SLEEP マックス・リヒターからの招待状 : 特集
シネマ映画.com独占先行配信スタート!
「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」
月会費なしで、気になる作品を単体購入で手軽に鑑賞できるサービス「シネマ映画.com」。本日5月21日から、新作「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」の独占先行配信がスタートしました。「メアリーとエリザベス ふたりの女王」「アド・アストラ」「メッセージ」など、数多くの映画音楽も手がけた音楽家マックス・リヒターが企画した「眠り」をテーマにしたコンサート「SLEEP」を追ったドキュメンタリー。8時間以上におよぶ演奏中は眠ってしまっても、会場を歩き回ることも自由という前代未聞のライブを自宅でも体感できる映画です。このほど、作品選定メンバーが見どころをチャットで語り合いました。今、どこよりも早くオンラインで鑑賞できるチャンスです、気になった方はぜひ作品にアクセスしてみてください!
参加メンバー駒井尚文(映画.com編集長)、和田隆、荒木理絵、今田カミーユ
「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」(2019年/ナタリー・ジョンズ監督/99分/イギリス)
<あらすじ>真夜中に開演し、終演時間は明け方まで。会場に並べられたベッドに横たわる観客たちが聞くのは、眠っている間に聞くために作られたリヒターの「SLEEP」ライブ演奏だ。演奏は8時間以上におよぶため、本当に眠ってしまっても、会場を歩き回ることも自由。ロサンゼルス野外のグランド・パークやシドニーのオペラハウス、アントワープの聖母大聖堂といった世界各地のシンボリックな場所で開催され、大きな話題となった。このコンサートの全貌と裏側、そしてリヒター自身の素顔に迫っていく。
駒井 「SLEEP」は、個人的に今年の1Q(1月~3月)のベストフィルムです。不眠症に悩む人は、絶対に見た方がいいと思います。
和田 以前からマックス・リヒターの音楽は好きだったのですか?
駒井 「メッセージ」ですね。リヒター知ったのは。「メッセージ」の冒頭と後半に「ブルー・ノートブック」の曲が使われているんですが、ヨハン・ヨハンソンだと思っていたんです。今回初めて、マックス・リヒターの曲だって分かった。
今田 「メッセージ」はリヒター、ヨハンソンのふたりがかかわっていましたよね。
駒井 「SLEEP」の中で本人が語ってますけど、映画音楽は生活費稼ぐための仕事で、自分の好きなアルバムを作るのが本当はやりたいってね。映画産業って、芸術家のためにいろいろ経済的な貢献してるなあってね。
今田 そうですね。最初に見た時はあの音楽と映像で見事に睡眠効果を感じましたが、2度目に配信で見返した際、リヒターのそういったコメントをきちんと確認できたのが良かったです。
和田 これに挑戦するリヒターの人柄や思いも伝わってきました。奥さんの支援や影響も大きいようですね。
駒井 リヒターの奥さん、女優さんなんですね。彼女のサポートがとても大事。
荒木 売れなくてもいい! って言ってる人ですもんね。
駒井 そうそう、リヒターのはある種の「実験音楽」なんだから売れない。食えるワケがない。
和田 売れない時代は生活が大変だったようですね。
今田 映画音楽では英語圏だけでなく、サウジアラビアやインド映画なども手掛けているので、この映画が気に入ったらリヒターつながりでほかの作品を見るのも楽しいかもしれません。
駒井 確かに。「戦場でワルツを」もリヒターでしたね。
今田 ああ、良かったです。イスラエル軍のレバノン侵攻を描いたアニメでした。
駒井 しかし「SLEEP」はもの凄いコンセプトフィルムですね。ベッドが公園に整然とならぶ光景は、ピンク・フロイドのアルバムジャケを思い出しました。あの眠りのためのコンサートを、世界中で実現させているのが凄い。日本だったら、どこでやったら面白いですかね? 鳥取砂丘とか?
荒木 リヒターが全力で人を寝かせるためのコンサートってすごいですよね。新宿御苑なんかでやったら楽しいのではないでしょうかw
今田 聴覚、視覚、外気や他者とともにいること……など、様々な感覚をフルに使えますよね。
駒井 新宿御苑、いいなあ。蚊に刺されそうな気もするけど。蚊帳を張って。
荒木 しかし、あんな繊細な演奏を一晩中やりつづけるなんて考えられません。リヒター、尋常でないバイタリティですね。
駒井 8時間も続くんですよ。信じられない。
和田 さすがに交代制をとってましたね。
駒井 リヒター本人はともかく、雇われたオケ隊員は大変だろうなあってw
今田 低周波音は生楽器では出せないから、自分で組み立てたシンセを使うというのが興味深かったです。クラフトワークからも影響を受けたそうですね。
荒木 TikTok世代はこの音楽の良さわかってくれるんでしょうか。「チルだね~」みたいな感じで……。夜はロックなんか聞かずにリヒターですよね断然。
和田 あえての質問ですが、この映画も眠っていい前提で作ったのでしょうか?w
荒木 天才たちが全力で寝かせに来てるから、寝るのが正解なのではないでしょうかw
駒井 私は、これ見てから、毎晩Spotifyで「SLEEP」を聞きながら寝ています。
荒木 配信で見れば、何回かリトライできるから良いですよ!w
和田 今年の3月26日から劇場公開されましたが、上映劇場ではどうだったんですかね?
駒井 爆睡客続出?これは、映画館で見たら寝ちゃうよね。オンライン鑑賞が最適だと思います。
荒木 絶対寝ちゃう。映画館は危ないですw
今田 配信で確認した「睡眠は空白の時間ではなく、認識の仕方が違う時間」というリヒターの言葉が響きました。寝ながらでも自宅で良い音響で見たい&聞きたいですね。
駒井 8時間がすべて眠くなるというわけじゃなくて、ちょっと不協和音が奏でられるパートもあるんですよね。
和田 公式サイトにプレイリストが載ってますね。 https://max-sleep.com/
今田 「SLEEP」を体験しているときに寝てしまった自分が、どのタイミングでどんな夢を見ているのか、覚えていられたらいいなと思います。そして本編の「SLEEP」体験者たちのコメントもそれぞれ素敵でしたね。
駒井 そうそう。これを聞きにくる観客は相当変わった人が多いと予想。
荒木 野外であんなにリラックスして、無防備な状態で眠るってどんな感じなんでしょう。私も体験したいと思いました。会場に行ったら不眠症患者も眠れるんでしょうか。気になります。
今田 コロナ禍を脱した後、このコンサートがまた開催されたら、感激もひとしおな気がします。
荒木 ほんとですね!なんか泣いちゃいそう……。
駒井 8時間の公演を1時間半にまとめるにあたって、「いかに眠くならないように鑑賞してもらえるか」に苦労している感はありますよね。そこは構成がなかなか考えられていると感じました。
今田 コンサートとインタビューを繋ぐ映像には見入ってしまいました。自然だったり、都市だったりの切り取り方が美しくて。非日常を感じられますよね。
駒井 シドニーのオペラハウスとか、タワーの展望台とか、ちょっとした旅行気分にもなれる。えー、こんなところにベッド並べるの?って。
和田 ああいうところで寝られるだけでも貴重な体験です。それと科学的にこの音楽や体験が脳や体に良いことが立証されたりすると面白いのでは。
駒井 京都の清水寺とかで「SLEEP」やって欲しい。絶対に行く。
今田 年末のゆく年くる年的なイベントでもやってほしいです。日本バージョンでw
駒井 ゴ~ン!って鐘の音で始まる「SLEEP」。
荒木 夜明けとともに少しずつ高周波が混ざるんですよね。あのハイトーンな歌声がまた美しくて……。美しい朝焼けとあの歌声。極上の体験だろうなぁと。
駒井 そうそう、朝方の女性ボーカルが神々しいんだよね。あの歌声で自然に目覚めるってのが次のチャレンジだな。自分のベッドで聞く「SLEEP」については。
荒木 カンペキな目覚めですねw
駒井 あの歌声で、LAの公演の人々が起きてうっとりしているシーンは、涙出ましたね。
荒木 あれは感動的ですね。自由に伸びしたり抱き合ったり。最高の空間でしょうね、いいなぁ。
駒井 2019年にリヒターは来日公演やってるんですよね。演目が「SLEEP」じゃなかったけど、出張と重なって行けなかった。「SLEEP」見たら、思い出して悔しさ倍増w
今田 コンサートは寝袋持参のようでしたが、自宅での鑑賞だったら寝具にもこだわれますね。
荒木 アロマ焚いて真っ暗にしてリラックス状態でお楽しみいただくのがよいかもしれません、寝ちゃうけどw
和田 不眠症に悩む人以外にもおすすめしたい素敵な映画です。
駒井 クラシック音楽好きな人は外せないですね。
今田 大勢に訴えるために平易な音楽表現も取り入れているとリヒターは言ってましたから、クラシックに詳しくない人も聞きやすいですしね。
荒木 そうそう、意外とキャッチーで聞きやすいです。頭のざわつきが収まります。昔は私も野外ライブで朝まで飲んで……みたいなこと楽しんでましたけど、今やこういう音楽が最高に好きですよ。時代はチルなんです!
駒井 フェスじゃなくてチル!
荒木 まさしく!!!
駒井 ストレス抱えてる全ての人にオススメしたい。もちろん、ストレスのない人にも。