サウンド・オブ・メタル 聞こえるということのレビュー・感想・評価
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突然耳が聞こえなくなる、話の中心に思えたこの事態が悲劇ではなかった...
突然耳が聞こえなくなる、話の中心に思えたこの事態が悲劇ではなかった。
なにしろ、主人公ルーベンは適用能力が抜群で、器用でなんでもこなし目の前の状況を軽々と越えて行く。
頭の中の計画通りに。
奥底に潜んでいた、自信や虚栄心が剥き出しになる、そこに悲劇がやってくるのだ。
なんとしてでも取り戻したかった恋人に、本当の愛情と呼べるものがあったのか?
そこがスタートと言わんばかりのラストは清々しい。
生き方考え方を教わる。
ろう者の状態が分かって、
自分には関係ないものではなく身近なものとして感じられる
映画でした。
どんどん耳が聞こえなくなる主人公と、
その状況に合わした音で辛さが理解出来る。
とても不快で不便でイライラが手に取る様に分かった。
そこから、ろう者のコミュニティに入り、
最初は馴染めずにいた主人公が、
どんどん、真人間というかイライラがなくなってる
のを感じられるが、彼女のために手術を決断する。
手術は成功なんだろうけど、
その音がとても不快で金属を通して伝わるような
ノイズ混じりで主人公は絶望する。
コミュニティの人が静けさを得ただろ?
ろう者にはろう者の生き方があるんだよ。と諭すシーンが
印象的。
物語を通して、
序盤は耳が聞こえて良かった。耳大切にしよと思うのだけど
ラストには、それって幸せか?と思う不思議。
蔑んだり比べたりするではなく、
人には人の生き方があって、
哀れんだりする自分の心の醜さを知ってしまう映画でも
ありました。
あの後の主人公がどうなりどこへ行くのかはとても気に
なります。
インプラントって歯科領域だけじゃないのね・・・
彼らの音楽はメタル?どちらかというと前衛的なパンクに聞こえたのだが、メタルという意味はもっと後から出てくるんかな?などと期待は高まっていく。
医者からは治る見込みはないと告げられるし、インプラントは2~4万ドルとひどく高価な手術だという。恋人ルーの勧めもあって、ろう者コミュニティに参加したルーベン。最初は手術を受けることしか頭になく、手話も覚える気がなかったのに徐々に馴染んでいくのだ。
今までにないほど素直になれる作品。というのも、こうした突発的な病気に罹ってしまったら、癇癪を起したり独善的になったりと、彼の風貌からしても乱暴者になることが想像できるのに、まったくそうはならない。ある意味、従順で高潔なイメージさえもたらしてくれるのだ。しかし、子どもたちにドラムの基礎を教えたりピアノの音を触って感じる訓練をしていくうちに、ドラマーに戻る希望を断ち切れなくなってしまい・・・
後半は手術を受けてからのルーベンの様子。全体的に鳥のさえずりとか自然の音が効果的に用いられているのに、都会に住むルーの家の周りにはノイジーとしか思えない雑音ばかり。完全な聴力回復ではなく、脳を刺激するという手術には弱点があったのだ。ルーの歌う曲でさえ雑音に阻まれ良さがわからなくなってくるルーベン。トレーラーハウスでジプシーのような全国ツアーは互いを救ってくれたし、二人をそれぞれ幸せに導いてくれた・・・それだけを思い出にして新生活をスタートできるのか?ドラマーだからといって繊細なメロディーを追わなくてもすむのか?彼の決断がラストシーンに集約され、見事な余韻を残してくれる。
自然の音と比較して雑踏の中の騒音。澄んだ音から重苦しくメタリックな効果音が脳を突き刺すのだ。この音作りがとても凄い。オーバードライブさせて、ファズをかけて、メタリックな倍音とホワイトノイズを付け加えたような、風邪ひいたときに頭がガンガンするみたいな感覚にさえ陥ってしまう。静寂の美しさもたまらん!
根っこは善人なのに辛いことがいくつも起こる。 それが障害の怖さ、人間の身体の摂理
難聴になったドラマーの話。今年のアカデミー賞ノミネートも納得の良作。
自分みたいに爆音音楽好きな人間は気をつけないと、いや覚悟しないといけないなと身につまされた。
全音楽ファンに見てほしい。
人によって考えの違いはあれど、悪人がまったくいない。
主人公も根っこは善人なのに辛いことがいくつも起こる。
それが障害の怖さ、人間の身体の摂理なんだな、と。
難聴になっていく過程がとてもリアルで、ドキュメンタリー感すらある。
タイトルの”メタル”がトリプル・ミーニングくらいになっている物語構造も面白い。
主人公を演じるリズ・アーメッドがめっちゃイケメン。
一番かっこいいときのチノ・モレノっぽいセクシーさ。ツボ直撃でした。
彼の心情の動きを見る映画。
それを成り立たせている演技は見事でした。主演男優賞いけるんじゃないか?
ちなみに主人公のバンドは日本でいうメタルでなくMETZやJapandroidsみたいなオルタナ系。
だから余計に自分みたいにノイズやらを聴いてるのが一番あぶないと怖くなったり;
主人公の着てるバンドTが面白くて、アインシュタイン・ノイバウテン、Rudimentaru Peni、Youth of today、そしてなんとギズムも!
こりゃニヤニヤするでしょー。
つまりは自分みたいな音楽趣味が一番危ない;
ただ作中では大音量のせい、とは明確に描いてないんよな
聞こえないということ
自分を受け入れることの大切さと難しさ
これはむしろ、ヘッドフォンで鑑賞すべき一作
この作品を観た後は、多くの人がイヤホンやヘッドホンで音楽を聴くことが恐くなるだろうけど、ここは敢えて劇場の整った音響環境ではなく、ヘッドホンなどで観るべき作品。
主人公の男女は二人で激しい音楽を売り物にしているバンドを結成しているが、ドラマーのルーベンはある日突然、自分の耳がほとんど聞こえなくなっていることに気付く。恐ろしいのは、彼のような難聴は、一度聞こえなくなったらほぼ回復が不可能であるということ。彼は音楽活動を継続するため、というよりもかつての生活環境を取り戻すため、様々な方法を試みるけど、治療自体の困難さや高額な治療費が壁となって、なかなか状況が好転しない。やがて彼はある決断をするのだが、それによって表題の「メタル」とは何か、その意味が明らかになる…。
本作が問いかけるのは、音が聞こえなくなるということは、「聴力を失う」といった、喪失の経験としてしか認識し得ないのか、ということ。その経験が、本人に何かをもたらすとは考えられないか、ということ。結末のルーベンの表情は、一体彼が何を得たのかを雄弁に語っています。本作が日本においては配信上映となったのは、コロナウイルスの流行という不測の事態ですが、それが本作を深く経験する上で最高の視聴環境をもたらしたのは、奇妙な偶然でしょう。
今までと変わってしまった自分に何を思う?
メタルとノイジーなメタル
禅の教え
依存性
ジョーが口にするこの言葉は、最初は薬物依存のことを言っているように捉えたが、どうも違ったようだ。部屋を与えられ紙に向き合うことが示唆されたときの狂いよう。自らが埋められぬピースがあることに向き合うことの絶望感。身体障害の話であるが、そうとばかりとは言えぬ。覚えもある。
滑り台が展開点のようでもあるが、劇的でなく徐々に周囲との応答を重ねて馴染んでいくさまは、実に味わい深く、また現実にもあっているように思う。この着実な心の修復体験が帰着のベースにあるように思う。
パーティーの後のシーンのふたりの演技に見入ってしまう。心の機微が表情にふっと出れば、相手の心を震わせ互いに響き合う。美しく哀しい。
自分は何かに依存しているか?と問いかけてしまう。
聞こえるということ
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