夏時間のレビュー・感想・評価
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淡々としたひと夏の日常に何処か懐かしさを感じた
ある家族のひと夏の日常を捉えているのですが、ひと夏の家族の小さな事件や問題、平凡な日常が淡々と映し出される内容ですが、その家族のやり取りがどこの家族でも良くあるような、懐かしさを感じて、観賞後、ふと昔を思い浮かべてしまいました。
今話題になっている同じ韓国映画のミナリよりも、奥ゆかしさのある素敵な映画でした。
余りにも退屈過ぎるだろ。
カメラワークや人物の動かし方などThe映画って感じで良かった。初めて家に来て四人で麺をススル食事シーンなど本来なら弟を奥に座らせて四人の顔を映してワンカットの所をあえて裏にして見せる所など映画を意識している、弟は裏でも十分。テレビドラマでは絶対に出来ないこと。
しかし全く内容がないしキャラクターが生きてない。劇的な事はあるにはあるが全く感情移入出来ない。これはキャラクターもそうだが脚本と演出が余りにもおそまつ過ぎる。Aをした、おきたからBの感情が生まれる、それを切り取るのが映画だと思う。この映画はそうはならない。Aをした、おきたらAの感情のまま切り取る。これでは退屈になるのはしょうがない。
パンティーを干すシーンが良かったとかよく書いてあるが、別に当たり前の演出。そんなんでいちいち感心してたら、映画の半分はカンヌ取ってるよ。この映画は万人受けしないし、多分多くの人が観ない。その中で選んで観る人には流石映画通と思いたい、でもその先があるか無いかはこの映画を観た感想で来まるような気がする。
ラストの主人公の泣きもなんの感情で泣いているのか分からない。何で泣いているのか分からない演出ならもっと伏線やキャラクターを掘り下げないと。
母との確執か父への愛が大きくないとあそこまで母を嫌いにならないしなんの説明もない。そこは説明しないと。家族の話なんだから。
スジナシのようだが実は緻密なストーリー
廊下の突き当たりに少女が立っている。
手前のドアが開き、父親が顔を見せる。
父親は娘に声をかけ、出かけるよう促す。
少女は部屋の明かりを消し、画面が暗くなる。
冒頭、なぜ、このシーンを長々と見せるのか?
それは時間の経過とともに明らかになる。
冒頭のシーンが描いていたのは、彼女たち一家の、いままでの暮らしとの別れだ。ここには、本作が描く父親の実家での暮らしとの線引きを明確にする意味があったのだ。
季節は夏。父と弟と主人公である17歳の少女オグジュの3人家族は、父の実家で暮らすことになる。
父の実家には、年老いた祖父(父の実父)が1人暮らしていた。やがて、そこに父の妹も加わる。家にも“家族”にも慣れない、ぎこちない暮らしが始まる。
本作は、この父の実家を舞台にした家族のドラマ。ゆえに、この映画では、家全体を捉えるショットが頻繁に登場する。
やがて明らかになってくる背景。
父親は離婚したということ。
父親は定職には就いておらず、とりあえずニセモノのスニーカーを道端で売っている。だが、それだけでは暮らしていけないことは、彼が、何かの資格試験を受けようとしていることからも分かる。
そして叔母は夫との離婚を望み、家を出てきていた。
だから、その家に集まっている人たちは、皆どこか、傷を負っている。祖父は夏の暑さにやられ、息子たちに助けられながら病院に通っている。
祖父は無口だ。彼を筆頭に、誰もわざわざ声高に語ることはないが、お互いが少しずつ優しさを分かち合っている。祖父の誕生日のシーンは感動的である。
邦題の通り、これはひと夏の物語。
子どもたちは夏休みだが、ここには海も山も遊園地も登場しない。
映画の中の時間は、淡々と、大きな起伏もなく流れているように見える。
だが、生きながらの別れ(離婚)と死別の匂いが少しずつ差し込まれる。
叔母の夫婦間のトラブル。母親と会うことを巡るオグジュと弟の喧嘩。
そして、祖父にはひたひたと老いによる身体の衰えが忍び寄る。
そしてラスト、ついにこの2つが交差する。
祖父が亡くなり、その葬式にオグジュたち姉弟の母親が現れるのだ。
祖父の死も、母との再会も唐突だ。
この2つが重なり、堰を切ったように溢れるオグジュの涙で本作はクライマックスを迎える。
ああ、こういう映画だったのか!
本作は、淡々と、家族との日常を描いているようでいて、このラストに向けて一つひとつシーンを積み上げてきたのである。巧緻な脚本に唸る。
頻繁に描かれる食べる、寝る、そうした日常の所作の繰り返しの中に、突然、差し挟まれる別れ。
だが、おそらく日常とは「こういうもの」だろう。僕たちの生活を揺さぶるような別れは、いつも突然やってくるし、そして、そんな大事件があっても、僕たちは食べて、寝る。
そう、本作は、いろいろ起こる事件も、ことさら大袈裟に捉えるでもなく、日常の中の出来事として描く。ゆえに、その眼差しには地に足が着いた“確かさ”があるし、暖かく、優しい。
ラストの食事のシーンで激しく泣き出すオグジュ、そして泣き疲れて彼女は寝てしまう。
親は離婚し、父親は無職、祖父は亡くなり、恋人ともうまくいかないし、おまけに一重まぶたも気に入らない。オグジュを巡る状況は、冷静に考えると、なかなか過酷だ。
でも、眠る彼女を捉えるカメラは優しい。彼女に対して「大丈夫だよ」と声をかけているかのような優しい目線に救われる。
この優しさにひたれるのなら、素敵な映画と思えるはずである。
【ひと夏のあれこれ】
夏の、あの気だるい、まったりした雰囲気と時間。
兄弟姉妹のあれこれ。
好きな異性への気持ちの揺らぎ。
自分のコンプレックスと向き合ったり。
親との葛藤。
叔父叔母とのあれこれ。
祖父母の死も。
仮に断片的であっても、この姉弟が経験したことを、僕達も多かれ少なかれ通り過ぎている気がする。
夏休みはあっという間に過ぎ去る気がするが、どこか時間の流れが遅く感じて、少しイライラしたことはないだろうか。
仲のいい友達が、旅行に行って不在。
夏休みなんだから、弟妹の面倒を見なさいと言われるのが嫌だったり。
親は働きに行っていても、祖父母に夏休みの日常を観察されている気がしたり。
夏休みはあっという間に過ぎ去る気がするが、実は、自由じゃなくて、思い通りにならないことが多かったりする。
そんな雰囲気をとても良く伝えている、愛おしさを感じる作品だと思う。
10代の少女の視点
高評価ですが、個人的には何度も睡魔が襲ってきたので、もう少しスピード感と時間が短くても欲しかったかなぁ。(昼食後の14時台ってのが一番の理由?)
だけどこの穏やかな時間が『夏時間』でありこれが本作の良さでもあるかも。
主人公であるオクジュは大人の階段を上る思春期真っ只中。そんな中での父の事業の失敗、両親の離婚、彼氏との恋愛の悩み、容姿についての悩み、祖父の死…。色々ありすぎた夏休み、最後の声上げての涙には、おじいちゃんの死を区切りに今までのものが爆発して溢れ出たものでしょう。
弟の無邪気さ可愛さには癒される。
役者たちも自然体で、韓国に住む普通の人はたちを映し出した演出が秀逸だった。
個人的に映像はクリアすぎて好きではない。NHKの朝ドラみたいだった(笑)
パラサイトより、ずっといい!
この映画のすべては、最後の、少女の涙に集約されます。
特に大事件が起こるわけではありません。父親も、別れた母親も、おじいさんも、叔母さんも、みんな善人で、少女は、これらの人々に愛されています。しかし、彼らは、みんな、それぞれに不幸を抱えて生きている。
最後の少女の涙は、いったい何ゆえか。少女の、本格的な人生が始まったことを示すものにほかなりません。
とかく、味が濃いだけの韓国映画が多い中で、ほんとうの韓国を知ることの出来る映画でした。
それゆえに、日本人の我々の心をも、打つことができたのでしょう。
もし韓国にラジオ体操があれば
小沢昭一似お父さんの思い出話。もし韓国にラジオ体操があったら、夏の6時半という、空の色合いが一瞬、朝か夕方かわからない世界が彼のエピソードにグッとリアルさを加えたことでしょう。
眠かったので-0.5
少しの不幸、幸福、アクシデントが積み重なり、その中で日常を送る思春期の少女目線で捉えた映画。成熟と未熟の狭間にある感情が時には無表情、時には爆発してみたり…行き場のない感情、捉えようのない感情が描かれますが、大きな起伏がない前中編は正直眠い。
ラストの少女の止めどもない感情を表すような泣きがいいです。
教え諭せないオヤジの家庭
父親が事業を失敗すると共に離婚して、アパートを引き払い、父親の実家で夏を過ごすことになった家族の話。
あまり深くは交流をしてこなかったであろうお祖父さん、在庫の靴を路上で売りつつ新たな仕事に備えようとする父親、10代中頃の姉、10歳ぐらいの弟に、旦那と上手くいっていない家出中の叔母が加わって、庭付き一軒家での暮らしが始まっていく。
どこかで居心地の悪さを感じているのに加え、家庭環境の変化に戸惑いや苛立ちもみえる姉の機微を中心に、更なる変化に対峙していく様をみせていく物語で、自分勝手に振る舞ったり、欲求が暴走したり、後ろめたさがぶつかったり、苛立ちが爆発したり、と爽やかさ全開では無いけれど、リアルな感じがとても良かった。
それにしても、普通のスニーカーレベルで一々ホンモノ?と確認しなければならない国って…(´・ω・`)
ひと夏を共有してるよう
思春期の少女の日常がテーマとなるとどうしても『はちどり』と比較してしまいますが、『はちどり』よりも淡々と日常を描いています。淡々と描く分、日常を丁寧に描いていて非常にリアルです。
無口なおじいちゃんの家でなんとなくきまずかったり、お調子者の弟がじつは空気を読んで気を使ってたりして、なんかわかるなーと思いながら見ました。
また、ラストの主人公の泣きがリアルで素晴らしかったです。
お葬式では泣けなくて、ご飯食べてる時にふと悲しみが込み上げてくるというのもわかり、そのシーンでは主人公と一緒に泣いてしまいました。
映画全体のリアルな感じを支えているのが、俳優たちの演技はもちろん、おじいちゃんの家の存在感だと思います。この家は実際に人が住んでる家を借りて撮影したそうで、この家が映画に説得力を与えていると思いました。ちなみに階段の途中に扉があるのは韓国ではメジャーな造りなのでしょうか?リアルな家なだけに興味深いです。
時を止めた!(過去、未来がない)つまりストーリー構成がない
原題「남매의 여름밤」(弟姉の夏の夜)
邦題の「夏時間」さすがうまいタイトルです。
この映画、時が流れません。
つまり、ストーリー構成に重きがない!
これ、凄いですね。
社会背景、人間関係、過去も未来も・・・
作品内での全てが「場面」でしかない?!
作品内での役割として、弟ドンジュの言動の
一つ一つが、狂言回しのように場面展開していく妙。
だからこそ、それにしても、素晴らしいのが
ショットの画面構成!
こんなに無駄なく、自然に、それでいて
見事なフレームワーク!
何気ない物干の洗濯バサミが、目に焼きつく!
おじいさんが住む家での、夏時間。
あの家のロケーションがあったからこそ書けた
シナリオ?と、思いたくなるほど
うますぎる展開です。
監督ユン・ダンビの底知れない思考と技量に、うっとりしきりでした。
余談ですが、作品内の姉オクジュとおばさんが洗濯機を干しながら交わす会話がいいね!
(お互い、自分のショーツを干しながらの会話で・・オクジュのショーツは原色のスケスケ、おばさんのは、ベージュの肌着ぽいやつ)
おばさんがオクジュに
「今、付きあっている人、いるの?」
女性監督らしさが・・・随所に感じられて、それも、たまらなく良い感じです!
「はちどり」に比べられることがあるでしょうが、わたし的には
器が違いすぎます!
これこそが、新しい映画です!
ハラボジ
10代の少女オクジュと弟のドンジュは、父親が事業に失敗した後、父親と一緒に祖父の家で暮らし始める。幼いドンジュは新しい環境に馴染むが、オクジュは居心地の悪さを感じている。離婚寸前の叔母まで住みつき始め、一つ屋根の下に三世代が集まり、次第にオクジュにとってこの家と祖父の存在が大きくなってくる。今後の活躍が期待されるユン・ダンビ監督の初の長編作品。
何気ない日常風景の中に、10代という多感な年ごろに住む家を追われ祖父と暮らす少女オクジュの心の揺らぎを繊細なタッチで見事に表現されているのが印象的であった。ラストが秀逸である。
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