「何てこった!パンナコッタ!」プラットフォーム kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
何てこった!パンナコッタ!
『CUBE』にも似たシチュエーション・スリラーなのだが、メッセージ性がかなり強い。認定書を貰うため半年間の不条理タワー生活。目覚めると48層にいたゴレン。同室(?)の相棒はトリマガシという爺さんだ。上から“台”が降りてきて、残飯を漁るしかない食事。とりあえず1ヶ月間は彼と過ごすしかない状態だ。
一つだけ好きなモノを持って入れるというルールがあり、ゴレンが選んだのは「ドン・キホーテ」の本。店ごと持ち込めれば一生食っていけそうなにな・・・などとつまらないことを考えつつ、拘禁生活の携帯品にしては彼は優しすぎる性格だと諭される。中には武器を持つ者もいるし、飼い犬を持ち込んだ者もいるのだ。空腹によって本性が表れる者ばかりで、格差社会や暴力の世の中をも如実に表現している。
上から下へ。1ヶ月限定のヒエラルキーだが、トリクルダウン理論の矛盾をも突いてきているように思う。上層、下層、中間層、それぞれを経験してみて初めてわかる世の中の矛盾。精神にまで支障をきたす悪質な心理実験ともとれるのだ。「救世主」と崇められたりもするが、巨大な塔や管理者には太刀打ちできない。それでも下層や人間の多様性をも経験して革命を起こそうとするゴレンの変化。まさに「ドン・キホーテ」の精神だ。しかし、その冒険は・・・
ちょっと考えても高さ6mくらいある300階層の塔は高さ2000m近い巨塔なのだし、支柱もチェーンも付いてないプラットフォーム自体も物理的には不可能だし、気温だけ考えても温度差に耐えられそうもない。人間の本来の姿も終盤には明らかにされてくるが、殺戮に走る姿にはゾッとさせられた。また、垂直なんちゃらの連帯感というのはあり得ないというメッセージ。階層社会を作ろうとする為政者の本質まで見えてきそうだった。
kossyさん、お久し振りです(*^_^*)!
なるほど…凄い考察です( ˘ω˘ )。oO
ドン・キホーテも(実は名前しか)知らなかったし、余り食い付けなかった作品なのですが、こうやって聞くと納得ですね!