「脚色も良くない」明日の食卓 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
脚色も良くない
良く描けてると思いながらも脚本が拙く感じたのね。なんでだろうと思ってたんだけど、重要なことを全部モノローグでやるからだって気付いたの。それに、子供のモノローグが大人びてて「こんなこと感じる子供いる?」ってのが違和感だった。
台詞で説明だから、仕草やなんかで「あ、いまこの登場人物は、こういうことを考えたんだな」ってこちらが気付くってことはないの。だから、こんなに演技力のある女優を並べる意味がないね。
物語がラストに向かうところで、三人の母親が子供の首を絞めるのね。「さあ、殺したのは誰でしょう?」ってやりたいからなんだけど、その動機づけが無茶ありすぎんの。特に高畑充希の子供が『僕なんか、産まれない方が良かったんだろう』って言うんだけど、話の流れ的に無理すぎた。
まあ、それで、色々と放り出す感じで映画終わるんだけど、この解らない感じが文学っぽいなと思ったの。そしたら原作は小説なんだね。こりゃ読んでみるかと思って読んでみたの。
原作も、視点が良く解らなかったり、「この内容ならドキュメンタリーで良いよね」って話だったんだけど、子供のモノローグとか、母親に突っかかって殺されそうになるシーンはなかったのね。ここは脚色で悪くしちゃってた。
渡辺真起子がやった登場人物もいなくて、あれ、全然効いてないから、いなくても良かったと思うんだよね。
そこまで思って、この映画ひょっとして「コロナ禍で大変な女優に仕事をあげよう」ってプロジェクトだったのかなって思っちゃった。大島優子もあんなチョイ役で使われるし。
観てて「子育てって大変だな」と思った。「父親が育児に参加せず、母親が全てをやるので大変です」って内容が延々と描かれているので、それ以外の感想は出てこないの。それを描写して何かを言いたいというより、ただ描写した作品だったのかな。