劇場公開日 2022年10月14日

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「伝記映画というよりは、サスペンス・ホラーか?」スペンサー ダイアナの決意 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5伝記映画というよりは、サスペンス・ホラーか?

2022年10月17日
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「伝記映画」というよりは、「心理サスペンス」時々「ゴシックホラー」というべきか?陰鬱な映像だけでなく、耳障りな音楽が、いやが上にも不穏な雰囲気を盛り上げる。
だが、映像や音楽よりも、なんといってもクリステン・スチュワートの存在感が圧倒的である。
確かに、実際のダイアナ妃の表情やしぐさ、しゃべり方を見事に再現してはいるのだが、似ている、似ていないといった問題以前に、元々のどこか影のある彼女の個性が、精神のバランスを崩していく主人公のキャラクターに、見事にマッチしているのである。これは、クリステン・スチュワートにしか体現できなかったダイアナであると言えるだろう。
夫の不貞や、王室の堅苦しいしきたりや、パパラッチたちの好奇の視線によって、追い詰められていく女性の物語ではあるが、特定の個人や王室を批判する内容にはなっていないのも良い。当然、実在の人物や制度への配慮があってのことなのだろうが、開放感に溢れたラストシーンと相まって、後味がとても爽やかなのである。

tomato