「淡々と流れる小川(又はその土手)のような佇まいの家族の姿」ミナリ SkyLockさんの映画レビュー(感想・評価)
淡々と流れる小川(又はその土手)のような佇まいの家族の姿
「ミナリ」とは韓国のセリ(水辺の野草)のこと。 タイトル「ミナリ」は、アメリカの田舎に新天地を求めて移り住む「家族」のメタファー?
そして、映画のストーリーは、まさに「水」が紡いでいきます。
田舎の中のさらに田舎に(「土」がいい土地を探し)移り住んで来る韓国人家族。(仕事はヒヨコの雄雌鑑別選り分け/舞台となった時代、韓国人が就ける下働きな仕事のひとつだったのか?)。
裕福ではない、でも貧しさに潰されていない4人家族の移ろいを描いていきます。
4人一家、一人ひとりの眼差しは、必見です!
父が井戸を掘る適地を小さな息子に問う「水はどこに集まる?」
移り住んだ家は雨漏りするトレーラーハウス。
不安に駆られた母は、唯一の肉親である母(おばあちゃん)を呼び寄せたことから、話が膨らみ、展開していきます。
曲者のおばあちゃんは、一家が住むトレーラーハウスからち離れたところにある小川を見つけて、韓国から持ってきた「ミナリの種」を蒔く。〈韓国人にとって「ミナリ」は、薬味であり、万能野菜であり、香料、体調安定の源!〉
野菜づくりのため井戸を掘るが、なかなか水は出てこない。野菜づくりもうまくいきません。
井戸掘りで疲れきった夫の頭を洗う妻。夫は頭をうなだれて、石けんを洗い流す水の中で、涙する。このシーンは、意味深く、圧巻。
場面場面、一家4人の、一人ひとりの表情、眼差し、素振り
素晴らしい!!です。
不便で、病気持ちの子育てに不安が募る妻は、都会に戻ることを心に決めるが、
息子の心臓の具合は、好転していた!(定期診察した医者は、その理由は「水」がいいからと)・・・移民の生活は、こんなふうに翻弄されたのだろう。これは、私たちの日常も同じか。
と、映画は進んでいきます。
が、作品は重くないです。
映像も暗くないです。
カットカットの映像が、印象的で、美しく、希望が膨らみます!
製作予算が限られた中でも、いい映画は、生まれる!
監督に、拍手👏です!
また一つ、韓国映画が名作を世に放ちました。