製で灰の中でもピカピカ。奴隷が持てるような代物じゃなさそうだ。これにはちょっと違和感がありました。
・新入りの奴隷がイーデンが特別な人物であることをすでに知っていて、すぐに逃げようと言ってくる。また、イーライたち他の奴隷からも彼女がなにか期待されているところ。最初はイーデンが霊能力者で、そっち方向で解決する話かと思いましたよ。
監督たちはそういったイースターエッグはたくさん仕込んであるって言ってるようだから、探せばまだいっぱいあるんでしょう。もう一回観てみようかな。
アメリカでは意外に評価低いんだよねえ。白人はこの映画を観て嫌な気分になるのかな。
「グリーンブック」みたいな「白人だけど黒人の味方だよ」って人がほとんど出てこないからね。
で、「グリーンブック」はオスカーなんだよ。ちょっと考えさせられる。