劇場公開日 2021年7月16日

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「いろいろ酷評はされているが、良い作品。」竜とそばかすの姫 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いろいろ酷評はされているが、良い作品。

2021年7月16日
PCから投稿

今年80本目(合計144本目)。

原作は存在するようですが、見ていないです。ただ、前々からどの映画館でも推しだったようで、予告編など実に見たくなるような内容だったし、音楽と映像の融合などは前評判通りだったし、その点は高く評価できると思います。

一方で、多くの方が書かれている通り、多くのこと、つまり、「U」の描写が不十分(=SNSとみることも、youtubeのようなものとみることもできるし、DQ10のようなMMORPGとみることもできるし、複数の概念が混ざっている?)、主人公の出生に関係すること、女の子と男の子の恋愛のお話、さらに、今、社会問題となっている、あること(ネタバレなしなので、ぼかしています)などを色々詰め込んでしまったために、何度か見ないと理解するのは難しいのではないか…と思います。要は、「時間内に収めるために消化不良になった」というパターンです。
ただ、消化不良かなと思える点はあっても、個々に伝えたかったであろう点は理解できるし、このご時世なので(大阪市でも21時には閉まるので、あまりに長時間だと放映しづらい)「原作未履修」の方もターゲットにして全部消化するように描写すると3時間コースに行きかねず、その商業的な問題もおそらくあろうかと思うところ、それは誰の責任とも言い難いので、その点は仕方なしかな…と思います。

 お話の舞台となるのは高知県。ただ、高知県であること、それ自体は余り本質論ではありません。最後、ラスト10分になると具体的に「高知駅」と出ますが(最後のエンディングロールでも、協力作成に高知県や高知県の各市町村も出てくる)、途中の「カツオのたたき」などの描写を見逃すと、川を歩くシーンが多いので、山口県岩国市(錦帯橋がある)などと間違える人もいるかなぁ…という印象です(舞台がどこでも本質論ではないが、逆にいえば、それが本質論でないために、高知県という設定もほとんど活かされず、上記の「描写がどれもこれも消化不良」という点も相まって、ストーリーの内容の理解はさらに困難になる)。

 採点対象は下記の0.3のみで、4.5まで切り上げています。

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 (減点0.3) 多くの方が指摘されているように、色々な論点を2時間ちょっとの映画に詰め込んでしまったために、何がテーマなのかわかりにくく(さらに、「U」が何かにいたっては、観念的に理解できても完全に理解しきることは不可能?)、「美しい音楽と画像を見に行く」という点では評価は高いと思うのですが(だから、テレビやネットフリックスではなく、映画館で見たほうが良い作品の代表例)、「どれもこれも描写が欠けているために理解が難しい(何を伝えたいのか、多様な解釈ができてしまう)」という点は指摘可能であり(多くの方が書いている通り)、そこはやはりこのように評価せざるを得ませんでした。

 とはいえ、明らかにもっと理解ができない作品が今年はありましたので(樹海村、DAUナターシャなど。多くの方が低評価をつけた作品。これは酷評されても仕方がない…)、それに比べればどう考えても完成度は高く、他作品の採点の考慮もありますので、このようにしました。
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yukispica