「禁じ手すれすれで観客を欺く」アンテベラム bionさんの映画レビュー(感想・評価)
禁じ手すれすれで観客を欺く
ちょっとこれ、反則じゃねえ? という気持ちを面白さが上回った。
「ゲット・アウト」「アス」のプロデューサーが送り出す新作と聞いて、イヤな予感がしていた。最近公開された『キャンディマン』がBLMを押し売りしてしまったために、作品としてはつまらなかったからだ。
南北戦争時代の南部のプランテーションで綿花摘みの労働を強いられる黒人奴隷達。労働を監督する白人領主は、勝手な私語も許さないだけでなく、脱走した黒人を見せしめにひどい刑罰を与える。こんなシーンから始まるが、この時代と現代がどんな風にシンクロしていくんだろう? エデンはヴェロニカの先祖? それともタイムスリップ系?
いろいろと想像したが、これがもうすでに製作陣の術中にはまっているんだよね。それに加えてシャイニングを彷彿とさせる小さな女の子の登場で頭の中は、完全にあっちのイメージでいっぱいになった。
アメリカの暗黒史と現代でも隠然と続く人種差別問題を強烈に提示してなおかつ、観客を欺くスリラー映画としても成立してしまっている。
これはやられたね。
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