「細田守はちゃんとした脚本家と組むべき」竜とそばかすの姫 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)
細田守はちゃんとした脚本家と組むべき
Amazonレンタルで鑑賞。
チラチラ噂には聞いていたけど、うーん…という感じ。
ベル役の内藤鈴の歌声とアニメ―ションのシンクロなど、アニメーション自体は素晴らしいと思うけど、母親と鈴、ベルと竜、恵と鈴、鈴と父親、鈴としのぶ、それぞれのエピソードの繋ぎが乱暴で、結果物語が散らかっているように見えた。
また、自身の身体的特徴がアバターに反映されるという「U」のシステムは明らかに無理があるし(そもそも鈴のそばかすや竜の痣などはコンプレックスの部分だしね)、だとしたらあの世界にいる雑魚キャラっぽい連中は一体現実の何が反映されてあのアバターなのかって話だし。
そういう飲み込みずらさが随所にみられるよね。
特に、多くの人が指摘するようにクライマックス、鈴が一人で暴力オヤジに虐待されてる恵たちに会いに行くのを、父親を含めた周りの大人の誰も止めない。一緒に行くでもないという展開は最早、「フィクションだから」では済まされないずさんさで呆れた。
例えば、これまで父親に頼らなかった鈴が、恵の所に連れて行って欲しいと頼んで一緒に行くとか、コーラス部のおばさんに連絡を貰った父親が駅で待ってて一緒に行くとか、いくらでもやりようはあったハズ。
細田監督的には、ドラマチックに盛り上げたつもりかもだけど、流石にあの展開はあまりにも無責任すぎるし、そこで母親のエピソードと繋げるのも乱暴すぎると思う。
細田守監督がアニメーターとして日本のトップランナーなのは誰もが認めるところで、なのにこんなにも賛否が分かれるのはやはりストーリーテリングやその後ろに見え隠れする時代遅れの感性に問題があるのだから、今後はちゃんとした脚本家と組んで、自身はアニメーションに専念したほうがいいと思う。