「音楽と映像美以外には評価できない…ストーリー最悪…」竜とそばかすの姫 isayama218さんの映画レビュー(感想・評価)
音楽と映像美以外には評価できない…ストーリー最悪…
滅茶苦茶なストーリーのせいで途中で映画館抜けたいと思ってしまった…
数点ほど大きく分けて説明したい。
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1. ディズニーのオマージュのせいか? 竜とすずの関係が違和感しかない。
美女と野獣をオマージュしたのは良いが、
今回の細田さんはディズニーに影響され過ぎじゃない?って思った。
そういえば以前は確か、ジブリに影響された時期があったな…
竜と愛している訳でもないのに
途中までの雰囲気はすずが竜を愛してるような雰囲気を出してるし、
そもそも竜を知ってから彼にこだわり始める「すず」の姿が納得いかなかった。
最後は竜と何もないのか?!ってところでショック…
2. 竜だけがどうしてそこまで話題になるのか?
竜が悪者にされてるところも説得力足りないし、
竜の行動よりヤバい本物の犯罪者もUの世界にいっぱいいると思うが、
どうして竜だけ話題になっているのか?
竜が現実で虐待されてる状況は分かるが、
その環境と彼の心の影響で竜自体が強いという設定は良いとして
別に竜の状況は世界で一番酷い訳でもない。
紛争地域で不幸になっている人もいれば、
軍事独裁国家で不幸な人生を過ごしている人、
貧困と犯罪の毎日に晒されている人生だってある。
そういった人がUの世界に、少なくとも10人や100人はいるんだろうが、
どうして竜だけが最強の犯罪者扱いで話題になるのかが不思議…
関係もないスポーツ選手やアーティストまで被害を受けるまで
話題になるのっておかしくない?って思った。
p.s. そもそも竜だけが立派な城を持っていたり、
自分に従っているAI?人?もいる点、色々おかしくないか?
3.Uの世界のシステムが謎…
Uという世界がどういうシステムで回ってるか分からないが、
私たちが良く使うネットのサイトやホームページ、オンラインゲームなど
管理する側が実際にいてサーバーを定期的に管理している。
利用者の情報を守ったり、サーバーが円滑に回れるように管理したり、
ハッキングされないように管理したり、
PCウィルスや法律違反しているものがあるかどうか…
全世界が使うUという巨大な仮想世界である以上、
全世界のハッカーに狙われる可能性も多いし、
悪用される可能性も非常に多い。
犯罪を犯すための連絡手段として使われる可能性だってあるし、
ハッカーによって個人情報が盗まれる、
もしくはアクセスしている住所もバレるかも知れない。
そんな極めてハイリスクなところを国が放置しているとは思えないし、
警察だってサイバー犯罪を対策している。
なのに、警察を気取っているジャスティンという悪党はいるし、
そもそもその悪党のやってることが個人情報漏えいに繋がるから
明らかな犯罪行為を行っている。
それを警察が見逃しているのか?
そのジャスティンが現実で警察の偉い人か?
だとしても世界が絡んでいるからFBIなども絡んでくるから
厄介なことになるだろうし、どういった仕組みなのか滅茶苦茶すぎる…
それと、最初は「ソードアートオンライン」のように
ナーヴギアに近いシステムだと思ったが、どういうシステムなの?(笑)
すずが現実で何か行動をしながら、それと同時にUの世界でも活動できるなんて、
この世界の人間は「ガンダムSEED」の
コーディネーター並みの進化した人類の能力を持っているのかな?
後半の竜を探すシーンで
現実とUの世界で同時に何かをやってる描写があって、
どういう仕組みでUの世界にアクセスしているのか理解に苦しむよ…
ARやVRみたいな世界だとしても、
歌う行為は生の声で歌う必要があるし、
たとえ技術が発展してオーバーテクノロジーだとしても、
人間の意識は同時に2つを完璧に遂行することは出来ない。
だからシステム自体が謎過ぎた…
4. キャラが立体的に見えない
キャラが立体的に見えれば、その分キャラに共感して集中できるが、
どのキャラも担当した役割以上のものが無い。
正直、カミシンとルカちゃんがいなくてもストーリーでそこまで問題がない。
しのぶくんも微妙な役割だし、この役割、このセリフを言うためにだけ出演させた感じ…
序盤ですずと忍くんが手を繋いだことで炎上になるシーンも
タイミング的に色々おかしいし、そこまで炎上になるのも違和感あるし、
周りの生徒たちを炎上にするための装置としてしか考えていない。
カミシンとルカちゃんの出番も全て茶番にしか見えないし…
しのぶくんの幼馴染設定は良いとして、
重要な活躍と言えるほどの役割は何一つ無かった気がする。
竜の父もすずが二人を守ろうと必死になったところで、
何を思って暴力振るうのを止めたのか、
そしてたかがガキ一人にビビるのはおかしくないか?
と納得がいかない展開だ。
子供を虐待する大人が他人のガキを殴ることに躊躇するのもおかしいし、
だと言ってすずが怖い印象でも力が強い訳でもない。
他人のガキに手出したのが怖かったという設定なら、
そもそも顔に傷を付けた時点でビビるはず。
茶番にしか見えなかった展開…
5. 重いテーマを軽く終わらせた。というか、解決させたように見せかけている。
親の虐待問題。決して軽いテーマではない。
アニメや漫画など色々見てるから比較されてしまうが、
「ぼくだけがいない街」という作品では
虐待に対してもっとリアリティもあって重く描かれている。
あの作品が葛藤や虐待による苦しみ、事態の深刻さがより伝わってきた。
なのに、この作品は色々とおかしい。
何の力もない女子高生のすずだけが
虐待を止めに直接東京まで行くのはマジで頭がおかしい…
虐待をしている親は危険な大人だし、何されるか分からない。
場合によっては滅茶苦茶殴られて入院か、
最悪の場合殺されるかもしれない。
そんなところを、すずの友達と合唱隊の大人たちは
すずを一人で行かせるのか?!って思った。
そしてすずの父も正気か?!
合唱隊のおばさんたちから事情を聞いたようだが、
ちゃんとした親が危険な状況を放置するのか?!
父とすずがSMSもしくはラインなどでやり取りするところが出るが、
感動も何もない。狂った親としか思えないシーンだった。
あと、すずが解決したのは何もない。
竜に勇気をあげただけで、根本的な問題は何一つ解決されていない。
なのに東京から帰ってきたすずが
「苦労したけどやったぜ!」的なノリで皆と話す状況があり得ないと思った。
竜はその後どうなったのか、
どう解決したのかを見せてから作品を終わらせるべきだろうに、
そこは観客の想像に任せるのかよ?!
「こんなふざけたストーリーで、よく企画が通ったな…!」って思ってしまった。
それなら虐待のように複雑な問題を取り扱うのではなく、
より簡単に解決できる問題に設定した方が良かったよ…
決して軽く見る問題ではない。
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ここまで見ると、私の中では正直最悪の作品だった。
ただ驚いたのはライブシーンの演出と音楽、そしてCGモデルだった。
ライブの演出パフォーマンスは映画館で見た影響もあるのか、
本物のライブが目の前で繰り広げられているような、
圧倒した迫力と舞台演出だった。
そして曲自体も凄かったし、歌手の実力も半端ない。
正に感動そのものだった。
そして日本のCGモデル技術に感動した。
ディズニー寄りのCGモデルではあったが、
それでも日本アニメ風の印象も残っていたし、
違和感が全然ないモデルだった。
普通に魅力あるキャラで可愛いと思ったので、
CG技術の可能性を感じた。
そしてアニメーションの動きもかなり丁寧で自然な動きになっていた。
作画アニメにかなり近い雰囲気を出していたので、凄い感動した。
長文になってしまったが、
総評価すると「1点」だ。
演出・音楽・CG技術が無かったら
0.5点になるところだったが、
あの3点が非常に良かったので一応1点にした。
キャラとストーリーは本当に最悪で、
色々残念な作品だった。
演出と音楽だけが記憶に残るという点で考えると、
個人的には、まるで「ギルティクラウン」というアニメのような印象だった。