竜とそばかすの姫のレビュー・感想・評価
全1525件中、1~20件目を表示
It's Entertainment !
「歌ってみた」という時代。
ネットの世界で歌うベル、現実では毛布を被って歌う鈴――かつて、動画サイト「ニコニコ動画」で「組曲」を歌った「歌い手」達の中に、鈴と同じように家族に聞かれないように毛布を被ってレコーディングをしていた、そんなお方がおられましたが、その方がモデルなのでしょうか。
今時のネット事情はあまり詳しくないのですが、かつての「歌ってみた」動画が競い合っていた、そんな時代を思い出しました。私は特に歌ってみたりはしなかったけど、夢中でそんな歌い手達を追いかけていたためか、冒頭でガツンと捕まれ、最後まで夢中になってベルの歌声を聞き入りました。竜がネット世界で暴れる仕組みとか、ちょっと把握しきれなかったけど、ベルの美しい歌声と素晴らしいビジュアルには、なんだかよく判らないままに眼を滲ませてしまいました。前半、なかなか十分に歌声が聞けなかっただけに、圧巻のクライマックス・ライブには大満足です。BDやDVDの円盤には、仮想のコンサートライブをおまけに付けてくれたら嬉しいな。
最終的に鈴は自分自身をアンベイル、つまりカミングアウトをすることで相手の信頼を勝ち得た訳ですが、ネットで自分の素顔・本性を明かすべきだとは、特に思わないですね。実際の「歌ってみた」の時代では、みんな自分の素顔を隠しあっていましたが、その方が自分のエゴを出すこと無く、純粋に音楽だけで語り合う世界でいられたと思うのですが――ただし、アカウントの名が売れてしまうと、名前だけで再生数が増えてしまいますけどね。そういえば、かの香港の歌い手「ほんこーんさん」もテレビでご自分の姿を隠すこと無く公開されていましたね。まだ活動されているのかな。
また、親友にしか正体を明かしてなかったのに、周囲の人には結構バレているのには笑いました。案外、隠し事って自分が思っている以上にバレているものですね。
細田守の「As」の名はハヤオ
『美女と野獣』のモチーフで、現代的なネットの仮想世界を背景に、現実のシビアな問題を提示したいとの意図はわかるが、ストーリーが説得力に乏しく、肝心な部分が曖昧である。竜の「オリジン」が虐待に耐える子どもだと知ったベル=すずは彼を助けに向かうが、そもそもなぜ、そこまでするのか理由が不明だ。
増水した川の洲に取り残された子どもを助けに行き、亡くなった母親へのミメーシス(感染的模倣)なのか、父親の育て方が奏効し、親切で優しい娘になったからなのか。竜との出会いが彼女の何かを変えたのなら、その部分を描かないと、仮想世界「U」ではなく、なぜ現実で大胆な行動力を発揮できるようになったのか、観客に納得させられない。虐待されていた子どもたちの家庭も母親が不在のようだが、自分と境遇が似ているから、程度の理由では希薄すぎる。また、仮想世界で活動するアバター「As」は、精神分析的に言うと、「反動形成」により表面に表れた人格の「真の姿」を反映させる側面があると思われる。だから、被害者意識に凝り固まり、虚飾を装う中年女性のAsが赤子だったりする訳だ。
さて、Uの武道場でかなりの強さを誇り、自警団をなぎ倒すほどの力を持つ竜が、虐待に耐えて抑圧された子どもの負のエネルギーの反映だ、というだけで説明がつくか。50億超のアカウントの中で、飛び抜けて暴力的で力を持った存在のオリジンが? もっと悲惨な境遇の子どもなら大勢いて、竜をしのぐ力を持ちそうなものだが。児童虐待の深刻さを表現しようとしたのかもしれないが、その帰結が竜の強大な力につながる根拠が薄弱だ。
総じて、映像や音楽が素晴らしい分、ストーリーの欠陥が目についてしまう。やはり、細田監督は脚本から手を引くか、もしくは、プロの脚本家と共同で作業した方がよいものが出来上がると思われる。
さて、細田監督の脚本執筆力に難点があることを指摘したが、もうひとつ、気になる点がある。『おおかみこどもの雨と雪』が『となりのトトロ』へのオマージュだとすれば、今作は『風の谷のナウシカ』へのオマージュになっているように見える。だが、そろそろ「宮崎アニメの呪縛」から自由になってもいいのではないだろうか。細田監督の持ち味の「家族」モチーフをもっと自由に展開させることができれば、オリジナルな「細田アニメ」になると思う。その時は、監督のことをよく理解しているプロの脚本家の助力が必要だとも思う。
賛否のあった終盤の展開について思うこと
父から虐待をうけている兄弟を助けるため、すずが1人で東京に向かう終盤の展開について賛否の感想を多く目にしました。たしかにやや唐突で、この展開を指して“リアリティ”がないと言いたくなる気持ちもよく分かりますが、個人的にはこの展開がもっとも心に残って良いなと思いました。
インターネットを肯定的に描いてきたと公言する細田監督が、最後にネットだけでは解決できない問題もあることを提示し、主人公に直接的な行動をさせることで、大事な人のそばに寄り添って力になることの大切さを描いているように感じたからです。
細田監督はインタビューで終盤の展開を「この映画にとっての芯の部分で、そこを描くことで物語が着地するんだと考えながら作っていた」と語り、製作陣のなかでも賛否の意見があった部分だったと話されていました(引用したインタビューは、映画.comに掲載されています)。
Uはもはや異世界でなく現実か
細田監督のネット社会描き方に変化が見られた。ネット社会の捉え方に変化があったことはもちろんだが、ビジュアルでの表現の仕方そのものを変えてきた。
細田映画では、異世界に突入するとキャラクターの輪郭線が朱色になる。ネット社会を描いた『ぼくらのウォーゲーム』からやり始めた演出なのだが、『時かけ』のタイムリープの場面でも『サマーウォーズ』のオズの世界でも、『おおかみこどもの雨と雪』でも、主人公が死んだはずのおおかみおとこの姿を見る夢の世界でも、輪郭線が朱色になる。
しかし、今回のUの世界では、そういう演出はなかった。それはどういう意味なのかをずっと考えている。Uはユーザー数が世界で50億いるほどの巨大なプラットフォームだそうだが、それだけの人数がいる世界はもはや異世界じゃなく、現実ということなのかもしれない。唯一の例外は竜だ。竜だけは輪郭線が朱色だ。彼だけ扱いが違うのはなぜなのだろう。Uの他のユーザーは、そこが現実と地続きの世界だが、竜にとっては違うということだろうか。
それから、『ウォーゲーム』や『サマーウォーズ』の頃のネット世界は、余白の多い世界だった。今回のUには余白がない。もうくまなく開発されきっているという印象を与えるほどにびっしりと詰まった世界だった。開拓可能なスペースがなくなってしまったネット世界の窮屈さが今回の作品には重要な要素となっていた。
3DCGのキャラクター芝居が素晴らしかった。日本のセルシェーディングのアニメとも違うし、ディズニーやピクサーとも違う。非常に生き生きとした芝居を3DCGで作っていたのは驚いた。
高知を介して描かれる懐かしい下校風景
現実とバーチャルの世界を行き来する少女。映画が示す2つの世界に隔たりがあればあるほど視覚的な振れ幅は大きくなり、観客はアニメーションならではの落差を楽しむことができる。特に今作の場合は。不規則な7月4連休の最中、久々に足を運んだ劇場はソーシャルディスタンスを守った上でほぼ満席状態。終映後、「いやあ、なかなか凄い世界観だったね」とか「お父さんの声は役所広司だったんだね」とか、口々に感想を言い合いながらはけて行く観客たちの波に揉まれながら、映画体験を共有する至福を感じていたのだった。
なぜ劇場に足を運んだかと言うと、現実世界の舞台がわが故郷、高知を舞台にしているからだった。高知の自然に魅せられたという細田守監督は、実は四万十川より透明度が高い仁淀川の透き通るようなブルーや、沈下橋から眺める山間の村等を、ほぼ克明に再現している。しかし、それらは言わば観光地・高知の看板ショット。筆者が驚いたのは、高知市のど真ん中を流れる鏡川南岸から望む、時間毎に表情を変える市内の様子を背景に取り入れていること。学校帰りのすずやしのぶくんやカミシンが語り合いながら川辺を歩く姿を見て、少年時代の自分を思い出した高知県人はたくさんいると思う。
7月のカンヌ映画祭を大いに沸かせた本作の魅力は、バーチャル空間で起きるドラスティックな展開は勿論、いやむしろそれ以上に、高知を媒介にして描かれる懐かしい下校風景にあるのではないかとすら感じる。あの学校と家の間にある、2度と戻らない心ときめく不思議な時間に。
「サマーウォーズ」のような「田舎町での人間模様」×「インターネット空間の仮想世界」に「美女と野獣」×「歌」で構築した細田守監督の意欲的な最新作。
細田守監督の代表作の一つに2009年の「サマーウォーズ」がありますが、今見ると「わずか10年くらい前なのに、スマホですらなくガラケーだったのか」と現実世界の早さに驚かされます。
「サマーウォーズ」の時は、当時より少し先の未来を描いていましたが、本作でも今より少し先の世界観を描き出して進化しています。
そして、不朽の名作「美女と野獣」をモチーフに使い、主人公の「すず」のインターネット空間の仮想世界での名前は「ベル」。そして、野獣として謎の竜が登場します。
ディズニー映画の「美女と野獣」の世界観を仮想世界「U」で表現され、ベルと竜の2人の関係性が物語の大きなカギとなっています。
さらに、現実の世界では、インターネットでブレイクするアーティストが出る時代なので、歌にも力を入れるなど、新しい試みもみられます。
声優陣は、スタジオジブリ作品のように芸能人が多いのですが、主人公の「すず」役には、中村佳穂という知る人ぞ知るようなアーティストを起用しています。
最初の学校のシーンで親友と話すあたりは、少し素人っぽい話し方が出てきますが、設定も「人間関係が不得意で、心を閉ざす女子高生」なので、案外、これもリアルなのかもしれません。
ちなみに、その「すず」の親友役には音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル幾田りらが起用されていますが、こちらは本職並みの上手さがありました。
母と一緒に歌うのが大好きだったのに、母の死をきっかけに歌うことができなくなった「すず」が「ベル」として歌うシーンは、さすがの歌唱力でした。
これらのような新しい才能を開花させている点でも本作の試みは成功しています。
作画の面でも「U」での世界や、現実世界も含めて非常に進化していました。
また、作品全体の雰囲気も良く、本作はレベルの高い力作と言えるでしょう。
ただ、強いて言うと、「アカウント50億!の中から1つを見つけ出す」という非常に重要なミッションが本作の肝になるわけですが、この高すぎる設定をクリアするには、少し拍子抜けしてしまう点など、もう少し脚本が精査されていたら、より良かったとも思います。
このように所々もう少し練った脚本であれば、と思った面はありましたが、歌は良いですし、高知県の舞台も良いですし、何より人間模様が魅力的に描かれています。
なのでエンターテインメント作品としては、とても出来は良いと思います。
大衆映画としてどうなのか
前半90点、後半20点の駄目映画といった印象。
終盤の主人公がかつて母がどんな心境で子供を助けたのかを、顔を晒すという自己犠牲をしてでも助けたいという心境を得て理解する展開自体は素晴らしいと思う。
が、実際は幼馴染の男に言われて晒すわけですよね。
主人公は周りが止めても助けるために自ら顔晒しちゃう。それを幼馴染だけは受け入れて応援しているという展開なら飲み込みやすいと思ったのは俺だけだろうか。
ネットリンチや虐待の描写も失敗してる気がしますね。これじゃ、自分や自分の周りを顧みないよ。リアリティが無いから偏見に見えちゃう。
とにかくやりたいことはわかるが下手に見える。わざと下手に見せて世論を賛否両論にして、話題をかっさらうのが狙いであれば、スカーレット同様に成功していると思います。
でも私は最低限うまく出来てる竜そばやスカーレットが見たかったですね。
空っぽ
人の優しさが伝播するお話
この物語の素敵なところは、ラストであの問題をすず以外の他者が解決しないところだと思います。
暴力で受けた傷によって世界を否定し、鬱屈した気持ちが他者への暴力性となり、あのままではおそらく父親のような道を歩み始めていた恵が、同じく孤独を知っているすずの歩み寄りや優しさによって世界を肯定できるようになったお話だと感じました。
恵にとっては、全く知らない第三者(コーラスのおばさま達など、知らない大人たち)が今の環境を助けてあげただけでは、恵の孤独感や世界への否定感は消えなかったでしょう。
そのラストでは意味がないのです。
「孤独や心の痛みを知っているすず」が自分の足で一人で会いに行き、恵の行動によって臆病だった私の心を解き放ってくれたと感謝を伝え、抱き締め合ったからこそ、恵は世界を肯定できるようになったのではないでしょうか。
おそらくは初めて、人から「敬意」を伝えられた瞬間だったのだと思います。
それ以外の人では、恵は上っ面の言葉や行動としてしか受け取れないでしょう。
孤独を知っている人が孤独な人に寄り添い、「自分で立ち上がる力を与える救済方法」を描いた素晴らしい作品だと思いました。
この物語で辛い気持ちをフラッシュバックされてしまった方がここのコメント欄で沢山いることを知りました。
その方たちは、もしかすると辛い経験を一人で乗り越えて大人になったのかもしれません。
そういった方を否定するつもりもありません。むしろ辛い体験を抱えて大人になり社会を生きているということは立派でもあります。
この作品に感動した方は、少なからず「孤独を経験した事があり、運良く他者に救われた経験がる」という方が多いのではないかと思います。
監督もきっとそうなのかもしれません。
この物語は「孤独を知っている人が孤独な人に寄り添い、自分で立ち上がる力を与える救済方法」を描いていると先ほど申し上げましたが、
運良く救われた経験がなくとも、周りの孤独を感じている人に寄り添うことで、逆に自分が救われるかもしれないというヒントも同時に描かれていると思います。
個人的には、すずの優しさの源である、忍の優しさの源泉が気になりました。
忍もきっと昔、おそらくすずと出会う前の小さい頃でしょうか、誰かから優しくしてもらった経験があるのでしょうね。
なんじゃこりゃ
終始、なんじゃこりゃ感でした。
とにかくわかりやすくて、食いつきやすい要素が盛りだくさん。
面倒な部分はカットして、こうなればいいな、を貫いたイメージでした。
オープニングはワクワクする演出で、惹きつけられました!
でも出てくる要素がいちいちわかりやすすぎる。
親の事故(理由も含め)
ネットトラブル
いじめっぽい描写
美女と野獣
虐待
理由はよくわからないが声を荒げるシーン
障害児
うーん…これでいいのか、いやダメだろってなりました。
野次馬根性の大衆が好きそうな重いテーマを、さらっと浅く入れ込んでいて、ずるいし不誠実です。
さんぴー分かれると聞いてた理由がなんとなくわかった。僕も含めて多く...
言われるほど悪くない・・・気がする
「果てしなきスカーレット」繋がりでU-NEXTで鑑賞
歌のパートが凄すぎて、ストーリーがあるのかよく分からない展開。
映画館で観なかったのは惜しかったかも・・・
遅ればせながらサントラは注文した。
(細田作品の男のキャラ全体に言えるが)
現実世界のキャラデザは従来通りで、あまり特徴なく、誰が誰だかよく分からず・・・
しのぶ君? は、そんなにいい男なのか?よく分からない。
すずとルカの「美人度」の差異もよく分からないし・・・
そばかすと言いながら、あんまり顕著に見えなかったり、そもそも日本人女子でそばかすって・・・あんまり見かけないような。
仮想世界のキャラクターはゲームのキャラクターのようで、これまた、まったく刺さらなかったが・・・
ベル以外に人間の形をしたアバターがいないのは、なぜなのか・・・と思わなくもない。
最期のクライマックスは取ってつけた感じにも見え、これが酷評の要因?
酷評・・・そもそもがファンタジーなので、現実社会と照合してあれこれ言うのも野暮だと思う。まぁ、何十億が参加する世界と言いながら、小さいコミュニティだけの話で終始しているし。実際には歌姫も山のようにいるだろうし。
冒頭の母親の行動をトレースした感じになっているので、現実的にDV現場に片田舎の女子高生が大都会にやってきて問題解決する話が唐突過ぎ&結末が不明瞭でカタルシスがないと言うことなのだろうが・・・
女子の顔に傷つけたら、普通に警察案件・・・いや、語らずとも分かるだろうと言うことで、省略したのかも・・・
ただ、後日談的にエンドロールで提示してくれれば良かったかも(同時期に「すずめの戸締り」を見て思ったこと)。
ポスターが刺さらなかったので(果てスカも同じく、ポスター自体は刺さらない)、当時見なかったのか・・・果てスカもそうだが、映画館で観るべき作品だったように思う(嫌いな人には刺さらないんでしょうけど・・・と、反論される前に書いておく)。
2026.1.1追記
「果てスカ」と同じく、連続視聴しているが・・・
Uであれこれできるなら、自ら通報できそうな。と、素朴な疑問。
仮想世界の「虚偽」強さと美しさの「秘密」
偽物だけど自分らしく生きる事の出来る世界。
物語はサマーウォーズと同じ世界観
時を数年後にし、場所を四国に移した
その世界に違和感は無く没頭出来た
美女と野獣では無く
広い世界に生きる人
望みは輝き生きる事
「U」の世界の嘘誠
現実世界の嘘と真実
ネット世界で正義ぶる奴
噂を振り撒き優越感に浸る奴
醜さと美しさを知らない奴
ヒーロー・ヒロインより
素朴である現実の美しさ
人は誰でもカッコ良くは無い
それが分かっているから悩む
この物語は嘘と誠と真実を話す
そばかすの姫と少女は逃げずに
仮想世界の真実を受け取った
喜びの世界
繋がる世界
真実の世界
真剣な目
下を向いていた少女
彼女に芽生えた強さ
仮想世界から抜け出し
最後に見せた強い心
そこに本物を感じた
自分の世界を広げ踏み出した
あの最後の場面が無ければ
少女は普通で終わっていた。
※
黄金郷の恐怖を呼び戻し、美しい歌声で心に入り込むな
ビデオインアメリカ大徳寺でDVDレンタルして、遅ればせながら観てみました。
セカイ系と言っていいと思う、田舎の高校生コミュニティが世界に影響を与える映画嫌いじゃないです。冴えない女子高生がネット上ではとんでもなく有名人だというのは、ありふれているけどワクワクしますよね。高校生の時にデビューしたAdoちゃんとか本当にそんな感じだし。
この映画ではメタバースはあくまでユニバース(現実)をよりよくするためのツールとして使われましたね。物語のラストで、お父さんと和解し、友達と合唱隊と川沿いの土手で雲を見上げるシーンを経て、鈴ちゃんはもうメタバースに入り浸ることはないでしょう。だって、信頼できる仲間たちと歌えるから。ネットは現実のコンプレックスを隠して、現実逃避する場所だって認識でしょうか。そうであればいいんですけどね。
「U」の中で強力な存在であればあるほど、ログインしてる時間が長いんだから、現実では浮世離れしてるんじゃないかと思ったのは『銀魂』とか『ノゲノラ』の影響ですね。伝説のプレイヤー「M」はマダオだったし、伝説の「 」は引きこもりの兄妹だったし。ん?コレどっちも本当の本当はすごい人たちだな…マダオは外交官だし、空と白は超主人公だし… だからジャスティンがアンヴェイルされて、くたびれたシャツでタバコ咥えたオッサンが出てくるの期待してたが
だがこの「U」は『ソードアート・オンライン』と違って、自分のアバターは自分の身体的・精神的特徴が出るとのこと(そういえばSAOは1話で全員アンヴェイルされてたな)。鈴ちゃんは本当はとても美しい歌声を持っているから、そのまま反映されたと。つまり劇中の有象無象はのアズたちはネットに接続した現実の人々の、本質に近い姿とも言えますよね。
なんですけど私は、『メイドインアビス烈日の黄金郷』のなれ果てたちにしか見えなかったんですよね。『メイドインアビス』は恐ろしい物語ですがファンタジーなので、観るのをやめれば現実に侵食する効果は薄いです。ですがこの『竜とそばかすの姫』は、現実が舞台の物語、かなり病的な里親にひっかかれたら血は出るし、雨に濡れる。そしてこの映画はミュージカルなので、美しい音楽や歌声が流れ、そしてそれらは理屈を越えて心に流れ込んでくるものです。
つまり私の本作での映画体験は、黄金郷なれ果て村の恐ろしさが、美しい音楽と歌声と映像に乗って心に流れ込んできた、というやぶ蛇な体験でした。
主人公のまわりには、
歌と映像がきれい
主人公が仮想空間でアバターになり歌姫として活動するのがベースになっているので、ストーリーは何でもありで進んでいく。まぁ、架空の設定アルアルで、突飛な展開があっても気にしないようにして観た。
歌はたぶんこの映画のキモなので気合入ってて素晴らしかったけど、声優としてはどうなんだろう。ちょっと残念な感じ。逆に?しのぶくんの声めっちゃイケボでびっくりした。
過去の心の痛みを抱え続けている人、今大変な人が元々持っていた強さを取り戻して分かりやすくうまい具合に救われる物語。あまり設定やストーリーを深掘りしてはいけない映画だった。
近未来的な映像が続きながら最後はアナログな終わり方をしたのも、やはりベースがベタなヒューマンドラマだったからかも。
仮想空間<U>は映像として面白い。でも、かんじんの主人公に共感しにくい
「すず」の親友の「ヒロちゃん」が狂言回しになっていて、仮想空間<U>の概要をすんなり把握はできた。コンサートを開くほどの人気者になったのも、「ヒロちゃん」が「ベル」をプロデュースしたからだと理解できた。
クジラに乗って歌うベルの映像は、雰囲気があって面白い。(「バケモノの子」は説明不足が多いと思ったが、この「竜そば」は改善されていると思う)
幼馴染で学校の人気者の「しのぶくん」が、「すず」を気にかけていること、「ルカちゃん」という人気者の女子がいる、という設定は、この映画の味わいどころだろう。
主人公「すず」が情緒不安定で、意味不明な反応をする場面が多いと思った。
また、映画の中心は「すず/ベル」が「竜」を助けたいという感情だと思うが、それに共感しにくい。コンサートを壊す事件があって、「竜」のことを気になったとしても、いきなり、家(竜の城)まで押しかけて“直撃インタビュー”するのは、自己中心的で、相手への配慮がなさすぎ。そんな人がいたら、ストーカーのようで、怖いよ!
クライマックスでは、似たような“突撃”を、現実の世界でやってしまう。ヤマ場であり、観客を感動させたい場面のはずなのに、「すず」に共感しにくい。
この“突撃”は、突っ込みどころも多く、「そんなバカな・・」と、笑ってしまった。いろいろあって、評価は3.0にした。
台詞の面白味の薄さと多少の粗に慣れてしまえば
スタートは
「サマーウォーズ」そっくり。
同じ世界観で、別の人物が主人公、という感じ。
それはまあ、いい。
「鈴」が、幼い時に母をなくしてから
それまで夢中だった歌を歌えなくなった、
でもふとしたことからバーチャル世界に入ってみたら、
その世界では歌えた。
それどころか、
めっちゃバズった
という「つかみ」はOK。
その後の展開も、
ご都合主義的な感じはあるものの
そもそもネットのご都合主義な世界だから
まあOK。
歌は、
個性的だとは思うけれど、
そして美しくもあるけれど、
バズるほどのものか、といえば疑問符。
そして、謎の「竜」の正体が、
ミステリなら反則。
でも本格ミステリという訳じゃないから、
これもOK。
だがしかし、
悪役が薄っぺら過ぎるのは
OKとは言えないなぁ。
とはいえ全体的には、
粗はあるものの、
阻害するほどのものではなかったので、
「酷評」するようなものじゃない
と思ったのであります。
ただ、
台詞に面白味がないのは、
もはや細田脚本はそういうもの
という諦めがついたというか慣れたというか。
あと、
サマーウォーズ以降、
クジラはデフォルトなのね。
――理由などない。ただそこにいる。
そして、竜もまた
デフォルトになっていくのでありましょうか。
全1525件中、1~20件目を表示

















