「ナチスのユダヤ人虐殺を通して現代を問う」アウシュヴィッツ・レポート kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ナチスのユダヤ人虐殺を通して現代を問う
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ナチスがらみの映画って昔からあるが、ここ数年増えている気がする。なぜだかはわからない。しかも実話ベースの話が多い。70年以上たってていまだに映画にできるエピソードが存在することに驚いてしまう。
アウシュビッツでの虐殺の事実を告発するために収容所を脱走するというこの映画。脱走する2人を描くパートと、収容所に残った者たちを描くパートに分かれるのだが、収容所パートが壮絶すぎた。
長時間立たせて、何を企んでいるのか白状させようとするナチス兵。立たされているだけの地味なシーンだが、彼らの怒りや悲しみや苦しみが使わってくる。そして命じられて移動したとき、うずくまったり倒れて動かない者が数名いるというシーンが印象に残った。
そしてスロバキアに脱出して、保護された2人が直面するのはナチスの残虐行為を隠蔽している事実。収容所を視察した赤十字の人間を殺していたという話は(事実かどうかはわからないが、たぶん事実なんだろう)ナチスの必死さが垣間見える話だ。
この手の映画にしてはあっさりと短めで終わるんだなと思いながらエンドロールを観ていたら、現代の政治家たちの発言(誰の発言かはわからない仕掛け)が流れてきた。なるほど、本編を観た後にこうした発言を聞くと、ナチスのユダヤ人虐殺問題は終わっていないと感じる。ナチスの問題を描きながら現代を問うという姿勢。ナチスがらみの映画はまだまだ作られている理由が少しわかった。
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