「人間はAIに従えるのか」デンジャー・ゾーン 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
人間はAIに従えるのか
AIの上官に人間の部下、というアイデアが面白い。AIの進歩は日進月歩でいつか人間の知能を超えるだろうと言われるが、もし本当にそういう時代が来たとして、人間は素直にAIに従えるものだろうか、という疑問は誰もが抱いたことがあるんじゃないだろうか。
おそらく、人間は素直にAIに従わないのだろう、本作でもロボット差別主義者などがちょいちょい登場するが、やはり純粋な知能だけでロボットをあっさりと受け入れるほど人間はよくできていない。
本作の主人公がドローンパイロットなのも面白い。モニタ越しにしか戦場を知らない主人公が、AIの上官に連れられ、戦場のリアルを体験する。主人公は、戦場においては感情を度外視して被害を最小限に抑える方法を取るべきだという非人間的な考えの持ち主で、AIの上官は逆に感情豊かであるという逆転現象も面白い。終盤のドンデン返しの展開に疑問を持つ人もいると思うが、個人的には面白いと思った。あれは、AIは人間にはできない判断ができてしまうのだという描写なのだろう、そしてこの映画を見る我々も人間なので、そのAIの判断の正当性を正しく理解できないのかもしれない。
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