「細田守監督作品は大好きです。だからこその評価。」竜とそばかすの姫 鬼天竺鼠さんの映画レビュー(感想・評価)
細田守監督作品は大好きです。だからこその評価。
※滅茶苦茶ネタバレを含みます!
と言うか内容に滅茶苦茶言及しているので見る前はこのレビューを見ることはお勧めしません
あと批判コメ注意!
まずストーリーもキャラ設定もあまりにもとっ散らかりすぎてる様に感じました。と言うかツッコミどころ多すぎる。
まず第一に主人公の友達のヒロカちゃんはサマーウォーズでの佐久間ポジなのは分かりますが、過程も何もかもすっ飛ばしていつの間にか主人公ベルを歌姫に仕立て上げ終わっていて、セリフで説明させる始末。その時点で視聴者としてはいきなり置いてけぼり食らった気分で既に集中が切れてしまいました。
一応説明がましく主人公にいきなり「貴方が売れたのは何でかわかる?」と問いかけ、無理やり主人公との会話で説明を済ませてしまう始末。
と言うかそもそも何でわざわざ仮想世界でバズらせる事で歌えなくなったコンプレックスを改善させようとするのか。荒療治が過ぎる。
そもそもいきなりバズった理由をわざとらしくセリフで説明した割には主人公当人のコンプレックスについては行間を読めとばかりに同級生から虐められるシーンを挿入。このシーン自体もリアリティに欠けるものでした。
そして母親の死ぬシーンも母親が見ず知らずの子供を助けるために氾濫した川に飛び込む際、救命胴衣のみ着用し、ロープもなにも使わず飛び込むのも本当に大人の判断か?と言う疑問が浮かぶし、何でほかの大人がたくさんいたにも関わらず誰も止める素振りを見せないのか。
そして主人公は母親が飛び込む場面を見ていたのに溺れている所を見ていないかのように首を振って母親を探し始める。これも飛び込む時に周りの大人が主人公の目を塞ぐとかしていれば納得が行くけど、そんな描写は無い。
母親との思い出の回想シーンについても、主人公と一緒に歌ったり作曲している事で、主人公が歌うのは本当は大好きで、そのルーツは母親にある事が判明するシーンなんだけど、そもそも年端の行かない子供と一緒に作曲している事から音楽関係者なのは何となく分かるが、そもそも情報が少なすぎて感情移入出来ない。
この母親についてわかることと言えば、見ず知らずの子供を助ける為に増水して氾濫した川に飛び込むほどの正義感を持つ反面自分の娘を置いていく程無責任な性格で、音楽好きって事以外が全く見えてこない。
強いて言うなら恐らく、音楽に興味を示した娘を後ほど登場する合唱サークルに参加させていた事くらいは想像できるが、そもそもそんな回想シーンも無いため見てる最中に気付くのも時間がかかる。と言うかこの確信得るためにラストシーンにまたまたわざとらしく映る生前の母親と小さい頃の主人公と合唱サークルの皆さんの集合写真を見てやっと察せるくらい。
むしろそれを映すことでモヤモヤを残させないための良心なんでしょうけれど。
そして合唱サークルの皆さんについてもツッコミたいところだらけだけど、ひとつだけ。
なんでラストのとこ、主人公ひとり向かわせたの?途中まで車で送る良心を持ち合わせながら相手は見ず知らずのDV親父だよ?そんで結局本人顔怪我してるし。
「あの子の決めた事だから」みたいなセリフでエモさを演出しようとしたんだろうけど、いや無理ですよ?この世界の大人は皆どこまで無責任なんですか?
そして、カミシンとルカの茶番は何?取り敢えずルカが中盤で言われてたような性悪女じゃない事は分かったけど、主人公がルカにチャットで「好きな人いるんだけど協力して欲しい」と言われてそれがシノブのことだと誤解して「そうだよね。ルカちゃんの方がシノブくんとお似合いだよね。うわーん」みたいにボロボロ流した涙は何だったの?
あとカミシンはもっとしっかりしろ。
あとラストで1番納得出来ないのはお前どっちが好きなん?竜としのぶくんどっちが好きなんかはっきりさせんかい。
これも合唱サークルの1番しっかりしてそうなおばはんの昔話が伏線になって竜とは結ばれんのは分かるけどそれ結局メタ的な話で主人公の感情の揺れ動きが全く見えなくてなんかモヤモヤする。
そして話の流れが前後に行ったり来たりして申し訳ないけど、主人公がアンベールして歌うシーン。
そういやぺギースーおったな!?お前捨てキャラだと思ってたわ!てか顔晒した程度でなんでそんなに手のひら返せるんよ。「私と一緒で普通の女の子やん」の一言だけで納得出来るかい。
もうツッコミ所多すぎて大衆が感動してるのにもついていけなかった。
なんかこう、いっそ実は私の勘違いで細田守監督じゃ無くて別の人の作品であってくれとまで思ったけど、思い出したかのように入道雲シーン入ってきて落胆してしまった。
とまあ、めちゃくちゃ批判したものの、やっぱり作画やキャラクターデザインはちゃんと細田守監督って感じでしっかりしてたし、歌もエモかった。
今作みたいになったのは2時間の尺に対して要素や事件や、テーマが明らかに多すぎて何したかったのかよく分からないことになってた。
要素が多すぎると言ってもそれぞれ単品で見ると細田守監督らしい物だし、もっと深堀り出来ればもっと面白かったかも知れないです。
おそらく主題はネット社会の匿名性に対するアンチテーゼなのかなと思ったけど、登場人物減らしてでもこれを深掘りして欲しかった。
>あとラストで1番納得出来ないのはお前どっちが好きなん?竜としのぶくんどっちが好きなんかはっきりさせんかい。
鈴自身、「同情」と「恋愛」の区別が付いてない所が、この映画の面白い所かと。