「テーマは熱く面白い!」映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園 ゆめさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマは熱く面白い!
クレヨンしんちゃんで青春学園ミステリーをやろうと思ったのすごいよな、と観終わってみて思う。
色々気になった点はあれど面白かった!
犯人が誰かわからなくて続きが気になって観られたのでミステリーとしても良かった気がする。
あと私が個人的に一番期待してたのが、風間くんとしんちゃんたちの関係性の描き方だったのだけど、色んな要素がてんこ盛りだった作品だったせいか、ここは消化不良感は少しあった。
大人になってクレヨンしんちゃんシリーズを改めて観ると、カスカベ防衛隊の友情って同じ幼稚園に通ってる今だから成り立ってると思うのだろうなと思う(本作、風間くんがそこを自覚してるのが始まりになってる)。
本作で描かれたみたいに、たぶん風間くんは家庭環境から想像するにお受験するんだろうな、と思う。
そしておそらく公立の学校に行くであろう、しんちゃんたちとは学校が離れる気がする。
それは仕方のないことなんだとも思う。
ただ、その未来が想像できたとしても風間くんはしんちゃんたちが好きで離れたくないし、それはしんちゃんたちも同じだろうなと思う。
そう思うと彼らが色んな違いや個性を抱えたままで一緒にいることが切なく美しく見えてしまって、目頭が熱くなる。
そこを今回の映画では主軸の一つにしているのを感じたので、久々にしんちゃん映画を見たのだけど、結末の持っていき方と描き方は少し物足りなかったかな。
「青春」という枠にはめられてしまった感じがして、もう少し子どもたちの純粋な好意と親愛みたいな側面から丁寧に描いて欲しかった気もする(ここは個人的願望)。
ちなみに「青春」というものについて理想を持ってる身としては、「青春」とは自覚的に目指すものではなく、結果的にそうなるものであってほしい。
だから作中で登場人物たちが口にするのに違和感を感じるなあと今回改めて感じていた(ここも個人の好みの問題なのもわかってはいるのだけど…)。
作品の中で何でも説明したり言葉にしてしまうの、無粋というかもったいないよね。
あえて言葉にしなくても、観客はしんちゃんたちや学園のみんなの姿を見てればちゃんと「青春」というものを感じ取れる作品になってたのになあと思う。
子ども層まで含めて観客の感性を信用してほしい、と作り手に思うのはわがままかしら。
基本面白かったし扱うテーマも良かっただけに、もう少し描写の仕方を変えてもらったら、さらに面白かったのではないか、と個人的には少し惜しむ気持ちも捨てきれない作品だった。