「現代は冷ややかな時代に見えるが、そうではない。」竜とそばかすの姫 Ya Giさんの映画レビュー(感想・評価)
現代は冷ややかな時代に見えるが、そうではない。
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本作を現代の冷ややかなネットの声に対する風刺だと言う人もいるだろうが、私はそうではないと感じた。Uの住人達と歌った際、ネットの世界の声はペギースーが代弁していた。鈴の本気の行動と気持ちを伝える歌によって冷ややかな世界は変わり、鈴を応援するあたたかな心を全ての人が持つ世界となったのだ。
また、本作にはフィクションとしては終わり方に無駄が多い。忍のキャラ、ジャスティスのオリジン、は描写のない謎のまま。飼っている犬の怪我や地元のおばちゃんの留学先での話も伏線としないのならば無駄だと言えよう。しかし、こうして完璧な物語にしないことで本作に現実味を持たせているのだ。映画の世界を私たちの住む現実の世界と繋げようとしているのだ。
この2つを踏まえると本作のメッセージは「現代という冷ややかな時代は変えることができる」ということだ。
そして、2つ目の際に挙げた関係のない全てのストーリーに関連することは「利害無く他を助ける慈愛の心」である。現実世界での登場人物の大半が、自己犠牲と共に見ず知らずの子を助けた母や鈴と同じく温かな心を持っている。つまり、この温かさを「この世界は冷ややかなんかではない」というメッセージの根底としているのだ。
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