劇場公開日 2021年8月20日

リル・バック ストリートから世界へ : 特集

2021年11月19日更新

驚異の身体能力! 犯罪多発地域のストリートから世界へ羽ばたいた天才ダンサーの軌跡

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話題の映画を月会費なしで自宅でいち早く鑑賞できるVODサービス「シネマ映画.com」。本日11月19日から「リル・バック ストリートから世界へ」の先行独占配信がスタートしました。

ジャネール・モネイのMV出演やマドンナのツアー、ユニクロやAppleのCMでも知られる世界的ダンサー、リル・バックの驚異的なダンスの秘密と彼が育った街を描いたドキュメンタリーです。アメリカ有数の犯罪多発地域として知られるテネシー州メンフィスで生まれ育ち、圧倒的な身体能力と自身の才能と努力、そして必然ともいえる数々の出会いから、道を切り開いていく黒人青年の姿を映します。映画.com編集部スタッフが見どころを語り合いました。

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「リル・バック ストリートから世界へ」(2019年/ルイ・ウォレカン監督/85分/G/フランス・アメリカ合作)

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<あらすじ>

テネシー州メンフィスのゲットーで育ったチャールズ・“リル・バック”・ライリー。メンフィス発祥のストリートダンス「メンフィス・ジューキン」にのめり込んだ彼は、やがて奨学金を得てクラシックバレエに挑戦。ジューキンとバレエを融合させて踊った名曲「白鳥」のダンスが世界的チェロ奏者ヨーヨー・マの目にとまり、チャリティパーティで共演することに。そこに居合わせた映画監督スパイク・ジョーンズが動画をYouTubeに投稿したことで、リル・バックは世界中から注目を浴びる。唯一無二のダンサーとして多彩な活躍を続ける一方で、メンフィスの子どもたちにダンスを教えるなど今なお故郷と結びついている姿を映し出す。


座談会参加メンバー

駒井尚文編集長(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、今田カミーユ


和田 「メンフィス・ジューキン」というストリートダンスのこと、リル・バックのことは知らなかったのですが、久々にアメリカンドリームな話ですね。

駒井編集長 すごく面白かったです。リル・バックという名前は知っていましたが、あまり詳しくは知らなかった。この映画を見て、彼のことがフルに分かって「すごいじゃん」ってなりました。

荒木 「ジューキン」というダンス自体も初耳でした。あまり見たことがない動きですよね……ブレイクダンスとはまた違う。

和田 ムーンウォークとも違いますね。

今田 好きこそ物の上手なれということわざを久々に思い出しましたし、まずは彼の身体能力に驚かされました。

駒井編集長 メンフィス時代の話は、「ストレイト・アウタ・コンプトン」などを思い出しながら見てました。危ないエリアぽいなあって。

和田 アメリカ有数の犯罪多発地域として知られるテネシー州メンフィスから生まれたダンスというのが興味深いですよね。

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駒井編集長 この映画も三幕構成で、35分ぐらいでバレエが出てきますよね。ここから俄然面白くなる。スワンのところ。

荒木 ジューキンはストリートカルチャーでメンフィスの子供たちが競い合って踊っているようなダンスだったけど、バレエと融合することでまた新しい表現になっていくんですよね。確かに、そこの急展開がすごく面白いです。

今田 ストリート発のダンスなのに、バレエと組み合わせても違和感がないくらい、動きがしなやかでエレガントなんですよね。

駒井編集長 NBE(ニューバレエアンサンブル)の校長、そしてケイティとの出会いが、リル・バックには非常に重要だったんだって分かります。

今田 リル・バックが、自分の才能はバレエでもいける、って確信して奨学生になったのは本当にすごいですね。

荒木 NBEは貧しい子供たちにも他の子たちと同じ水準でバレエを教えるんですよね、その取り組みも素晴らしいと思いました。

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和田 リルの才能はもちろん、チャンスをつかむ能力も非常に高いですね。

駒井編集長 そして、ヨーヨー・マがね。YouTubeで動画を発見するというね。自分の家に呼んでスワンを踊ってもらってね。

和田 そこにスパイク・ジョーンズ監督が居合わせるという。

荒木 突然のヨーヨー・マ笑。才能を発掘する才能ですね。アンサンブルが素晴らしかったです。

今田 正に、運も才能のうちですね。

駒井編集長 YouTubeって、才能発見の場になってますよね。本物の才能に裏打ちされたパフォーマンスを放流しておけば、必ず誰かが見つけてくれるという画期的なプラットフォーム。

和田 見つけてもらえれば人生がガラッと変わりますものね。

荒木 リルのダンスは明らかに異次元ですもんね……いつかは見つけられていたであろうと思います。

駒井編集長 爪先がキモなんですかね。あと、足首が柔らかいって言ってました?

荒木 足首が生まれつき柔らかいって言ってましたね。驚異のつま先立ちは文字通り血のにじむような努力で獲得したと。

今田 彼のダンスでヨガ的なポーズもあって股関節の可動域の広さと柔軟性がうらやましかったです。

駒井編集長 爪先がすごいんだけど、トウシューズは履かずに、スニーカーで踊るところがこだわりですよね。

今田 お母さんが何足も買ってあげたと言ってましたね。

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駒井編集長 リル・バックは、1988年生まれ。33歳。この年にして、ドキュメンタリーが作られるのは本当にすごいです。それより若くしてドキュメンタリー映画になったのは、グレタ・トゥーンベリぐらいじゃないの?

今田 ほぼ同世代ですが、イケメンバレエダンサーのセルゲイ・ポルーニンが1989年生まれですね。

駒井編集長 はいはい、「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」ですね。リル・バックはパリのルイ・ヴィトン財団で踊ってましたね。ストリートとのギャップがすごい。この映画は、彼の若い頃のフッテージがよくあったよねってのと、お母さんが息子にフルコミットで胸熱でしたよね。

荒木 スケボー動画撮るのと同じノリで、作品としてダンス映像を残してたんですよね。それ見るとリル以外の子たちもものすごい身体能力でビビります……。

今田 やはり銃が身近にある環境で、若い友人の死がリアルだったりする無念さみたいなものも、瞬間瞬間を生きるような身体表現に出ているのかな、とも思いました。

駒井編集長 あと、貧困から脱するために、魂を込めて踊るという感覚。ギャング以外のビジネスモデルを身につけるために、自分の得意なものを極めて這い上がっていくという。

荒木 子どもにとって厳しい環境で、すごく切実な思いでダンスと向き合っている様子が見えましたね。自分にはこれしかない、というような強い気持ちが。

和田 ダンスの才能だけでなく、音楽を感じる感性、理解力もすごいなと思いました。クリエイターとしての探究心、向上心を高く持ち、人柄の良さも伝わってきました。

駒井編集長 彼のバレエは公演を生で見たいと強く思いました。あの北京のヨーヨー・マの公演の盛り上がりはすごかったよね。会場中がスタンディングオベーション。

荒木 見たいですねー! 迫力が違いそうです。映像で見ても何がどうなってるのかわからないような驚異の身体能力ですから。

今田 「ブラック・スワン」の振付師で、ナタリー・ポートマンの夫であるバンジャマン・ミルピエもリル・バックに驚いていましたね。

駒井編集長 映画は、メンフィスから始まって、ロサンゼルスに行って、そこでヨーヨー・マに発見されて、中国に行ったり、最後パリのルイ・ビトン財団で踊ってるシーンもありましたが、メンフィスに戻って終わる。円環構造になってて美しかった。

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