「説明とか伏線回収とか"分かり易さ"を求める観客の多さよ。」竜とそばかすの姫 だいちさんの映画レビュー(感想・評価)
説明とか伏線回収とか"分かり易さ"を求める観客の多さよ。
最近、説明過多の「甘やかし作品」が多いからなんだろうけど、説明のない箇所を欠点としてレビュー・批評している人が多すぎて、残念。
物語の本筋はきちんと分かりやすく描いてるし、そしてテンポが素晴らしい。終始引き込んで離さず勢いのまま駆け抜ける。これこそ細田監督の真骨頂。と思う。
セリフやナレーションで意味を説明せず、繊細な表情から心情の機微を読み解いたり、片足を失う犬を飼っているシーンも弱ったものをほっとけない鈴(母?)の性格がそこで垣間見えたり(←あくまで個人の主観)、観る度新たに感じる各キャラクターの心情が、また観たいわくわくに繋がっていく。
特に、表情の繊細さでは、殴ろうとするDV父に立ちはだかる鈴の目と口。残念なものを見る諦めの目でありながら信念を持った目でもあり、そして、食いしばることのない口が恐怖を感じていないことを表していて、おそらく亡くなった妻が子を守るときにこういった表情で見据えていて、それを彷彿とさせたことでDV父は腰を落としたと読み取れる。
理解できないことは作品のせいにせず、分からないなら想像したら良いし、何度も観ればいいと思う。
原作小説がある作品なのだから、2時間にまとめつつ、そちらにも忠実でなければいけない。想像で補う部分が多いのは当然。
むしろ想像こそが本来、物語を観る楽しみであるはず。
SNSで"わかってない"感想が可視化されたから
一層説明の多い作品が増えているのだろうけど
観客の幼稚化を助長する作品が増えず
わかる人だけわかればいい、と、クリストファーノーランくらい、観る人をバタバタ置いて、振り払っていき、想像力を育む難解作品が増えることを願う。
分かりやすい=面白い、ではない。
分からない=星の数にしないでほしい。
自分にとって"気持ちよい事が正しい"と信じて止まない人達が、自己批判しない限り、今後、貴殿の仰ることは加速していくでしょうね...
ほんとに絶望的です(泣)