「本当に残念」竜とそばかすの姫 きたやはたさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に残念
細田守監督の映画は複数鑑賞したのですが今作は本当に残念でした。
まず今作は違和感がありすぎてストーリーどころではなくまたキャラクター達の感情の変化おも感じとれませんでした。
違和感の例を挙げるとネットの世界にオリジンを晒しあげるっていうのが正義というふうに持ち上げられている(スポンサーまでついてる)Uの世界。何億人が見ている中簡単に顔を晒せと言う幼馴染。DV現場に女の子一人で行かせる周り、親。等々。数え出したら切りがありません。
勿論映画は多少の違和感は無視して楽しむものですが
今作はそれがメインシーン、感動シーンにガッツリ違和感があるので無視できないくらいでした。
また、中盤くらいに美女と野獣と同じストーリーで進む展開があるのですが僕は本当に嫌でした。多少似ているならまだしも殆ど同じでベルという名前まで同じなので『竜とそばかすの姫』ではなく『美女と野獣』と思えてしまいこのシーンはベルと竜が心を通わせる重要なシーンだと思うのですが全く感情移入出来ず置いてけぼりにされました。現代版『美女と野獣』的なのを作りたかったとインタビューで監督が仰っていましたが確かにストーリーは同じでしたがただ、中身の無い『美女と野獣』だったなと思いました。
最初の方はワクワク出来て本当に良かったのですが途中から違和感やらどこがで見たことあるシーンやらで登場しているキャラクターがみんな泣いてる感動シーンで全く感動出来ずベルが勇気を出して素顔を出すシーンは途中で帰ろうか迷ったぐらいでした。
歌は物凄く良かったですが歌うシーンが思ったより少なくて物足りなかったです。
作画は完璧で、声優さんもすごくお上手でした。
前作まで細田監督は家族などの愛情表現を繊細に作られているのに今作は雑で投げやりな感じがしてどの人間関係も薄くキャラクターの感情を掴めず映画を比べるのは良くないことですがサマーウォーズはあんなに人間関係、心情が掴みやすかったのにと思ってしまいました。
キャラクター達の心情描写、関係性また、ストーリー全てが中途半端(特に父親との関係性)な様に感じ『竜とそばかすの姫』は結局何を伝えたかったのか正直分かりませんでした。
平凡な女子高生がネットの世界で超人気な歌手というとても面白い題材と迫力がある作画、歌のcmそして3年ぶりの細田守監督作品との事もあってとても期待しすぎていた分本当に残念でした。
酷評しましたがあくまで僕の主観で感じ方は人それぞれなので是非色んな人に観て欲しいです。歌、作画は凄いのでそれだけで観る価値ありです。
追記 映画なのだから気にしすぎと意見を貰いました。仰る通りですが今作は今の社会問題(DV、ネットの誹謗中傷)を直接重要なシーンとして描いているのにも関わらず、すず一人でDV現場に向かい、止めるという現実ではありえない方法で解決するのにどうしても違和感を感じてしまいました。
ストーリーについてあーだこーだ言ってますが作画と歌はアニメ史上トップレベルでこの感動は映画館ではないと絶対に味わえないので一度は映画館で観た方が良いと思います!
この映画の違和感というかツッコミどころみたいなのが「これは架空の物語でアニメなんだから」とか「監督が伝えたいのはそこじゃなくてね…」とかで許容できるレベルを明らかに超えてるんですよね…
音楽や映像は本当に素晴らしいからこその脚本の?感がすごかったです。
ネットでちょっと歌うだけで世界中の人気者とかDV親父に一人で突入とか、色々ツッコミどこが多くて、結果モヤモヤした映画だったです。歌の力を都合よく使い過ぎですw