「あらすじすらネタバレ。」アンテベラム せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)
あらすじすらネタバレ。
これは映画サイトのあらすじすらネタバレになってそうなぐらい、何も情報を入れないで見るべき。
特に時系列の切り替え方が秀逸。南北戦争時代に奴隷として酷い目にあっている主人公が寝てる時に急にスマホが鳴った(映像とスマホという現代的なものが急に混ざりあったから頭パニックになった)と思ったら、現代で同じ主人公が目覚める。
タイムスリップ系と思わせておいて、次またスマホが鳴って過去に戻る時、その鳴っていたスマホが南北戦争時代と思われる世界で本当に鳴っていたものだと明かされる。この瞬間、カラクリが分かってきて「え、じゃああの冒頭の酷い目にあってる奴隷達は現代の人なんですか、、?」と急に恐ろしくなる。
この感覚って歴史の出来事をその時代のせいにして「この時代だったからしょうがない」と他人事のように思い過ごしてる私達に、時代が解決したと思ってるんですか?と突きつけられているよう。
そして歴史の知識ないと。。みたいなレビューもあるけれど、さすがに黒人が奴隷で働かされていた(特に南部)っていう知識ぐらい分かってれば大丈夫。それぐらいは一般常識ですよね?
知っといた方が良いってことなら途中出てくる南部軍リー将軍の銅像、あれがトランプ政権の時に撤去されたってこと。こうやって銅像が撤去されても、トランプ政権が退陣しても、公民権運動で黒人の権利が獲得されても人々の心に根強く張った差別意識は根本を正さないと何も解決しませんよっていうメッセージに繋がってくるんだと。
今作も『ハロウィン KILLS』『キャンディマン』と同じ流れの中にあって、ジャンル映画がちゃんと意義を持って作られていて尚且つ全部面白いって最高じゃん。