「詰め込め過ぎてまとまりがなく、釈然としない作品」竜とそばかすの姫 ラビさんの映画レビュー(感想・評価)
詰め込め過ぎてまとまりがなく、釈然としない作品
全体的にストーリーが散らかっていて、ワンアイディアを集めて無理やり繋げたようなまとまりのない作品に感じました。
中村佳穂さんの歌は感動しましたし、映像は綺麗でしたので、★1にしました。
こうすれば泣くでしょ。的な持っていきかたや、ネット社会が普及している現代の人間関係への社会風刺、美女と野獣のオマージュなどメッセージ性を持たせたい意図が透けてしまって、だいぶ序盤で冷めました。
その他に気になったのは・・・
主人公と父の関係はなぜここまでこじれているのか(母の死には直接関係ないのに)。
友人のススメで「U」をはじめて、1回歌っただけで全世界でバズる。しかも数日で。
母の死がきっかけで歌うことが出来なくなったのだろうが、きっかけもなく急に歌えるようになる。
主人公は引っ込み思案でクラスの端っこにいるキャラかと思えば、中央的な女の子(陽キャラ)と1対1で和気あいあいと話すシーンがあったりして、立ち位置が不安定。
忍の立ち位置がよくわからない。彼が実は「竜」だったのなら、まだまとまりがあった。
もしくは、父が「竜」なら、また違う落としどころがあったのではないか。
DVをしているであろう他人の親へ東京→大阪を、女子高生一人で向かわせてしまう周囲の大人や友人たち。
女子高生がDV親を睨みつけただけで尻もちをつき、逃げてしまう。
そして、虐待問題は解決していない。
音楽は良いのに、フェードインフェードアウトがシーンに合っていない。
曲が入ってきた瞬間、何回かズッコけそうになりました。
素顔を晒して聴衆が泣くシーンは、アノ曲ではなかない。「歌よ」だと思う。
そもそもタイトルが「竜とそばかすの姫」ではない。主人公・鈴の物語なので、例えば「鈴-ベル-」とか。
幾田りらちゃんは本業声優かと思うくらい上手かったですが、それ以外のタレントはキャラと乖離しており微妙でした。
よって、ジャスティン役の森川さんだけ際立っていました。
「サマーウォーズ」が好きだっただけに、それ以来の感動が味わえるかと期待していましたが、残念でした。
もっとシンプルでストレートな細田作品を期待しています。