「宮崎駿氏の後継者には成れず…それが哀しかった。」竜とそばかすの姫 Ayase shinichiさんの映画レビュー(感想・評価)
宮崎駿氏の後継者には成れず…それが哀しかった。
賞賛されている歌と映像であるが、この2点を褒められるのは脚本家としては屈辱に値する。特に歌については、映画とはまったく関係ない。これは芸人のリズムネタのようなもので一発の効果は絶大だが、来年には飽きられている。リズムネタ芸人が消えるのはその為である。(アナ雪しかり、歌は飽きたら苦痛になる)
映画でもっとも大切なのは噛み締めるほど味の出る脚本だ。細田氏はかつてヒットした『時かけ』『サマウォ』を手掛けた脚本家を起用せずに、自身が脚本を担当するという手法を繰り返し続けている。『ばけもの』『未来のミライ』のように失敗しているにも関わらずだ。それはやはり宮崎駿氏を超えたい/宮崎駿以上の存在になりたいという願望がそうさせているのであろう。であるから、脚本で失敗をしているという事実を認めるわけにはいかない。
なぜなら脚本家を採用して、ヒットさせたとしても、それは自身の功績ではなく敗北(宮崎駿に及ばないこと)を意味するからだ。だからこそ細田氏は脚本家を採用するわけにはいかない。なんとしても宮崎駿と同じ手法、同じ土俵で打ち負かさなければ意味がない。そうでなければ自身のアイデンティティを肯定することができないのだ。
(※細田氏はジブリ時代に『ハウルの城』をめぐって宮崎駿氏との間に確執がある)
よって、今後も細田監督が脚本家を採用する可能性は低いが、もしも優れた脚本家を採用することができれば、そのときはかつてのような(『時かけ』『サマウォ』)輝きを取り戻せるかもしれない。
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