劇場公開日 2021年7月16日

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「傑作だとは思うが私は気に食わない」竜とそばかすの姫 笹本さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5傑作だとは思うが私は気に食わない

2021年9月9日
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演出が本当に素晴らしかったです。現存するアニメ映画で最高峰と言っていい、圧巻のモノだと思います。美しい音楽と映像は勿論、台詞回し、カメラワーク、場面転換。広い意味で「演出」と呼べるものは全てが考え尽くされており、観客に伝えたいであろう情報が、本当に効率良く伝わってきました。所々で描写不足を感じることも無くはなかったですが、それは単純な作品の面白さだったりテンポの良さだったり主題を際立たせる為だったり、何かしらのメリットとデメリットを取捨選択した結果であると分かります。 そこだけとっても、紛れもない傑作だと断言できます。

そんな傑作の、何が気に食わないかと言いますと、テーマです。この作品では、苦境に立たされた者に手を伸ばすことの素晴らしさを一貫して描いています。例え望まれていなくても、例え助けられなかったとしても、人が人を救わんとすることは素晴らしいと。

これが私と合いませんでした。「私は」そうは思いません。助けを求めてもいない人は助けられないし、助けられない人全員を救おうとして生きていくことは不可能と、「私は」そう思います。はい、個人の意見です。この映画の価値が下がる意見ではありません。ただ、もし同じ考えの方がいたら、この映画は楽しめないのではないかと思います。

笹本