夕霧花園のレビュー・感想・評価
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マレーシアの日本庭園
阿部寛さんが出ているマレーシア映画ということで珍しさもあり鑑賞、マレーシア映画と言っても監督は台湾人、脚本はイギリス人という国際色豊かな不思議な映画。
舞台はマレーシアの前身マラヤ連邦、主人公の女性判事ユンリンの太平洋戦争中から戦後の悲惨な物語を回想風に描いています。阿部寛さんはマラヤに移住した謎めいた元皇室専属の庭師でユンリンとの不思議な縁を演じています。
中盤、日本軍の占領時代の蛮行が描かれるが正直、同じ日本人としては観るに堪えないシーンの連続、史実故に、もし、日本軍が戦争に勝って軍事国家になっていたらと思うとぞっとしました。日本庭園が重要な意味を成していますが原作者の陳團英(タン・トゥワン・エン)さんの日本文化への造詣の深さには驚きました。山下財宝も絡むのでサスペンス調でもありドキドキしましたが、本題では無かったようで発掘はお預けでした・・。
なんだかよくわからない
日本軍の残虐さ、妹の死の克服、有朋とのラブロマンス、最終的に山下財宝も出てきて、結局すべての話が浅くなってしまった印象です。
トム•リン監督は『九月に降る風』も『百日告別』も素晴らしかったので、こういう大規模映画は向かないのかもと思いました。
第二次大戦での日本軍のマラヤ(マレー半島)占領や戦後のマラヤ共産党...
第二次大戦での日本軍のマラヤ(マレー半島)占領や戦後のマラヤ共産党武装蜂起(非常事態)を背景に、悲惨な体験をした華人女性が、現地に残留した日本人庭師と過ごした日々を追想する。
日本軍の蛮行とストイックでミステリアスな庭師の対比で、戦争の理不尽さと愛の深さを示すシリアスなストーリー、と思っていたら、(ここからネタバレ)実はすべての伏線が、山下将軍の秘宝をめぐる謀略と争いに収斂するのであった。この落差に、何とも気持ちのもって行きようがなくモヤる(自分の山下財宝のイメージがしごくエンタメ寄りであるからか)。
映像は端正で、舞台であるキャメロン・ハイランドや密林の緑が気持ちいい。主演俳優リー・シンジエ(宮崎あおいを彷彿)が教養ある芯の強い女性を好演。阿部寛は英語の演技でも阿部寛らしい(ほめてる)。
ちなみにマラヤ非常事態をめぐる映画は昔「第七の暁」(1964英、丹波哲郎が出演)を観たが、それもこの映画も、マレーシアにおける英国人の独特な存在が描かれていて興味深い。
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