竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
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深く考えなければ★ ★ ★ ★
深く考えなければ楽しめると思います。例えば、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのに高知ー東京間で物語が解決しちゃう両極端なスケールの対比は何か意味があるんだろうか?とか、世界中で50億人が利用している仮想世界での話なのにたまたま見かけたアバターに「あなたは誰?」なんていう近視眼的な質問するだろうか?とか。
ストーリーは粗いがテーマは良い。映像・音楽は圧巻。
少女の成長物語として一貫性があり、胸を打つ歌と映像美で劇場で観たことを後悔しないぐらい良作だった。
確かに多くの方の評価にあるように、ストーリーには多少の無理矢理感や疑問が生じる点はあったが、主題を揺るがす程のものではなく私は気にならなかった。逆にそういった細かい点も気になる方からは評価が低いだろうなと感じた。
また監督の過去の作品や美女と野獣と既視感のあるシーンが登場するのも事実。しかし主題は全くの別物なのでここも引っかかるかどうかは個人差が出るだろうなと。
印象深かったのは、母親の死に際の呆気なさとラストの分厚い入道雲の向こうから陽の光が顔を出し始めたカット。
余りにも呆気ない母親の居なくなり方が妙なリアルさすら感じると思って見ていたが、物語後半で、遺された誰かを守りたいという意思が切なくも暖かみをもってすずの歌や父親とのやり取りから滲んでくる演出が素晴らしかった。
全てを終えたラストでも、表向きすずの日常には大きな変化は生じておらず、ただ現実世界でも歌えるようになり父と夕飯を共に出来るようになった程度。一見大した変化ではないがUの世界および鈴の内面では大きな一歩であり、それを象徴するような雲の後ろの太陽が美しく、華美でない印象的なラストとしてこの映画の〆に合っているなと惹きつけられた。
監督、僕は面白いとは思えません
10年前、当時思春期だった自分に影響を与えてくれたサマーウォーズ。
その影響を強く受けた作品なら見ずにはいられない!そう思って劇場へ。
精神的な傷を負った主人公が仮想空間で自分自身の才能を開花させていく。正と負の意見にさらされながら、「竜」と呼ばれる嫌われ者と出会い、二人の性質は影響し合う。
共通する心の傷と、全く異なる反応をする2人は次第に響き合っていくわけだ。
世界観はすごくサマーウォーズそっくり。
冒頭の数秒、「ようこそ、Uの世界へ」の時点でサマーウォーズの影響を受け感じた。
この時点では強く期待した。
10年前のサマーウォーズをどうリメイクしてくれるのか、楽しみにしていた。
以下、個人的レビューを記載する。
結論から述べる。
映像美と歌のシーン以外非常につまらない。
化け物の子から不安視していた通り、脚本が陳腐化していると感じた。
まず、良い点をの記載する。
主人公の声優と歌唱力、アニメーションシーンは秀逸でした。
世界観がよく表れており、劇場では鳥肌物の迫力がありました。
ここからは不満点を述べる。
以下の2点が強い不満点である。
①主人公の心情に寄り添いづらい。
複雑な背景を生きる主人公のすずは、抑圧された学生生活を生きている。
竜に接触しようとするシーンをはじめ、行動の動機がイマイチ理解し難い。またその方法が稚拙で、感情移入できない。
何を思ってこのストーリーラインにしたのか?自分は納得できなかった。
特に終盤のすずたちリアルの皆んなが集合するシーンは格別。人物全員が何を考えているか意味不明。彼らの考え方、思考回路に共感できなくては盛り上がりに没入できない。本気で帰ろうかと思った。虐待を受ける子供の保護が目的でいきなり東京行って運良く遭遇って、そりゃないでしょう。
子供向けにわかりやすくしたのかもしれないが、はっきり言って子供騙しの脚本だと感じた。
②はやりを取り込みすぎていて持ち味が死んでいる。
名作であるサマーウォーズ、美女と野獣をオマージュするところまではわかる。だが、そのせいで中途半端なストーリーと、えっ?と思ってしまうタイミングの歌唱シーンの連続。
また、テンポが悪くなっている。サマーウォーズでは見ていられるスピード感と納得感があったが、本作はとくに、現実シーンでのテンポの悪さが際立つ。終盤の青春シーンは本当に不要だった。「このタイミングで…?」と思う、半ば取ってつけたような青春の押し売りはウンザリさせられる。
細田監督、自分が期待しすぎたのかもしれません。
ですが、こりゃないですよ。
才能は枯渇する物だと聞き及びました。まさに本作はそれをまざまざと見せつけてくるように感じます。
世界観と歌唱シーンだけは良い物でした。
ですが、これだけでは単なるミュージックビデオです。
映画としてみるなら、脚本やテンポなどの演出は必要でしょう?
本作は歌唱シーンだけ見れば良い、それだけです。
これでは往年のファンはついて来れないのではないかと感じました。
あくまで私信です。
ご参考までに。
色々残念
初日に観に行くくらいは今作に期待してました。
しかし、伏線とかその回収とかも無いような話運びだし
軽々しく虐待を扱ったりトラウマを扱ったり
克服の仕方もなんか中途半端で、とても幸せな人が無理して作った感じがあった
サマーウォーズで当たったから電脳世界にしたのだとしたら
とても安直です。
サマーウォーズはなぜ当たったのか
『よく無いのはお腹を空かせていることと1人でいること』
栄おばあちゃんの言葉が今も生きているのはなぜなのか
もう一度よく考えてほしいです。
映像美と歌はとても良かったです
でもそれだけならミュージックビデオで良いんですよ
題材は良い
起承転結の「起」は良かったと思う。高度に発達したネット社会で、現実とどう向き合うか。また、自己のアイデンティティをどのように形成するか、という問いは、映画という媒体でなくても色々な場面で語られている王道かつ深みのあるテーマであるし、エンタメの中で語る価値も十分ある。
「U」という仮想空間についても、「結局なにをする場所なのか分からない」という声があるが、武術館(?)のようなものがあったり、主人公がライブをしたりと、多目的なプラットフォームとしての場所だと考えられる。一つの目的に絞るのではなく、あくまで「場」を提供し、そこでどのように遊ぶかは自由という空間作りは、SNS、YouTubeなどにも見られる特徴であるし、現代的なネット世界を的確に描いている、という評価も可能だ。
この映画に良くなかった点は、他のレビューが沢山語っているが、やはりテーマが散らばってしまっている。
過去のトラウマを乗り越え、竜を救い、家族とも同級生とも仲良くし、Uでもスターであり続ける、と主人公が抱えるタスクはかなり多い。これらをきっちりまとめ切れる脚本家もいるとは思う。しかし、この映画はただ「浅く広く」になってしまい、どのテーマについても深掘りが足りず、結末に対する納得感が得られない。ハッピーエンドではあるが、それが主人公が「本心から」望んでいるのか、という裏付けが見つけにくい。主人公のアイデンティティをテーマにしてしまうと、「そもそも本当にそれを望んでいるのか?」という部分を裏付けない限り、なんとなく宙ぶらりんな印象を抱いてしまう。本作は、作品前半で提示された課題をただ解決していくので、とても表面的な内容になってしまっている。
※本作の結末が悪い、と言っているわけではなく、良い結末ではあるが、どうして「良い」と言えるのかのロジックが甘い、という意味。
ここからは、個人的に掘り下げて欲しかった点を2つあげてみる。
1点目は、無数の人々からの批判や賞賛のコメント。何をやっても、アンチは湧いてくるし、賞賛してくれる人もいる。本作では、すずの母親が亡くなった時は母親に対する辛辣なコメントが殺到していたり、ベルが「U」で歌い始めた時もアンチが湧いていた描写がある。本作のキーマンである竜に対しても同様だ。相手の顔が見えないネット社会では、無責任な批判が無数に飛び交う(称賛も然り)。そうした中で、いかに堂々と自己を表現していくかは、語り直しても古臭くならない王道なテーマだと思う。竜への表面的な理解から来る心ない言動に対し、どう立ち向かうのか、どんな主張をしていくのか、この点を掘り下げつつ竜を救うことができれば、ベル自身のトラウマの解決にも通じるし、作品としてのメッセージも明確になったんじゃないだろうか。
また、ここで活躍して欲しいのはすずの親友(?)であるヒロちゃんである。ヒロちゃんは毒舌だが、根底にはすずへの愛がある。ネット上の書き込みと同じに思える辛辣な意見でも、言葉への責任の持ち方や、相手や物事に対する理解度が違う。この対比を明確にし、問題の本質は「相手に対するリスペクト」と「言葉に対する責任」であることを伝えられれば、より良い映画になったんじゃないかと思う。
次に、ネット社会と現実社会でのアイデンティティの持ち方である。本作は、あくまで人のアイデンティティは現実社会に根本がある、という姿勢を貫いている。「U」でのキャラクターの背景には現実世界での生き方がある。あくまで現実世界での生き方をベースに、ネット空間での姿や立ち居振る舞いが決定されていく。
また、竜を「アンベイル」しようとし、竜の「本当の姿」を現実社会の中に探すなど、作中の人物のほとんどが、現実世界での姿こそ本当の姿、という前提のもとで生きている。
(ただし、「アンベイル」が「U」内の極刑として描かれているように、ユーザの多くは現実社会とネット社会のアイデンティティを切り離したい、という強い願望を持っているらしい。)
この映画のクライマックスでベルはすずとして歌い、現実の自分=本当の自分を曝け出す。ここで、アイデンティティの統一が実現する。これ自体は、すずの勇気ある決断であり、批判したいとは思っていない(この点も、なぜこの決断が良いと言えるかの裏付けが甘いとは思うが)。
ただ、これは誰にでも当てはまる普遍的な生き方ではない。
現実世界とネット世界で、アイデンティティは切り離されていたっていい。その可能性を、もう少し示唆してほしかった。(当然、ベル以外の50億のユーザは、アイデンティティを切り離して生きているとも推測できるが)
現在の複雑化したネット社会では、むしろ「アイデンティティを使い分ける」生き方のほうが生きやすい。また、それは決して相手に対して本当の自分を見せない不誠実な態度ではない。そもそも、「本当の自分」という唯一無二の根源的アイデンティティの存在が現代は揺らいでいる。「本当の自分」という観念自体が、ある意味時代遅れとさえ考えられるのだ。
(この点、2016年のセンター試験国語評論文がかなり詳しく語っている)
こうした意味で、本作の描くアイデンティティは、時代に対し逆行している感があった。上記のアイデンティティ像が主人公の決断であってほしかったとまでは言わないが、そうした生き方を肯定しつつ、主人公の決断を描写できれば、作品として深みが増したように思う。
他のレビューが言うように、美女と野獣的描写が必要だったかはやっぱり分からないし、竜の背景が割と普通なのも不満はある。悪役を「親からの虐待・暴力が原因」というありきたりな因果論の中に押し込むのは、キャラクター像があまりに薄っぺらい。
全体として、テーマは良かったのに、深掘りや答えが浅かった。けど結末自体が悪い訳ではないので、素晴らしい音楽と映像も相俟って「いい作品感」は演出できていると思う。
それはそれで大事なことなので、2.5ではなく3にしました。
ちなみに私は「おおかみこども」が大好きです。
メッセージ性を変えたサマーウォーズ
好きな細田作品は「サマーおおかみの未来」です。
音楽は確かにいい。歌唱力も素晴らしい。
でも歌で物語を引っ張るんなら、ベルの歌唱シーンはCGにせずにアニメでいくべきだったのでは?
凄く、残念。全体的に画は綺麗になってるけど、それはあくまで技術が向上しただけで、演出的な手腕は変わらず。
ストーリーに、関してはサマーに遠く及ばず。
ヒロちゃんが自分のお母さんについて話してて、はっとなったりするシーンや、川上さんの駅のフリーズカットとか堪らなく繊細でイイシーンはあるけど、やっぱりUの世界の演出はサマーウォーズと差を感じられない。
むしろ、ちょっと、ダサい。
バラ色の服着て唄って、バラがばらまかれるっていつの時代の演歌歌手よ?
そもそもなんでOzにせんかったん?Ozの改良で良かったんじゃないの?
Bluetoothイヤホン型のダイブモジュールて、弟子の伊藤さんのSAOですら、もちょっとリアルな設定だったわ。
前半のテンポの良さは流石。でも竜が出てきて、そもそも竜に何者なのかと問いかける流れが不自然。
やっぱ☆2つにしよう。
ラストの鈴の歌唱後も、なんでベルに戻っちゃうの?鈴で良かったじゃん。
最も納得がいったであろう展開としては、ラスト歌唱しながら忍とヒロちゃんが竜に呼びかける。歌う鈴に感動して竜が心を開こうとするも、虐待がスタート。
歌を中断し、皆で作戦会議。カミシンが割り出した場所からその地域の人に連絡をとり、皆でUの住人も含めて竜の現実住処を一斉捜索。皆でお父さんをとっつかまえて、鈴がテレビ電話越しに助けに来たよ、の流れ。
再度ベルとしてライブをし、竜のアバターではなくなった竜と、みんなでライブパフォーマンス。
現実の世界でも同時に体育館のステージでライブパフォーマンス。
大団円。
くらいじゃないと。
歌物やるなら、マクロス、超えてよ。
欲張って色々な要素をあまりに詰め込み過ぎた
事前情報を特に仕入れずフラットな気持ちで鑑賞。結論としては、最後まで見て何度席を立ちたいと思ったかわからないレベルでつまらないと感じた。
そもそもこれまでの細田守の作品はある程度描きたいテーマが明確だったが、今作はとにかく「詰め込み過ぎ」に尽きる。プレバトの俳句査定でよく夏井いつき先生がおっしゃっておられる事が頭に浮かんだ。とにかく内容を詰め込もうとするのは凡人の特徴だと。もちろん映画は俳句ではないのだが同じ事は言えると思う。
思春期の少女の抑圧と解放、父子の冷え切った関係とその改善、母の心を理解する事で自らも母となる資格を得るという成長、幼馴染の男女の恋愛模様とそれを取り巻く学校でのヒエラルキー、虐待される子供とそれを助けてくれない社会と周囲の環境、ネットでの誹謗中傷や実名と匿名に関する問題提起、映画や音楽や小説で飽きるほど扱われてきたこれらのテーマや社会問題をたった2時間の作品に節操なく詰め込んだ結果、本当に表現したいはずのものがハイライトされずに全てが中途半端に描かれてしまっている。あれもこれもと欲張らずに本当に描きたいものをきちんと絞って欲しかった。「聲の形」や「この世界の片隅に」のように明確なテーマが定まっている作品と比べてとにかく薄っぺらい。こんなに表面的なリアリティしか描けないなら分不相応にスケールアップするのではなく、最初から最後まで一貫してすずの成長と竜との関係性にのみフォーカスを当てた方が圧倒的にまとまりが良かったように思う。
美女と野獣のオマージュについても単なる話題性獲得以上にこの作品で行う必然性が全く見いだせなかった。傷ついた竜の心に寄り添うベルの姿だったり、とってつけたようなダンスシーンなどは全く隠すことのない美女と野獣の再現であるが、あれはあくまで美女と野獣が徐々に互いに惹かれ合う描写が重なってるから成立するのであって、ネットで出会った赤の他人同士が唐突にそのような関係になることには違和感しかない。そもそも美女と野獣は優しいベルの心に触れて野獣が人間の心を取り戻していく過程を描いた物語なのに、野獣(竜・恵)ではなく美女(ベル・すず)の成長の話に置き換えてしまった時点で本来の構図が崩壊している(恵も最後はすずを信用するようになるがそれはあくまですずの成長の結果であって過程ではない)。であるならば、なぜわざわざ美女と野獣をオマージュする必要があったのかと疑問に思う。ガストンをモチーフにしているであろう「ネット警察」もまるでSEKAINOOWARIの歌詞に出てくるような正義と悪の二元論で生きているテンプレの悪役で、「ここまでわかりやすく表現しないとどうせ伝わらないでしょ」と馬鹿にされているような感覚に憤りさえ覚える。
そもそもの問題点として、この作品ではいつも「結果」だけが先に描かれてそこに至る「動機」や「過程」がきちんと描かれていないから、論理的な思考で能動的に作品を鑑賞する人と、感覚的な思考で与えられた結果をありのままに受け取る人の間にこれほどまでに評価の乖離が生まれるのだろう。もちろん「結果」から「過程」を推測する事はできるし、それも創作物の楽しみ方の一つではあると思う。例えば、すず=ベルである事を合唱隊の面々が知っている理由は、合唱隊=Voices=Uの運営だからだとか(それ自体おかしい話だが)、すずの最初のフォロワーになったクリオネのAsの持主は恵の弟であるというのは直接語られてはいないものの作品中の描写から十分に推測できる範囲だし、意図的な省略による構成の美しさとして機能していると感じた。
一方で、ベルの方が竜にあれほどまでに執着して、そのリアルを暴こうとするネットリテラシーの欠片もない行為に至った動機や、ネットで超が付くほどの有名人のベルが素顔を晒すという行為に対して「匿名で誹謗中傷するだけの存在」として一貫して描かれていたSNSの住民達が、単なるプロモーション戦略であると「悪意のある解釈をする」のではなく涙を流して感動した論理、そして虐待されている兄弟がいるとわかったすずが、その家を配信映像から探り当てて住所に単身で乗り込むという行動原理は、おそらく監督の無自覚に崩壊しているロジックであり、この作品にはこの要素が本当に多い。これらの「結果」の「過程」も解釈次第では筋道を立てる事自体は可能だろうが、ウミガメのスープのような突飛な発想力を発揮しないと辻褄が合わないのであれば、それはもはや「省略の美」でもなんでもなくただの脚本の不備である。
どうも細田監督は(1)描きたいキャラクターがあって、(2)描きたいシーンや表現があって、(3)作品の格を上げようとして社会問題を設定に盛り込んで、最後に(4)全てのつじつまを合わせる脚本を書く、という方法でこの作品を作ったんじゃないかと感じた。(1)(2)が強すぎて(3)があまりに雑だし、(4)に至っては致命的に下手で、それはおそらく設計図(設定やあらすじと置き換えてもよい)を空想で描くのは得意でも、現実に即した要素に関して徹底的に下調べして理論的考証を行ったり、全ての要素を繋ぎ合わせて理路整然とした文章に変換するという作業が著しく苦手ということなのだろう。この程度の知識や実力なら設定だけ作ってプロの作家に代筆してもらった方が絶対に良いし、社会問題を扱って変にリアリティを出そうとせずに、夢と希望に溢れたご都合主義の冒険物語を描いた方が結果的に万人に訴求できる作品になっただろう。
ところで、私は演出についても好意的ではない。ネットの身バレを『オリジンのアンベイル』なんて表現したり、「悪意のあるネットの声」をわざわざナレーションするあたりは、シンプルにダサいし、空間を埋め尽くすほどのアバターがただ存在しているだけの仮想世界に魅力は一切感じない。
この作品のように全く褒めるところが無いくらいに酷評しか浮かんでこない映画は本当に久しぶりで、自分でも驚いている。この作品の映像や音楽に心を打たれたという人を否定するつもりは毛頭ないが、単に私はロジックが稚拙な創作物に価値を見出せないので、この作品が絶望的に合わなかったというだけである。
ラストが茶番
仮想現実の描写は見事としか言いようがないほど綺麗で、引き込まれるものでした。
内容も、主人公の母親が子供を助けるために氾濫した川に飛び込んで亡くなるなど理解し難い場面もありましたが、途中までは楽しめました。
問題なのは最後の場面です。あれだけ壮大な演出で主人公が成し遂げたのは、SNSで知り合った少年2人の居場所を知ることのみ。サマーウォーズと比較するとどうしてもクライマックスとして弱い印象を受けてしまいます。
さらに、ようやくDVを受けている少年の場所を特定するも、警察が動かないため、主人公1人が夜行バスに乗って少年の元まで駆けつけるという茶番。
少年の居場所を一刻も早く特定しないと危ないからこそ、主人公は現実の姿を晒してまで奮闘したというのに、主人公が少年の家にたどり着くのは翌日で、危険だと分かっているのに主人公に一人で向かわせる周りの人間たち。
途中まではそこまで悪くない映画でしたが、ラストで萎えました。
絵と歌が良いだけ、ストーリーの出来はイマイチ
サマーウォーズに似た設定でしたが、感動するところはなかったです。
竜に対して「彼は誰?」と言って探し出しますが、伏線が分かりやすくて単純で、結末が想像できるのが残念でした。
あと美女と野獣のようなシーン、わざと思い出させるような描写にしたのでしょうか?謎です。
いくつか、なぜ?が解消されずモヤッとしました。なぜ恵たちの父親は鈴と対峙して腰を抜かしたのか。恐らく父親はジャスティンなんでしょうけど、鈴がbelleと気付いたような描写もなく意味不明です。
あと恵の声が年齢設定に相応しくないです。佐藤健で客を釣ってるだけでしょうか。
きっと小説という形であれば面白かったのかもしれません。
豪快に予想していたルートから脱輪した
なぜベルが竜に惹かれたのか分からない、というレビューもあったので心配していたのですが、そこはなんとか自分なりに納得することができました。
突然ライブ中に現れた竜は大勢の人に追われていて、なにか抱えきれない感情があってそれを暴力で発散しているように見えます。
鈴は竜の姿に何となく自分を重ねたのではないでしょうか?(マイクを突きつけられて叫んでしまう→走って逃げる→歌詞(?)を書き殴り結局破いてしまう……など)
お城の中に女性の絵が飾ってあるのも竜の母親に何か不幸があった事を連想させます。
最初は自分に似てて気になってたけど、「傷ついてるから助けてあげなきゃ!」→あれ、これって水難事故の時の母親の気持ちでは……? みたいな感じかな、と思いました。
そんな個人的な解釈も手伝ってか、Uの中で鈴が歌う所は映像的にも凄く綺麗で、印象的でした。もしかして、ベルが出てきて人気が無くなっちゃった歌い手的な女の子って、昔鈴の母親が助けた女の子だったりして……それでエセ正義マッチョは竜の父親なのでは……なんて妄想したりもしたのですが、その後から怒涛の違和感ラッシュ。
鈴「兄弟のところに行く」
は分かりますが、なにを一人で行かせてるんだ大人達……
まず駅でお姉様方は一緒に電車に乗るか鈴の父親に連絡しなきゃだめだし、
鈴の父親は電車に間に合わなくても、せめて兄弟のいる町の駅か、兄弟発見には間に合うように駆けつけて欲しかった……
それが無理でも最悪、暴言親父が鈴の肩を掴んだ時に後ろからそっと暴言親父をたしなめて止めさせるくらいのことはしてくれると思っていたので、鈴が顔を傷つけられた時と、地元に帰ってきて駅で父親が「メシは?」みたいな事聞いた時すごく腹立たしかったです
一番がっかり、というか悲しかったのは鈴が抱きしめた後、竜が泣きもせずに「戦う」と言ったことです。
これ以上14歳の子供に何させようとしてんの???
Uを理想の仮想現実として描こうとするなら、対になる鈴たちの世界はもっとリアリティを持って作って欲しかった。
鈴は兄弟を助けたいと思った事で母へのわだかまりを解消できたし、歌えるようになったし、幼馴染ともいい感じだし。多分竜兄弟の方も気持ちの面では救われた部分があると思います。吹部の子とカヌー男子のカップルも可愛いです。
でも私はこの映画がハッピーエンドだとは思えませんでした。
「可哀想な目に遭った子(鈴や竜)がなんとなく救われたような感じになって良かったね」というコンテンツがUの技術や歌で飾り立てられて、それを一般大衆や、高みの見物決め込んでた保護者面の大人達、同級生達が消費して満足している映画でした。
歌はとても良かったし、好みの曲調。大画面で観たUの世界の映像は美し...
歌はとても良かったし、好みの曲調。大画面で観たUの世界の映像は美しく迫力があった。田舎の風景も綺麗だった。
だったが、なぜか学校の学生たちの作画が荒くなる。Uの映像が綺麗なだけなぜ?
その荒さに比例するのか、人間関係が薄い。2クールアニメの劇場版かと思うくらい、人間関係の構築の説明がすっ飛ばされるので腑に落ちないまま話が進んでいく。クラスLINEで炎上する件必要でしたか?ボート部の子とか合唱のおばちゃん達とか親友とか、なんなん?どうしたいん?端折られすぎてて疑問ばかりが残る。最たる疑問は、竜が現れた時になぜ何をしたいのかとではなく、あの人は誰?という感情になったのか。なんでそこからあんなに惹かれたのか。
思うに現実世界でもUの中でも主人公以外のキャラクター、物事は全て記号でしかないのかもしれない。見せたい図を詰め込んで、それを表す為の記号を置いていっただけだから、厚みが感じられないのではないだろうか。
その割に片足のない飼い犬とか変にインパクトのある記号だけ置きっぱなしだし。考察と察するは別物だと思う。ちゃんと考えると、竜の少年達の問題は何一つ解決してないのだが、そこは目を瞑って一件落着で終わらせたいのを察しなければいけないのって、本当どうなんでしょう。
やりたかったのは、美女と野獣とサマーウォーズとマクロスFのシェリルなのかしら?
サマーウォーズやぼくらのウォーゲームの時代はまだネットのコミュニケーションに夢を見られたけど、もうあんなにネット上が一丸となる事はないって分かってしまっているから、素敵な理想の世界を見せてもらったなと思った。
おおかみこどもやバケモノの子みたいな変な気持ち悪さはない。可もあり不可もあるといった作品。
作品の纏まり
仮想現実での出来事を通じて、現実の主人公が成長していく物語。
仮想現実の描写や、音響が素晴らしく、映画館で観てよかったと思える作品。
ただ、ミュージカル的な主人公の歌声の美しさに重きを置きたいのか、仮想現実の描写に重きを置きたいのか、恋愛に重きを置きたいのか、主人公と両親の関係に重きを置きたいのか、人の優しさに重きを置きたいのか、のバランスがチグハグな印象を受けた。
ただ、本作品のテーマの芯が分からずとも、その美しいグラフィックと音響を体感すると、そのチグハグさなどどうでもよくて、むしろハッキリさせないことで余韻を持たせているのではないか、と考えさせられる作品であった。
何にせよ、観るなら映画館で観て欲しい作品。
自分は好きでした。
完璧とはいかないかもしれないし、ツッコミどころもあるとは思う。最後の雨の中での一連のやり取りはあまり入ってこなかったけど、大勢が0.5とか1をつけるほど駄作かというとそんなことないと自分は感じました。自分が納得できない点がすべて説明されてきれいに回収されることが良い映画なのかな…とコメントを見ていて考えさせられました。
なによりもすずがオリジンで歌うところなんて歌声や映像の壮大さ・大団円の雰囲気に気持ちがあたたかくなりました。
良作
レビューに酷評が目立ったので投稿します。
細田監督の作品をずっとみさせて頂いてきましたが、その中でも今回の作品はかなり満足度高いです。監督の代表作の1つになるのではないでしょうか。
脚本に対する数々の指摘については(最終局面で主人公が東京に助けにいく流れ等)、しっかり描いたら細かい描写で逆に冗長になってしまうリスクがあると思いました。
主人公の成長物語の中で、彼女をとりまく人たちの思いも含め感動しました。
同級生、父親、(合唱団のおば様方)との関係性については、ずっと彼女のことを見守っていた気持ちが想像できれば、十分伝わってきますし腹落ちします。
龍を助けにいくシーンも、今までのバーチャルからリアルの世界で、主人公単独で助けに行くことで十分。プロセスは気にならないです。
総じて
素晴らしい映画だと思います。
監督、制作スタッフの方々ありがとうございました。
物語をちゃんと作ってほしい
私にとっての細田作品は「時かけ」がベスト。
「サマーウォーズ」と「おおかみこども」はまあまあ。
その他はイマイチ…という印象。
前作辺りから極端なアンチもいる様なので、ひとまず観てこれを書き終わるまでは他の方のレビューは見ない。
日曜日の客席は久しぶりに中高生や若いカップルで溢れていて、映画館の盛り上がりが帰って来た感じがあって嬉しかった。
で、内容。
歌と映像は魅力的で印象に残る。
映画館を出てもホントに繰り返し頭の中でリフレインされた。
冒頭の「U」世界の紹介からのベル登場なんかは細田色満載でゾクゾクさせられた。
ただ、ストーリーはどーなってんの?
挙げだしたらきりが無いけど、どのキャラクターにも共感できなかったし、無理スジの展開にはずっと眉を力ひそめて観てた。
そして最後。
超極薄情報を頼りに独りで東京へ向かう女子高生をあれだけ大人がいて誰も止めず(あのコーラスおばさん達も…結局なんなの?)、偶然竜の兄弟に出会うことができ、現れた父親が激昂して見知らぬ女のコに暴力をふるい、でも睨みつけられて親父は退散。
…んなバカな。
『美女と野獣』は当然あえて持ち込んだモチーフなんだろうけど、そもそもあの作品の「善悪」と「美醜」の価値観についてはいろいろ議論の余地もあることを踏まえると、この物語にそれほど食い合わせが良いとは思えないし。
U世界にはあれだけの登録者をそれぞれスキャニングしたアバターがいる中、明らかにベルの容姿が極端なほどに「美しく」描かれている。そしてそれは鈴が積極的に望んだことではない。さらには、竜を探すためには「オリジナルの姿を晒せ」。
そういうの、「マッチポンプ」というんじゃないの?
まあいろんな理屈が付くのかも知れないけど、それ、どーなん?
これに限らず、あの幼馴染の男前が登場からまったく「良いヤツ」じゃないのがずっと引っかかってた。
あと、芸能人が声優を務めるのは作品によっていろいろ言われてるけど、ディズニーなんかはかなり良い人選をすることが定着した中で、率直に言ってこのキャスティングは「ダメ」な部類に入る様に感じる。
全然スッキリしない作品だったけど、映像作品としては見どころも多いので★は3つ。
【追伸】
書いてから他の方のレビュー見たら自分が書いたのかと錯覚する様な意見が多くてビックリするやら安心するやら。
疑問点が多いよ…
・鈴母が女の子を助けに行く時、ライフジャケットをその子用に1個持ってけ。
1個しかなかったってなんてことある?
・女の子はライフジャケット着たら一人で川辺まで行けるんかい。
なら、鈴母がライフジャケット着てその子抱えていけたのでは?
・犬の足が片方ない説明は一切ないんかい。
・ジャスティンに何でアンベイル用のビーム授けられてんだよ。
・誰がDV父に動画を送ったんだよ。マジで誰だよ。
・ルカちゃんが鈴を恋愛相談の相手に選んだ理由は?
カミシンと鈴ちゃんそんなに仲良かったの?
・鈴は、いくらなんでもお父さんに冷たすぎでは?何があった?
・DV父は配信されてといて警戒心がなさすぎでは?子供2人が家から余裕で逃げられるセキュリティの低さよ。
美女と野獣はミスリード?
上映二日目に映画館で視聴してきました。
CMや、宣伝、ポスターに至るまで押される美女と野獣。視聴後の感想としましては美女と野獣的ボーイミーツガールよりトラウマや重要感に焦点が当てられているように感じました。
細田監督前作、前々作の酷評で相当ダメージ受けたんでしょうね…。
題材での重要感につきましては。
序盤に出てくるYahoo!ニュースのコメント欄並みの母に対する酷評で人と違うことを言う自分カッコいいと言う自己の重要感。Uの治安維持を行う重要感。竜として疑われる人の背景を詮索し自分を優秀だと示す重要感。竜の知り合いだと嘘をつき事情通だと示す重要感。スクールカーストの弱者側にいないことを示す重要感。主人公やキッズの多数派に嫌われている存在を救いたいと思う重要感。
その身勝手な重要感の先にいる他人の気持ちを本当に理解していますか?と投げかけられる序盤と中盤。
終盤、主人公は周囲の人の力添えにより他人と自己の重要感に見切りをつけ、トラウマを克服し人間として成長します。
両作品の対比としまして、美女と野獣のベルは元々人を見た目で判断せずその公平さと聡明さにより人を救済します。竜そばのベルは成長しトラウマを乗り越え救いを求める他者と自己を救済します。
タイトルの竜は登場人物の名ではなく、作中の要素の連想(母→川で水死→寄り神→クジラ→水神→竜)から川で亡くなった母である寄り神であることが予想されます。つまり、本作のテーマは母と主人公の確執であるトラウマ(苦)であります。ベルが歌う際に現れる音響クジラ(鯨鐘)ややけに推されているカツオのたたき(鯨付き)もこれに関する要素であります。
両作品に演出や登場人物など類似点はありましたが、ストーリーとしてはミスリードを誘う要素でした。
没入感を誘う演出や音楽を体感するためにも暗闇で大画面、大音量の映画館で視聴することをお勧めさせていただきます。
現実と仮想世界のギャップを埋めるべくをキャラクター達が駆け抜ける!
仮想世界を通じて自分と向き合い人と接することで成長する物語。
主人公視点で物語は進んでいく。
…こう言うとシンプルだが、個人的には以下の点が優れていると感じた。
①異なるアニメーションで描く「現実世界」と「仮想世界」とのコントラスト
ストーリーには物理的な制限(都会と田舎距離、障害(ワンコの足))、人間関係のしがらみ(親子、友人、社会的な役割)、数多のルール(法律、条例等)に縛られる閉塞感のある現実世界と現実世界の様々な要因から生まれる閉塞感のギャップを匿名アカウントAsによって解消できる仮想世界が存在する。
単調で色彩の鮮やかさに欠ける「現実」と新鮮さ・解放感からくる色鮮やかな「仮想世界」の使い分けが秀逸だった。
②「抑圧」している、されている自分との対峙する各キャラクターの描き方
主人公は母親の事故(本編中では多くは語られないー正確には主人公は語ることが「できない」のであろう(「なぜあの子を助けようとしたの?」と言うセリフ))
をきっかけに母親を想起するもの(父親・歌等)とは半ば無意識に距離をおく主人公が描かれている。
一方、「竜」は「怒り」だけで暴力を振るっているわけではなく、対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」に苦しんでいた。
この各キャラクターの「抑圧された」心情(悲しみと怒り(「なぜ?」という気持ち)が混在した微妙で難しい感情)やをしっかり形にしているところが素晴らしかった。
③仮想世界を用いて描かれる「自己実現の形の変化」と「アウトプットの大切さ」ー「ベル」と「竜」
(自分が本当に好きなものに気づくこと)+(好きなもので認められること)ことは現代において、多くの人が求めているものであろう。現代における自己実現の形を「ベル」を通じて鮮やかに描かれていてよかった。
対照に父親からの「暴力・存在否定」と世間からの「孤立感」による苦悩をうまく伝えられない「竜」の存在((仮想世界での抑圧されている感情の発散(暴力))+(上手く感情を伝えられないこと)から仮想空間(ネット世界)においても現実世界と同様にアウトプットの仕方が大切であることが丁寧に描かれていてよかった。
④批判、追跡することの意味ー仮想世界での根拠のない否定的な言葉の力はどこまであるのか?
物語で要所要所で出てくる不特定多数からの誹謗中傷の描かれ方が非常にリアルだった。見ていて思わずムッとなるくらいだった。
ただ、自己実現の形が徐々に変化している現代においてこの誹謗中傷はどうしても出てくるものであるし、また一方で正当な手段で自己実現をした人にとって、根拠のない誹謗抽象は何の意味も効力も持たないことを俯瞰的に表現しているのが秀逸で面白かった。
また、途中で警察を自称するキャラがでてくるが、「匿名の解除」を脅しに私的制裁を加える正義のあり方に、やたらと同調圧力を強制するメディアや掲示板のコメント欄と似たような物を感じた。確かにネット上では具体的な法律や違反した場合の罰則がない。悪いことをしないのはもちろんだが、「正義のようなもの」を振りかざし私的制裁をする一個人やメディアには問題はないのだろうか。こういった問題をしれっと描いているところがまた秀逸だった。
⑤自身と他人を受け入れ自己開示、Unveilする勇気
「竜」をもっと知り、そして危機から助けるため、「色鮮やか」な仮想世界の中で自ら本当の自分をUnveilした主人公の描写に感動した。アニメ描写が異なっている点もこだわりを感じた。他者を知り受け入れること、他人の世界に踏み込むことの難しさに対して、仮想空間での権利とも言える「匿名性」を捨ててまで立ち向かう主人公の姿に「勇気」、「誠実」、「愛」を感じた。このときの観客の反応もまた興味深く考えさせられた。ライブ後、仮想世界と現実世界のギャップを埋めに敢えて直接会いにいく描写も良かった。父親からのチャットのシーンからあの母親あっての主人公なのだな、と感じた。
主人公と「ベル」はこのときに初めて一体化し、ラストには現実世界で友人知人と歌えるようになっている姿にまた感動した。
以上である。
及第点としては、主人公が竜に固執するきっかけが薄いように感じたため、ベルと竜の遭遇シーンは別のやり方のほうがいいように感じた。
(事件後に遭遇、手当する→間近で増えていく傷を見る等)
全体的に主要人物の描写が丁寧に描かれており、非常に見応えがある作品になっていた。
また、ミュージカル風になっており、曲調もよく、歌詞もダイレクトに伝わるもので素晴らしい。
改めて次回作が楽しみである。
映像や演出、音楽は最高!
他のレビューでもある通りストーリーはイマイチ。
話の流れが飛び飛びだし、繋がりがわかりづらい。
Uといういわゆるインターネット上の世界だと絶大な影響力を発揮していたり、壮大だったりしているのに、リアルでは女子学生等身大の物語。
リアルの姿をUで見せる場面になった時の親友の発言が少し悲しくなった。親友なのにダメダメな主人公が変わろうとしているところにブレーキをかけさせようとする発言など、あまり信頼というか信用されてない。親友なら発破をかけるくらいで丁度いいんじゃないだろうか。
ベルとして大成した結果をそう言う能力があなたにはあったんだ、的なこと言っていたような?
最後の2人のお父さんに立ち向かう姿はUの中での器を垣間見せたけど、当たり前といえば当たり前。ネット上とはいえあれだけの人数の視線などを受け止め切れる器がある子が自分の子供に怒り散らしている小さい大人に胆力で負けるはずがない。
震えてるだとか、言ってる作中の視聴者もいたけど、歌は震えてるようには聞こえなかった。少しずつ迫力を増していった印象。
リアルと仮想の違いを表現したかったのかもしれないけど、Uの中での壮大なライブの後だとリアルのしょぼさが浮き彫りになってしまっていて、拍子抜けしてしまったところが残念。Uの中での歌で感動させたまま終わって欲しかった。
ここ数年で稀に見るレベルの駄作
あまりに投げやりな出来に監督は本当は作りたくないものを無理矢理作らされてるのではないかと思うほどでした。
だめだと思う点はいくつもありますが、一番は観客に対して不誠実なところだと思います。
設定を観客に開示しない不誠実さ。
Uの世界に入っている間、本来の肉体がどのような状態になっているのか、決して見せません。偶然見えないのではなく、クライマックスのみんなが集まって歌うシーンなどで明らかに意識的に主人公の現実の姿を見せていません。これは不誠実だと思います。
プレイヤーキルによって現実の肉体がどうなるのかも観客に見せなければ、竜がどれほど悪いことをしていて、あれほど嫌われているのか観客には伝わりません。
そもそもUが何を目的にしたツールで、あれが出会い系なのかゲームなのか、何なのかも不明。主人公たち以外のアバターはウヨウヨ中を彷徨ってるだけでUの中で何かをしている様子も描かれない。
主人公が何を思って、竜に近づいたのか分からないなどのストーリーで「ん?」と思うようなことも多々ありましたが、私が一番不満に感じたのが、この、Uに関する設定を開示せずになんとなくストーリーを進める不誠実さです。
「現実は変えられないけど、Uでは変えられる」的なことを繰り返し言ってましたけど、それなら、ユーザーの外見とか素質を元にアバターを作成するのもおかしな話だと思います。一から自分の好きなように作成できなきゃおかしい。主人公は運良く(?)人型のアバターを引き当てられましたけど、人型ではない虫やなんだか分からない珍奇な格好のアバターもいたことを見ると、結局は生まれ持っての本人の努力とは関わりない部分の素質が全てという主張にもなり得ると思います。
ここは致命的にストーリーと設定が矛盾している点に思えます。
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