「Squall」竜とそばかすの姫 ONAKAMAさんの映画レビュー(感想・評価)
Squall
細田守作品は劇場では「バケモノの子」以来6年ぶりです。「未来のミライ」はなんとなく見る気が起きず、テレビにて鑑賞。
夕方に見ましたが、6割は埋まってるかなって感じです。初日ですし、明日からの動員に期待です。
それはさておき感想ですが、はっきり言って微妙でした。メインストーリー的に主人公すずがどうやって成長していくかのはずなのですが、突然殻を破って成長するので、展開に追いついていけないことが多かったです。
現代でのSNS扱いの「U」。これも機能しているかというとかなり微妙です。TikTokだったり、Twitterだったりの機能を盛りだくさんにしたって感じなのですが、「U」では歌うシーンや竜との攻防が多く描かれるので、SNSとしての見映えは無いように感じました。竜とベルが踊るシーンは美女と野獣のシーンもろそれでした。ディズニー的な作品を目指そうとしたのは良い試みだと思うんですが、細田守監督らしさを全開に出してほしかったってのが本音です。
竜を探すためのU大検索のシーンも、うまい具合に竜の正体まで辿り着くので驚きです。その上、竜の現住所までうまいこと見つけるのでさらに驚きです。しかもここで"虐待"という映画一本使って扱うような重いテーマをサラッとぶち込んできたので、物語がぐらぐらし始めました。そこから連続で、忍くんが顔を晒せ(雑)と言うので、幼馴染にそんなこと言う?と思ってしまいました。ヒロちゃんが必死に止めていましたが、実際それが正解だったと思います。忍くんリスキーな選択肢を速攻で選ぶ狂人。
更にそこから、すず1人で竜の元へ向かうというぶっ飛び展開が待ち受けていました。誰かしらついて行けばまだ疑問も薄かったのですが、高知〜多摩川?夜行バスも使ってるから、半日近くはかかっています。生配信の様子を見る限り、どこかへ監禁させられていてもおかしくないのに、割と普通に竜と竜の弟が道端に現れるので、ここは笑ってしまいました。そこからDV親父がノコっと出てくるのですが、素手で皮膚を剥ぐってどんな握力してんだ笑と思ってしまい、その割にはすずの眼光でブルブル震えるってそんなご都合主義ある?と思ってしまいました。そこから竜が好きだとか言いますが、そんなシーンあったかな?と。
そこからささっと地元に帰ってきますが、突然の父親との和解も描かれなさすぎてなんとも…前作の反動で親子のことは描かなかったのかな…
だいぶ文句を言いましたが、もちろん素晴らしい部分もありました。まず音楽が素晴らしかったです。millennium paradeとBelle(中村佳穂さん)の「U」がとてもアップテンポでかっこいい曲に仕上がっていました。この作品へのワクワク感を最大にまで膨張させてくれました。他にも中村佳穂さんが歌唱されている曲も音や声の厚みが美しく、常に鳥肌立ちっぱなしでした。映像面も素晴らしく、自然の美しさ、「U」の世界の造形の豊かさ、キャラの表情など、スタジオ地図の底力を感じさせられました。あとSNSでの炎上や凍結の表現の仕方もかなり好きです。声優陣も良かったです。
ただスケールがとても大きいはずなのに、作品全体がこじんまりとしてしまったように思えます。難しい作品でした。次回作に期待。
鑑賞日 7/16
鑑賞時間 15:50〜18:05
座席 G-25