「作り手としてのザワつき」キャラクター ホビットさんの映画レビュー(感想・評価)
作り手としてのザワつき
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誰しもこの世に生まれたからには何かを残したい、とか、何者かになりたい、という気持ちは大なり小なりあるのではないか。
そういう観点からすると、主人公の咽から手が出るほどの才能への渇望は、心がザワザワしました…。
しかし、犯人の顔を見ていないという犯人隠避とも取れる行動に、いや!それはない!
物語は残酷な表現が飛び火して、Fukaseさんのゾッとする佇まいは狂気を孕んでおり、怖いのに先が気になって最後まで観てしまう。
冒頭の事件の家に主人公が入って行く下り、実家の家族を囮に使う等…最後の警察の到着の遅さ、一緒に出たんじゃないの??そりゃ、ないよ!とツッコミ所はそこここにある。
が、それでも漫画の原稿の見事な描写や、菅田将暉さんの表情(菅田将暉さんの演技凄かった)、小栗旬さんの芸達者ぶり、終始薄ら寒い情景、衝撃的な現場がリアルで目が離せませんでした。
普段観る映画は洋画が多く、邦画のサスペンスのジットリとまとわり付く感覚に目を見張りました。
内容はひどく残酷で、かなりスプラッタです。
血に弱い人は避けたほうがいい作品でしょう。
私も基本、怖い作品や、血が苦手です。
が、私は主人公の漫画へのひたむきな気持ちや才能に対する貪欲さは、持たざる者のあがきであり、無視できない気持ちで観ていました。
作り手は、自分に影響を及ぼす全てのものを、自己表現に使ってしまうのでしょう。
最後の誰かに狙われている様なカメラワークや、ラストFukaseさんの問いかけ。
スッキリ終わるわけではない余韻も、最後の音楽への繋がりが、あと引く感じでザワザワした。
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