劇場公開日 2021年4月23日

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ブックセラーズのレビュー・感想・評価

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4.0【本の”ラビリンスワールド”に自ら身を嬉々として投じた人々。本好きには、興味津々のドキュメンタリー。ビル・ゲイツさん、お金の使い方、分かってるなあ・・。】

2021年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 今作に登場するブックハンターたちは、ブックディーラーであったり、古書店主であったり、個人コレクターであったり・・。だが、皆、本をビジネスとして扱いつつも、本への愛情が半端ない人たちである。
  彼らが、本に対して語る時の、生き生きとした表情と言ったら・・。ー

■感想
1.今作は、本を愛してやまない人達が多数登場し、本への想いを語るが、一方では電子書籍の流通に危惧を抱いていたり、ネットで”簡単に”希少本”が変える状況を嘆いていたりもする。
 ー アナログだと言われればそうだが、矢張り本は自ら本屋へ出向き、数ある本棚の中から面白そうな本を探すのが、正当であると思いたい・・。ー

2.今作で扱われる本は、多種多様で、
・モロッコ革(マロカン)、子牛のなめし革(ヴォー)で装丁された数々の革装本であったり、
・「不思議の国のアリス」の手稿本であったり、
・ジャンキーなマガジンであったり、
・”白鯨”の初版本であったり、
・署名人のサイン本であったり、
・”華麗なるギャツビー”の装丁付きの本であったり、様々である。
 そして、時流によって様々な本の値段が変わる事などを、観る側は知るのである。

3.ナチスや、毛沢東による焚書のシーン。
 一昔前までは、女性がブックセラーの世界に入る込めなかった事も描かれる。
 ー 本を燃やすとは実に愚かな行為である。けれど、文化の精神は燃やされないぞ!と思う。ー

4.絵画のオークションのシーンは偶に観るが、本のオークションの風景は鹿島茂氏の幾つかの著作で読んだことはあったが、映像では初めて観た。
 そして、ビル・ゲイツがレオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿を、史上最高額の二千八百万ドル!で競り落とすシーンも・・。

<上記に記したように、一部の人は本の電子化により、紙の本が無くなることを危惧している。
 だが、一方では”本は生き残る!”と明るい顔で、主張する若い女性ブックセラーの言葉も紹介される。
 いずれにしても、本好きには夢心地の時間であった。>

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NOBU

5.0個性豊かな古書店主とコレクター達、古書に魅せられた人々の金言がパンパンに詰まったとにかく楽しい99分

2021年4月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

世界最大規模の書籍市、NYブックフェアに集う個性豊かな古書店主とコレクター達が語る古書に魅せられた人々の実態を綴ったドキュメンタリー。書籍に限らず何かに取り憑かれた人達というのは魅力的ですが、マンモスの標本付探検記等の希少な大型本を取り扱うソフトボール狂のデイヴ、父から引き継いだアーゴシー書店を切り盛りするジュディス、ナオミ、アディナの三姉妹、米国版お宝鑑定団的な番組で全国的な知名度を持つ若手ブックセラーのレベッカ・・・本作に登場する人達もとにかく皆チャーミング。皆それぞれの理由から本の魅力に魅せられて古書の世界に飛び込んできた人達。ビル・ゲイツが史上最高額で競り落としたダヴィンチのレスター手稿から二束三文の奇書まで取り扱われる本も様々、それらを求める人もまたそれぞれに歴史を持っている。書籍の中にも外にも無限の世界が広がっていることが本に憑かれた人ならではの圧倒的な蘊蓄とユーモアで嬉々として語られるのを眺めているのは至福のひとときで、何度も温かい涙を流してしまいました。

一方で急速に変化する世界の中で本が果たす役割も様変わり、丁寧に装丁された紙の書籍に代わって電子書籍が台頭、古書の売買もネットで簡単に出来る時代。そんな時代の変化に対する考え方も人それぞれで、この世の終わりが来るかのように悲観する古参の古書店主もいれば、多様性が尊ばれる世界に変容しようとしている今だからこそ古書の存在に新しい意義が与えられ様々なアイデアが湧いてくるのだと快活に笑ってみせる若手もいる。形あるものであるが故に失われるものもあるけれども、それでも彼らのような変わり者が元気に跋扈している限り古書店の灯は消えないという希望が、彼らが一堂に介したダイニングテーブルの上を飛び交う陽気な会話の中にはっきりと見えます。

とにかく楽しい99分ですが、そこに辛口のユーモアをドンとのっけてくるのが本作のガイド役を務める作家のフラン・レボウィッツ。彼女が要所要所に放り込むコメントが痛烈で場内に観客の笑い声が何度も響きました。そしてエンドクレジット後にも彼女がとっておきのネタをブチまけるので最後まで席を立ってはいけません。

そして本作に纏う軽快で優雅な雰囲気をさりげなく盛り上げるのがジャズのサウンド。その繊細な響きは映画館の音響だからこそガッツリ堪能できるものですので、是非とも映画館で鑑賞して下さい。特に読書家の方には猛烈にオススメします。

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よね

3.0本を愛する人へ

2021年4月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

本はとっても身近なものですが、古書、希少本の売買となるとさっぱり...。でも自分の知らない世界を知るのはとても興味深いですね。本を愛する人が沢山出てくるドキュメンタリー。

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Yoshi K

4.0本好きの端くれとしては見逃せない作品

2021年4月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ニューヨークのブックフェアを中心に、ブックディーラーたちを追ったドキュメンタリー。
本好きの人たちって、洋の東西を問わず似たようなものだな、と思った。わたしも端くれの端くれもいいところのブックコレクターなので、ああ分かるわその気持ち、と頷き通しだった。
本という媒体は歴代の所有者の思いをすべて載せて流通される。とにかく本を集めたいというコレクター、資料として必要な研究者、中身にこだわる愛好家、それぞれ本の扱い方も読み方も違う。だから、本を見れば、特にその本が長年様々な人の手を渡ったものであれば尚更、これまでの所有者がどのような思いをもってその本と向き合ってきたかが年輪のように積み重なっているものだ。
そして、本の愛好家たちはその積み重ねまでを含めて、本そのものを愛している。汚れているならそれなりに、この本は大事に扱われなかったのだなと労るし、どんなに大事に扱われようと経年劣化で痛むものだから、様々な修復手段も開発されている。
映画は、本のディーラーや収集家、書店経営者などを中心に、それぞれがどんな思いで本と接しているか、これからの本の行く末についてどう考えているかなどをインタビューで聞き出している。見えてくるのは、それぞれの思いは違っていても、皆「本」というスタイルで形作られた商品をこよなく愛しているということ。同じ本好きとして立場は違えど共感するものが多かった。
本を取り巻く状況が将来どうなっていくのかという部分については、考えさせられることも多かった。作中でも、ウェブの登場によるブックディールの激変と、デジタルデバイスの進化による読書スタイルの変貌について、やや悲観的に描かれている。特に後者については、本という媒体そのものがなくなるかもという未来予測もある。
たしかに、本をテキストデータの集積と捉えるならば、デジタル化したほうが扱いやすいし、紙媒体であることの付加価値が消え失せることによる恩恵も大きい。稀覯本について言えば、これまで入手困難で読めなかったものが簡単に読める時代が近づいているとも言える。
けれど一方で、それは出版文化の息の根を止めかねないものでもある。とはいえ、わたし自身はそれほど悲観はしていない。本でなければ成立しないものが必ずあるからだ。いちいち例を挙げて詳述はしないが、まだまだ本は必要とされていくはずだ。
それにしても、背景として映し出される映像に含まれた情報量とその多彩さには圧倒される。画としては然程内容に関係ないものも含め、なんと魅惑的な情報たちか。ビデオでいちいち一時停止しながら画を読み取りたいと本気で思った。

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よしえ