「哀しいです、こんな薄っぺらなお話だなんて。」竜とそばかすの姫 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)
哀しいです、こんな薄っぺらなお話だなんて。
めちゃくちゃ楽しみにしてたのに、がっかりにもほどがあります。腹が立ってきます。
すごく綺麗で迫力のリッチな映像、先進のアニメーション。スタジオ地図さんの技術とクオリティは素晴らしいです。本作の設定を十二分に映像化できているのでは無いでしょうか?そして、本作の柱の一つである「歌」良いですね。ストーリー上重要な位置付けとなりますが、ドンと受けて立てる素晴らしい楽曲だったと思います。
しかしですね、「時をかける少女」「サマーウォーズ」など、大好きな過去作品が今もなお繰り返し観たくなるのは、綺麗な映像や音楽だから・・・では無いのです。あのどうしようもない切なさやカタルシスで僕の心がかき乱されるからです。そのストーリーや登場人物たちの心情に心動かされるからです。
映画ですから非現実です。そんなことありえんわ!です。でも、完全にファンタジーでなければ、展開自体は現実的であってほしいと思うのです。現実的な展開があるからこそ説得力あるストーリー、エピソードとなり、その積み重ねが大きな感動を生むって思うのです。こんなにも簡単に盛り上げるためのチープストーリーではアカンのです。前半はまだ良かった、、、後半が。いや、百歩譲って感動は二の次にしたとしても、ん?それは無理でしょ?現実世界でのその展開はないでしょ?って、、、、ラストに向けて
どんどん、どんどん、
どんどん、どんどん、
どんどん、どんどん、
気持ちが冷めていく僕がいました。クライマックスに関しては「はぁ?」です。非現実を現実世界に持ち込むなよ!と言いたい。無理なこと見せるな、だから冷めるんだよ、「意図的に」感動を作るな!って言いたいです。
ラストに関係する「そのテーマ」を扱うって、どれだけの覚悟で作っているのか?って言いたいです。泣かせるための題材だけで使うなよ。って。まぁ腹立ちましたわ。そんな簡単なものじゃねーぞ!って。ネタバレになるので書きませんが。あー腹立つ。
細田さん、集大成に拘りすぎじゃないですか?いろんなもの盛り込みすぎて、人物の描き方が浅くなってる気がします。特に「竜」。お話全体としては混ぜ合わせただけのセルフカバーかよ、って思えちゃいます。作品を通してのおっしゃりたいこと、なんとなくはわかった気がしてます。それがラストであり、劇中の「As」達の行動かなと。昨今のネット主体の世の中に対する細田さん自身のご意見なんじゃないかな?って僕は理解しました。ですが・・・ですが・・・それを語るにはあまりに展開がチープじゃないでしょうか?それは竜だけなの?・・・って。
比べてはいけないのは十分わかっていますが。「サマー〜」はネットがライフラインとなっており現実世界にクリティカルな影響を与えるからこその物語。故に、妙に「あるかも?感」と「繋がる」が生み出す奇跡の感動がありました。本作はどーなんだろ?すずの物語止まりでしかない、、、竜のとってつけ感がハンパない。薄いから。
物語自体、第一人者残念大会なのに、嫌ってほどの俳優の声出演。もう、やめてほしい。残念に拍車。どんだけキャッチーにしたら気がすむんでしょ?ちゃんと鍛えてる声優さん使ってよ、全然違いますよ!?
テレビ局と広告代理店がメインで絡むとこれだから嫌。
拝金主義アニメ。安っぽい主義主張と安易に生み出された物語に誰が心動かすよ?
細田さん、目を覚ましてくれないかな。心から願います。