「うーん……」竜とそばかすの姫 岡部 竜弥さんの映画レビュー(感想・評価)
うーん……
「おー!!おー、おー……、んー? んー……、あーあーあー……おー!! これこれ! あー、あ? おーーー!!! しくしく え? ん? え? は?、んー…… うん。」
本作を見た日ならわかると思います。こんな感じでした。
細田守の特徴として、二つの世界感を並列して描写しその2つがリアルタイムもしくはドキュメンタリックに一方がもう一方を肯定・鼓舞するストーリーというものがあげられると思います。
その2つの世界観のどちらかもしくは両方のデフォルメ(おとぎ話化と言ってもいいのかも知れません)の程度によって賛否を巻き起こしているイメージです。
今回の作品もそれに漏れず、「U」という近未来のネット世界と若い時に母を亡くした少女の日常が並列に語られます。
まず特筆すべきは「U」という世界のヴィジュアル的な作り込み。代表作のサマーウォーズやバケモノの子でもそうですが、1目みてワクワクするような世界のヴィジュアルは見事。
キャストもよく、主人公スズを演じる中村佳穂とその友達ヒロを演じる幾田りらの好演は素晴らしかったです。特に中村佳穂さんの歌声はそれ1本でこの物語を飲み込んでしまいかねないほどのパワーを持っていました。
ただ、肝心のストーリーに関しては「うーん」な出来でした。
細田守がその部分に興味が無いのか、仮想世界「U」の現実世界との関係性やその立ち位置の描写が浅いため、
「U」が現実世界に影響を与える説得力が弱くなってしまっていました。
「U」の描写がぶつ切りでドキュメンタリー感も薄いため、スズの成長も飛び飛びになっているような感じがしました。困難解決のための山場と、実際に解決する瞬間に結構な間があるのもその原因でしょう。
そもそも主人公であるスズが持っていた問題とこの作品のストーリが表現したい問題があまり噛み合ってないので、物語的な問題が解決してもトータルした作品とした着地点が伝わりずらいというのもあります。
つまり、冒頭でも言った二つの世界間の描写がが噛み合っていないのです。
それに伴った物語的な決着でも同じです。
正直ガッカリでした……
そして自分がいちばん許せなかったこと。
それは終盤のスズがDVをする父親に立ち向かうあのシーンでスズのそばかすを分かり辛いないように描いていたことです。
あそこはそのままのスズでたっていて欲しかった。
物語後半のカミシンとルカの会話シーンみたいなのをずっと見ていたかった……