「タイトルなし」明日の食卓 ゆっこさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
私に子供はいないけど、うまくいかない日常の苦しさはわかる
人と関わることは綺麗だけではいられないし、好きだけでもいられない
愛してるけど憎らしい
苛立ちは募るしやるせない、怖いし面倒だし
でも何よりも大事
誰かに対しての両極端な感情は同時に存在するものだと思う
いつも天秤の上にいて、毎日毎秒いったりきたりして振り切ってしまった大島優子は子供を殺してしまったんだろう
でもその振り切ったのと同じ分量で愛しいと思ってたんだと思う
人間はままならないし、ましてや子供なんて思春期なんて、自分を形成してってる過程だし、だからって何もわからないわけではなくむしろよく大人を見てるし空気も読める、だから一人で苦しんでる
子供の頃はよく、大人は何もわかってないと思ってた
必死なんだよなと思う、抱えすぎて見きれないのだと思う
だけど3人のユウくんはただ、自分達を見てもらいたかっただけなんだと思う
余裕のない親達に、自分の気持ちを汲んでもらえないまま孤独が募って他人を実験したり、我慢しすぎたり、父親のマネみたいに弟に暴力ふるったり
「聞きたいことあるの、実験やってみてどうだった?」ってセリフがよかった
初めて本当にユウのことを見たんだなって伝わった
彼は苦しかっただろうな、祖母が認知症なのも家族が破綻してることにも一人で気づいてて
自分が嘘のいい子でいることを両親が1ミリも気づかず、上手くいってるって思ってるのを見るほど、自分をほめるほど、孤独を感じただろうな
誰も自分をちゃんと見てないことを突きつけられるのと同じだから
だから優しい子のはずよね?とか正直に生きろとか言われるより、本当のユウが今どう思ってるか聞いてもらえてうれしかっただろうな
一番大切なのは、完璧で失敗なくあることじゃなくて間違えたりどうしようもなくなった相手をそのまま受けとめて引き受けて一緒に同じ方向を見ること、そしてあなたが大切だよって伝え続けること
難しいよね、現実でもなんでそんなことするの?ってことされまくったら殺意わくし、そんなことをした相手の心情を察してあげ続けるなんて本当に根気がいる作業だと思う
親はすごい
どうしようもなくなった時、それでも大切なものはなんだろう?って向き合える勇気が必要なんだと思った
現実から目を反らしたくなっても、今を受けとめること、もし本当に失くしたら自分は生きてけるのかを自分に問うこと
それが出来たら生きていけそうだと思った