劇場公開日 2021年6月25日

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「バレンタイン in 台湾」1秒先の彼女 よしえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0バレンタイン in 台湾

2021年7月1日
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鑑賞方法:映画館

台湾ではバレンタインが年に2回あり、一つは通常どおり2/14、こちらは西洋情人節といい、もう一つが7/7の七夕情人節という。これを知らなかったので、しばらく疑問符が頭の片隅に点灯したままだった。鑑賞後に急いで検索したのは言うまでもない。
それはともかく、これはその七夕情人節に起きた物語。郵便局勤めのシャオチーが、本人曰く「盗まれた1日」を探した末に辿り着く結末までを描いたストーリーだ。
日常の中で不思議な出来事が起きる物語を「エヴリデイ・マジック」というが、これはまさにその典型のようなお話だ。キーとなるのは、常に人よりワンテンポ速いシャオチーと、逆に人よりワンテンポ遅いバス運転手・グアタイの「流れる時間の差」。これが奇妙な1日に繋り、感動的なラストになだれ込む。少し残念感のあるヒロインシャオチーが、グアタイの目線で見ているとどんどんチャーミングに見えてくるところが素晴らしい。
いや、実は最初から「そうは言うけど、この子可愛いじゃない」と思いながら見ていたのだ。まあ確かに、なんというかやることなすこと微妙にずれてるし、ワンテンポ速いその行動がせっかちに見えがちだし、モテない系キャラクター感満載なんだけど、なぜだか可愛い。その上、グアタイの存在に気づき、彼からの連絡を待ちながら過ごした1年の間に、どことなく落ち着いた女性に変貌したその姿は、見紛うことなく魅力的で、ラストは思わず二人につられて涙ぐんでしまった。

映像作品として見ると、日常系の中で見せる大仕掛けの映像が、これまた特にCGなどの特殊技術も使わずすごいことをやっているのがなかなか良い。他の作品なら雑に見えるかもしれないけど、この作品はこれで良いのだ。静止した時間の中で風船が風に揺れていてもよい。ちゃんと劇中で説明もあるし。これこそ映画の醍醐味だと思った。

よしえ